『STEP BULATS通信』は、財団法人日本英語検定協会が提供するビジネス英語情報誌です。

Letter from Cambridge

STEP BULATSの発祥の地でもあるイギリス・ケンブリッジは、多くのノーベル賞受賞学者を生み出したことでも知られる。この自然あふれる学園都市で暮らし、季節の移ろい、日々の瞬間を映像に収める日本人アーティストがつづる、フォト・レター。

Vol. 091 「遅い春」

9th March 2010

3月になり、ケンブリッジも春めいてきた。
しかし、気温は上下し、変わり易い天候が
続いている。 雨上がりの夕方、すっきりと
晴れたので、ケンブリッジの街を望める
丘の上で車を停めた。 しばらく見ないうちに
新しいビルが建ち、景観が変わった。

ふと思い立ち、ある光景を確認するため、
夕暮れ時の薄暗い森に入ってみた。
小さな花をつけた“スノードロップ”の群生が、
射し込む夕陽に照らされている場所を
見つけた。 それらは弱々しく、可憐である。

例年なら、森の中のこの辺りは、地表を
覆い尽くすほどのスノードロップが、
白い花をたくさん吊り下げ、カーペットの
ように広がっている頃なのに、やっと、
芽を出したばかりの群生が、所々にある
だけである。 今年は、春が遅い。

森を出たら、久しぶりに澄んだ夕焼け空が
広がっていた。 太陽が沈んだ後は、
茜色の雲が、一際鮮やかに輝いている。
野に立っていると、吹きつける風は冷たく、
春とは思えないほど寒い。

いよいよ、東京の松濤美術館で開催される
『志村博がシルクスクリーンと映像で綴る、
遥かなるグランチェスター・メドー』展が、
来月に迫った。 このフォト・レターが掲載
される頃は、日本で最後の準備に
追われている頃である。

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志村博氏写真profile


志村 博 (シムラ・ヒロシ)
東京教育大学(現・筑波大学)・芸術学科・構成専攻卒業後、同大学院にて修士課程を修了。1975年、渡英。1978年より、シルクスクリーン版画作家として創作活動を開始、展覧会などで作品を発表。その後、映像作家としてもTV番組の制作や、出版物・カレンダーなどへの写真映像の提供など、幅広く活動している。英国ケンブリッジ市在住。


−志村博氏のウェブサイト−

Vol. 090「雷雨の最終戦」
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