英検受験級にこだわらない挑戦で
苦手意識を克服する

大森学園高等学校

2014.04.30

中小機械工場が集まる東京・大森の地に、大森学園高校の前身である大森工業高校は設立された。それから60余年の歳月を経て、時代の変化や進路希望の変化に応えるべく、2005年には普通科を設置。それに伴い、校名を大森学園と改める。校舎も改築し、制服も一新、女子生徒も入学して共学校となった同校で、生徒たちは明るく積極的に学んでいる。学校が“変わった”きっかけや、生徒の学習意欲を向上させた取り組みについて、井上皓司校長と英語科主任の矢部一紀先生に聞いた。

5級受験は恥ずかしくない!自信を持つためのテストで心のケア

井上皓司校長

井上皓司校長

 中学時代に英語の授業でつまずき、苦手意識を持ったまま高校受験を迎え、受験科目に英語がないからと大森学園高等学校の工業科を受験した―。これまで同校の工業科には、こういった“英語嫌い”な生徒が多かった。なかにはアルファベット後半の順序がわからない、小文字の「b」と「d」が見分けられないという生徒もいたほどだ。
 しかし、企業のグローバル化が進む中で、卒業生から「英語なんて生涯無縁だと思っていたら、勤務する工場が海外進出することになり、英語力が必要になった。高校時代にもっと勉強しておけばよかった」というような声が多く寄せられるようになった。それを受けて、英語科の先生の間で、せめて英語を学ぶための基礎学力だけでも身につけてもらいたい、との思いが高まった。そして始まったのが、「英検を目指すことで、英語の一番の基礎を楽しく学ぶ」という取り組み。2003年のことだった。
 しかし、中学時代に英語のテストで苦い思いを体験してきた生徒に、英検受験の勉強をいきなりさせるのは酷だった。それに、高校生としてのプライドもある。「中学を卒業したのに5級を受験?」という声を聞いた矢部先生は、生徒たちの心のケアに気を配った。まず、授業では基本文型だけを繰り返し説明し、生徒には「だまされたと思って声に出して読んでごらん」とひたすら音読を勧め、英語を耳と口からなじませた。そして定期テストの内容は、授業で学習した基本事項のみで複雑な問題の出題はしない「自信を抱かせるもの」とした。生徒たちも70点、80点という高得点を取得。「テストで高得点を取れる喜び」を体感し、自信を取り戻していった。