‘Never Give Up’の気持ちで
何事も前向きに取り組む生徒たち

陸前高田市立気仙中学校

2014.04.30

東日本大震災の大津波に遭いながらも奇跡的に倒れず、人々に勇気と希望を与えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」。陸前高田市立気仙中学校は、その松の木を間近に臨む気仙町に校舎を構えていた。3階建ての校舎は屋上まで津波に飲み込まれたが、生徒たちは全員が無事に避難できた。現在は、統合により使われなくなった旧矢作中学校の校舎で授業を再開しているが、生徒たちの多くは、今なお仮設住宅からスクールバスで1時間ほどかけて通学している。生徒たちの現状、学校生活や英語学習への取り組みを取材した。

生徒のがんばる姿がエネルギーに

熊谷美香先生

熊谷美香先生

吉家秀明校長

吉家秀明校長

 7割の生徒が仮設住宅などから通学しているという気仙中学校。校舎に足を踏み入れると、生徒たちの元気な声が響き渡っていた。廊下ですれちがう生徒たちは笑顔であいさつしてくれる。3年生を担当する国語科の熊谷美香先生によると、「学校へ来れば、友達に会える」「安心できて、元気になれる」と明るく振る舞う生徒が多いのだという。
 制服も、かばんも、筆記用具も、教科書も、校舎も、そして、思い出も、あの日、あの瞬間にみんな流されてしまった。生徒たちのショックは計り知れない。震災後は、とにかく毎日が精一杯だった。まず学校へ来られれば、それでいい。先生方はそうした気持ちで生徒たちに接していた。
 日本各地をはじめ、世界中からも差し伸べられた援助の手。そうした人々の思いに応えるかのように、生徒たちは‘Never Give Up’というスローガンを掲げて、故郷の町をもとどおりにしたいと、復興のためにあきらめないことを誓った。なかでも、震災前の校舎で学校生活を送ってきた3年生は、「気仙中の伝統を後輩たちに受け継いでいきたい」との思いが強かった。新年度を迎え、移転した校舎で行った運動会には、生徒たちが心を一つにして取り組んだ。競技から応援まで、すべて『昔のまま』にこだわり、保護者や地域の人たちにも勇気を与えたという。
 吉家秀明校長は「先行き不安な日々を送る大人たちに向けて、子どもたちのがんばる姿が何よりのエネルギーとなりました」と喜ぶ。