荒尾から世界へはばたく子どもを育てたい~
熊本県荒尾市「やんちゃれ」の活動

熊本県・荒尾市

2014.04.30

西は有明海に面し、北は福岡県との県境に位置する熊本県北西部の荒尾市。かつては炭鉱の町として栄え、現在はジャンボ梨(新高梨)の産地として、そして、ラムサール条約登録の日本最大級の干潟「荒尾干潟」があることでも知られる。この地で活動をはじめ、今年で20周年を迎える国際交流団体「ありあけ国際交流協会(AICS)」の青少年交流部会「Young Challenge(通称:やんちゃれ)」は、地域の子どもたちの視野を世界へ広げ、国際人の育成を目指している。活動の様子を取材すべく、現地へ向かった。

文通交流を復活させたい一心で

 やんちゃれの起こりは今から5年前にさかのぼる。荒尾市立荒尾第五中学校に教頭として赴任した児玉伊左夫先生(現・県立玉名高等学校附属中学校教頭)は、翌年に迫った閉校に向けて、校内の資料整理をしていた。校長室の金庫から見つかった1枚の新聞記事。それは50年前に同中の生徒たちが、米国の中学生と文通交流をしていた記録だった。
 同校の生徒たちが修学旅行で奈良・東大寺を訪れた際に、米国オレゴン州メドフォード市から来日していたマックローリン校の教員と偶然知り合い、交流は始まった。交流開始から1年が過ぎた1963年のこと、三井三池三川炭坑で炭塵が爆発し、犠牲者458人、一酸化炭素中毒患者839人という戦後最悪の事故が起きた。折しも米国では、ケネディ大統領の暗殺事件が起こっており、両国は深い悲しみに見舞われた。事故で家族を亡くした生徒もいるなか、お互いの悲しみを乗り越えてがんばろうと励まし合い、絆を深めていったという。
 そうした過去の歴史を知った児玉先生は、交流相手校だったマックローリン校へ再び交流を持ちたいと文通交流を打診。快く受け入れられ、クリスマスカードやバレンタインカードなどを送り合う文通交流が始まった。だが、閉校は止めることができない。2008年春に閉校式が開かれた際には、マックローリン校の校長からメッセージが寄せられた。
 メッセージには、メドフォード市が荒尾市同様に梨の名産地であることが記されていた。並々ならぬ縁を感じた児玉先生やAICS有志は、交流を途絶えさせてはならないと、同年夏、渡米する。メドフォード市長と面会し、市議会で荒尾市について紹介したほか、マックローリン校も訪れ、歓待された。そして、「文通交流を続けていける」という確かな手応えを感じて帰国し、閉校した荒尾五中の多目的ホールを会場に、「英語で手紙講座」を4回開催して、交流の灯をつなぎとめたのだった。こうして、翌2009年5月、AICSの青少年交流部会として、「やんちゃれ」が発足した。