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| 清水忠和校長 | |
滋賀学園が英語教育に力を入れ始めたのは、前身の八日市女子高等学校から、滋賀学園高等学校となり、男女共学となった1999年のこと。留学コースを設置した後、中高一貫校となり、2004年にはSELHiにも指定され、さらに英語教育に特化した学校として、滋賀学園ならではの英語学習法を確立してきた。その成果のひとつとして挙げられるのが昨年度の「第2回全国高等学校英語スピーチコンテスト」における千葉アナパウラさんの準優勝である。清水忠和校長は「これまで陸上と体操で高校王者、他のスポーツでも全国大会への出場は数多くありましたが、英語を含めた文武両道を推し進めていく本校にとって、英語スピーチコンテストでの生徒の活躍は、学校全体の底上げにつながるのはもちろん、他の生徒にも励みや誇りにもなっています」と語る。
また、同校中高一貫コースの大きな特徴でもある留学に関しても、生徒自身の自立心を育み、単に英語力をつけるに止まらず、他の学習面でも好影響が表れているという。「中学2年では2カ月間、高校に入る前の中学3年から1年間ホームステイをして、また高校の留学コースから入学した生徒も、1年の1月から同様に1年間の留学を実施するため、何事も自分でやらなければならないという意識が強くなるのでしょう。それに加えて英語を担当する先生方の指導によって、英検などの検定試験で、非常に高いレベルで結果を残すことになりました」と清水校長が話すように、同校の中高一貫コースでは、ほぼ全員が中学3年時には英検3級を取得し、準2級以上の取得者も年々伸び、高校2年時で準1級を取得する生徒も確実に増えている。
そのため同校には保護者からの期待も大きく、一方では中高一貫校として同じクラスの生徒と6年間過ごすことのできる環境、先生との身近な距離は、特別なものとして認識されている。学校と家庭の相互理解が深い点も滋賀学園らしさと言えるものだ。清水校長は「だからこそ、地域の子どもたちに滋賀学園に行きたい、保護者の方に行かせたいと思われる学校づくりをしていきたいと考えています。現在、本校には中高一貫、高校では留学、文理、進学、福祉、情報、スポーツのコースがありますが、それぞれを充実させて、また先生方には温かい気持ちで、より一層指導力を高めてもらわなければなりません」と語る。同志社大学や、京都光華女子大学との高大連携も展開し、さらに生徒が自分の目標や将来について具体的に描けるようになった同校には、これまで以上に注目が集まっている。
英語を共通点とした連帯感の強いクラス
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| 英語科 苅米淳先生 | |
そんな同校の中でも、特徴的なクラスと言えるのが、3年1組だ。滋賀学園中学校から進学した生徒たちと、高校から留学・文理コースに入学してきた生徒たちによって構成される混合のクラスである。担任である英語科の苅米淳先生は「私はそれまで中学校の所属だったのですが、この合併クラスを引き受けるにあたり、全員に共通する目標を探すと英語でした。4つのコースはありますが、その壁を越えて、何事もみんなで積極的にチャレンジしていくとても連帯感の強いクラスです」と語る。
事実、文系進学、理系進学、中高一貫留学、高校留学といった4つのコースの生徒39人が机を並べながらも、高2段階で英検準1級3名、2級15名、準2級16名と英語への学習意欲が非常に高いクラスとなった。前述の千葉さんもこのクラスの一員である。
また、苅米先生は、同校のユニークで効果の高い学習手法や英語授業を牽引する存在でもある。たとえばそのひとつが「嘘読み」と言われるものだ。「これは英検の二次試験の対策でもあるのですが、二次試験は知らない単語があっても読まなければいけません。その時に『習ってないから読めません』とは言えない。そのため、英語の授業では聞かせる前に、いきなり読ませることを考えました。間違っていても良いからまずは声を出して読ませています。ただ、嘘やあいまいなままだと人は本当のことを知りたくなるもの。そこからあらためて正解を聞かせると、わからなかった部分(自分の嘘)を集中的に聞こうとするようになります」と苅米先生は話す。
授業では音読、文法、語彙を3本の柱として、特に音読に3分の2の時間を費やす。「嘘読み」の他にも20種類以上の手法を用いて、生徒が声を出すこと、さらにはきれいな発音ですらすらと読めるような工夫を凝らしている。実際に音読を一生懸命取り組んだ生徒ほど、リーディングの力も伸びているとのことで、生徒も結果が伴ってくれば信頼し、自信を深めていくという。「ただ読みなさいでは生徒は声を出さなくなる。様々な手法を取り入れることで、生徒は活き活きと楽しく読むようになります。生徒は1時間ゲームをしていたような感覚かもしれませんが、声を出していくことで、自然とリスニングの力が高まり、スピーキングもリーディングも実力が上がるというデータがあります」と苅米先生が話すように、こうした取り組みは、卒業した中高一貫コースの1期生の授業で何度も検証され、現在に至る。おもしろくて盛り上がる授業ほど成果が出たというが、当然ながらおもしろいだけでなく、どの授業が英語学習に効果的だったかをきちんとフィードバックし、そこからクイズやゲームなどを取り入れた授業が行われていくようになった。
「ただ、ユニークな授業はあくまで動機付けに過ぎません。英語が好きになって、自信がついてくれば、自ら英語の勉強に時間を費やすようになります」と話す苅米先生は、以前、大阪の学校で勤務していた時代に、菅正隆氏の長吉高校での授業を見学したことがある。そこで生徒の意識の高さを目の当たりにし、授業のやり方次第で生徒は先生のほうを見る、授業の不出来を生徒のせいにはできないと実感したという。その影響から、どうしたら生徒に授業中の意識を高めてもらえるかを考えることに力を注ぎ、試行錯誤を繰り返しながら、滋賀学園に着任し、1期生との経験を経て、着実に手法や授業を考え出していった。
その中でも、英検は集団教育の特に効果的な手法として用いられている。他教科の先生も体育祭や文化祭と同様の学校イベントであるととらえ、生徒同士がお互い支え合って伸び合うことが大事と理解を示しているのも特筆すべき点だ。英検の取り組みは、毎回20時間以上の授業を使って対策学習が行われる。そこではグループ学習が基本であり、グループは学力で平均化し、どこかのグループだけが優秀になるのではなく、均等に振り分けていく。ゼロの状態の模擬試験からスタートし、マラソンテストという独自の、反復が出来る教材で学んでいく。テストはグループの全員が合格しなければ次に進めないため、合格できない生徒がいればグループ内で教え合い、生徒同士で工夫するという。また、データに基づいた長文対策や文法事項の先取り、並べ替えの対策などにも時間をかけていくことで、進度に影響が出ないようにしている。また高い語彙力をつけることにも役立っているという。
「英検は受験級によってクラスを編成することで、照準を明確にして指導ができるのもいいところです。同じ目標を持つことで、チーム意識が高まりやすく、自分だけでなくチームとして成果を目指すようになる。それが取得率の高さにつながっています。また、勉強したいと言う生徒に対して最大限のバックアップをすること、これが大事なんです。不合格の生徒でも、伸びを実感させることで、次は合格するという気持ちになれます」と苅米先生。
高校に転属になったのをきっかけに昨年度高校2年生の授業に5段階の習熟度を提言し、実行にいたった。それにより教員がどこに照準があわせるかというジレンマがなくなったという。他にもOCUでの学年の枠を超えた三分割習熟度など生徒のレベルとニーズに応じた授業を展開することで学校全体の英語力の底上げに取り組んでいる。こうして実験的に行われるさまざまな習熟度授業により、滋賀学園の英語の特徴は今後さらに高められていくだろう。
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