自分の思いを伝える力を培い、
世界で活躍できる人材を育成

気仙沼高等学校

2014.04.30

「気高」の愛称で地域の人々に親しまれている宮城県気仙沼高等学校。それぞれが長い歴史を持つ男子校の気仙沼高等学校と、女子校の鼎が浦(かなえがうら)高等学校の2校が再編統合して、2005年に開校した共学校だ。未曾有の震災から1年半が経ち、生徒たちは今、自分たちが復興の力になろうと意識を高め、日々、学業に、部活動にと打ち込んでいる。同校が育成したい生徒像と目指す教育、そして生徒たちの現状を取材した。

地域のために、世界を舞台に活躍できる人を育てたい

庄子英利校長

庄子英利校長

 宮城県北端に位置する気仙沼市。太平洋に面した沿岸域は、変化に富んだリアス式海岸を形成し、大島を抱く気仙沼湾は四季静穏な天然の良港だ。だが、昨春の東日本大震災が状況を一変させた。押し寄せる津波に飲み込まれ、火事によって焼き尽くされた町は、前日までの町とはまったく別の光景だった。
 あの日から1年半が経ち、気仙沼の町は少しずつ活気を取り戻している。至るところに積まれた瓦礫(がれき)の山は片づけられ、商店は仮店舗で営業を再開し始めた。震災による大きな被害はなかった気仙沼高校だが、震災直後は避難所生活を余儀なくされた生徒たちも少なくなかった。
 「震災直後でも、生徒たちは明るく振る舞っていたものでした。家庭では大変な思いをしていたはずですが、学校では、そんな素振りは一切見せず、何事にも一生懸命に取り組んでいました」と語るのは庄子英利校長だ。生徒たちには、「高校卒業後、一度は町を出ても、いつか故郷である気仙沼へ戻り、地域のために自分の持てる力を発揮できる人になってほしい」と願っている。
 7年前に再編統合して新生・気仙沼高校として出発した同校は、統合前の各校が持っていた良さを教育の基盤として発展していくことを目指した。「1+1=2」以上の学校になれるようにと、学業はもちろん、学校行事も、部活動も、様々な場面で生徒たちの活躍を教職員と保護者が一体となり、応援している。生徒の活躍ぶりは目覚しく、伝統あるフェンシング部、軟式野球部は全国レベルの実力を誇り、文化部も全国高校総合文化祭などに参加している。学校行事では生徒会を中心に、運動祭や文化祭(気高祭)、球技大会、合唱コンクールなど、大きな盛り上がりを見せている。
 庄子校長は「港町である気仙沼は、海外との交流なくしては町の経済が成り立ちません。そのため、地域全体として海外へ目が向いています。そうした意識を教育の場にも生かし、市内の小中学校はすべてユネスコスクールに加盟し、国際理解教育に力を入れています。本校も鼎が浦高校からの伝統を受け継ぎ、国際理解教育を推進してきました。本校での学びを通じて、世界を舞台に活躍できる人材に育ってほしいものです」と話す。