英語教育から教育全体の水準を底上げし
子どもの「総合的な生きる力」を伸ばす

大阪府・寝屋川市

2014.03.17

大阪府の北東部に位置する寝屋川市は、大阪市中心部から約15キロ、京都市中心部から約35キロと好立地であることから、住宅地として発展してきた。その寝屋川市の英語教育が、今大きなターニングポイントを迎えていると聞き、寝屋川市教育委員会の竹若洋三教育長らにお話を伺った。

「世界にはばたく子ども」を育てたい

寝屋川市教育委員会教育長
(大阪府都市教育長協議会会長)
竹若洋三先生

寝屋川市教育委員会教育長
(大阪府都市教育長協議会会長)
竹若洋三先生

 寝屋川市が英語教育に力を入れ始めたきっかけを尋ねると、「寝屋川市はね、大きな特長のなかった市なんですよ」と竹若教育長は苦笑する。「そこで、文部科学省の『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想を踏まえて、市を挙げて『世界にはばたく子ども』を育てていこうということになったんです」。このような経緯で、2005年度より5年計画でスタートした小中一貫教育(中学校12校、小学校24校)の施策の一つとして、英語教育の重点化を進めることになったのだ。
 達成目標として掲げているのが、中学卒業時に英検3級を取得していること。具体的指標は「中学生の3級受験率70%」だ。市を挙げて英検受験を推進している理由を聞くと、「子どもたちに自信を持ってほしいんです。英検は全国レベルの検定なので、それをクリアする達成感や認められたという喜びが、いい影響を与えると思います」と竹若教育長は語ってくれた。
 小学校では「国際コミュニケーション科」という科目を設け、「英語活動を通してコミュニケーション力を養う」ことをコンセプトとする授業を実施している(低学年は年10時間、中学年は年20時間、高学年は年35時間)。一般公募した英語教育支援人材が学級担任をサポートし、子どもたちからは「楽しい!」という声が多く寄せられているという。また、2008年度からは小学6年生全員に児童英検の受験を推奨し、市が受験料を全額負担している。このような取り組みは、全国の自治体でも珍しいという。
 一方中学校では、継続して「国際コミュニケーション科」を設けるとともに、英検受験料の補助を行っている。中学在籍中に2回、2000円(1回につき1000円)を補助し、英検受験を推奨しているのだ。その結果、2005年度には35.3%だった受験率(全級)は2009年度には56.6%に上昇し、英検3級以上の合格率も41.4%から59.0%へと大きく伸びたという。周辺の私立高校の中には、英検3級取得者に対する入試面での優遇措置を設ける学校も増えていて、特に中学3年生の英検受験を後押ししているようだ。