自律的学習者を育てる「教えすぎない教育」

中央大学横浜山手中学校・高等学校
※2013年4月より中央大学附属横浜中学校・高等学校に名称変更

2014.03.17

外国人居留地の面影が色濃く残る横浜山手地区。海を見下ろす高台には公園や教会、学校が点在する。2010年度から中央大学の附属学校となった中央大学横浜山手中学校・高等学校は、そうした外国文化の香り高いこの地で100余年の歴史を刻んできた。新たな学校としての一歩を踏み出したばかりの同校は今、先生も生徒もエネルギーに満ちている。「自律的学習者」を育てる英語教育に取り組む橋本恭先生を訪ねた。

中高時代の英語教育は将来の素地づくり

橋本 恭先生

橋本 恭先生

 「生徒たちが社会に出て、英語が必要になったときに、再び学べる素地を作るのが中学・高校での英語教育なのです。英語教員はその地点を見据えた教育をしなければなりません」と、橋本先生は言い切る。
 そのために大切にしているのが「音読」活動だ。テキストをただ声に出して読めばよいのではない。「できるだけ多くの単語を覚え、発音を意識し、文の構造と意味を受け取りながら読む」という習慣づけが必要なのだという。それが結果として、使える英語の習得につながるのだ。
「子どもの頃に、一旦自転車に乗れるようになれば、しばらく乗らなくても、すぐに乗れますね。英語も同じで、音読の習慣を身につけていれば、一定期間、英語から離れていても、すぐに勘を取り戻せるのです」
 橋本先生の音読指導にはステップがある。例えば高2のある時期の授業。生徒はあらかじめ手渡された本文全文プリント(1)と全訳のプリント(2)を家庭で音読し、全体の意味をつかんでくることを前提に授業を受ける。授業ではまず、生徒はキーワードが日本語で示された英文のプリント(3)を読み進めながら、日本語部分を英語に置き換えて音読する。続いてシャドーイングに取り組む。そして再び、プリント(3)を音読して単語をとらえていく。
 次に配られるのは、イディオムや構文の文節が日本語に置き換えられた英文のプリント(4)だ。CDから流れる英文を聞きながら、日本語の部分を英語に言い換えて音読する。その際には、プリント(1)も参考にしながら、英語が口をついて出てくるようにする。そして再びシャドーイングをし、英文を見ずに言えることを目指す。
 このステップを踏んだあとは、プリント(2)を見ながらリスニングをし、あらためてプリント(3)を音読する。そして、シャドーイングを2度、3度と繰り返す。この音読活動をしている間、橋本先生は文意の解釈や文法の解説などはしない。生徒たちは音声の力を借りて本文の内容理解を深め、語彙力や文法力をつけていくのだ。