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地域と国際社会への貢献」を大学理念に掲げる熊本大学は、夏目漱石も教鞭をとった旧制第五高等学校や熊本医科大などいくつかの大学を包括して、1949年に設立された歴史がある。
世界22カ国66拠点と海外交流協定を結び、国際的人材育成に力を入れる熊本大学は、「STEP BULATS」の導入を開始している。
熊本大学では全学部で、1年次の教養課程の必須科目である「英語B-2」の授業の一環としてTOEIC-IP受験が義務付けられている。また、外部試験による単位認定制度もあり、例えば、英検1級で6単位、英検準1級で4単位が認定される。だが、学生の中にはその後、英語に接することなく卒業していく者もいる。教養、専門双方の学生の英語指導に携わる、教育学部外国語科の島谷浩准教授の問題意識もそこにあった。
「学習指導要領が変わったことで、以前は500語程あった中学での必修語が2002年度以降100語に減ってしまった。教科書によっては“son”や“daughter”を教えないものがあります。このような基本的な語が中学英語教科書から消えているのです。英文読解力が落ちるのは当然です。ライティング力はさらに悲惨な状況です。英語のライティング活動について、私のゼミ生が115人の大学生を対象に聞き取り調査をしたのですが、90%の大学生は大学の授業以外に英語を書く活動をしていなかったのです。これほど英語の必要性が叫ばれているにもかかわらずです。自己表現としての英語が学習の最終目標であり、その最たる技能がライティングだと私は思うので、学生たちにとって英語学習のきっかけ作りになればいいと思って、昨年6月に初めてSTEP BULATSのライティングテストを導入したのです」
対象は島谷准教授が教える教養英語のクラス受講者50人全員と学内から募った受験希望者27人の計77人。事前にサンプル問題を渡し、学生たちには準備する余裕を与えて試験に臨ませたという。島谷准教授は、試験結果を分析してこう話す。
「英語科の学生は、卒論を英語で書かなくてはならないので、英語学習のモチベーションは高いのです。でも、強制的に受験させた教養課程の学生は必ずしもそうではない。テストの結果も、それを表していました」
島谷准教授はテスト終了後、受験者全員にアンケート調査を行った。
「STEP BULATSではビジネス英語の力が求められるので、ビジネス経験のない学生からは、『経験のない状況の問題に苦労した』『問題の意味がわからない』という回答も多くありました。でも、私はビジネス経験の有無というよりは、単なる英語力ではない、プランを立案する能力に問題があると思うのです。イマジネーションを膨らませてプランを構想する。成績の上下に関係なく、それができなかった学生が『難しかった』と答えたのでしょう」
そのほか、「『50語で答えよ』という問題では、何度も単語数を数えなくてはならなくて大変だった」という回答が目立ったというが、島谷准教授はこの回答から「書く分量がイメージできないのは、日頃から書き慣れていないからだと考えられますね」と分析している。
「STEP BULATSの受験は学生にとってとてもいい経験になったと思います。受験者の中には、『また受けてみたい』と答える者も多くいました。これからもチャンスを見て実施してみたいと思っています。私にとっても、今後の英語指導の方向性を知る大きなきっかけとなったことは間違いありません」
受験者の英語力を具体的に把握できるSTEP BULATSのメリットが、島谷准教授の感想に示されたといってもいいだろう。