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ジュニアルファのマメ知識

Froggy Gets Dressed  (Jonathan London 文 Frank Remkiewicz イラスト)

今月ご紹介するのは、ある冬の日に慣れない身支度に奮闘するカエルのFroggyのお話です。冬眠からふと目を覚まし、窓の外に雪が降っているのを見て興奮したFroggyは、外に出て雪の中で遊ぼうと着替えを始めます。靴下を履き、ブーツを履き、帽子をかぶり、マフラーを巻き、手袋をはめと完全防備で外に出たはずだったのですが、窓から聞こえた「Frrrooggyy!」というお母さんの大声に自分の格好を改めてよく見ると、なんとズボンを履き忘れてしまっていたのです。あわてて家に戻ったFroggyはせっかく身につけた手袋もマフラーも帽子もブーツもすべて脱ぎ、今度はきちんとズボンを履きました。けれども意気揚々と外を出たところ、またもお母さんに呼び止められてしまいます。さて、今度はいったい何を忘れてしまったのでしょう。衣服や脱ぎ着に関わる名詞や動詞がいくつも登場し、Froggyが着替える場面では衣類によってそれぞれ違った擬音語も飛び出すので、音読をするのが非常に楽しい作品に仕上がっています。また、最後無事に着替えを終えてめでたしめでたしというエンディングかと思いきや、そうはならないところがいかにもお調子者のFroggyらしく、ストーリーを一層魅力あるものにしています。本作ですっかり人気者となったFroggyの物語はその後シリーズ化され、作者Jonathan LondonとイラストレーターFrank Remkiewiczのコンビによる作品が多数出版されています。


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The Night before Christmas  (Clement C. Moore 文 Scott Gustafson イラスト)

今月は間近に控えたクリスマスの絵本をご紹介します。もともとはコロンビアの大学教授で神学者でもあったClement C. Mooreによって書かれた詩である本作は、数あるクリスマスに関する作品の中でももっとも有名な一作に挙げられるでしょう。物語は文字通りクリスマスイブの、家中が寝静まった真夜中に起きる出来事です。物音に目覚めた一家の主が窓の外から身を乗り出してみると、そこには8頭のトナカイに引かれたそりに乗る聖ニコラウスの姿がありました。その後、屋根から煙突をつたってすすだらけで登場した聖ニコラウスは、おもちゃでいっぱいの包みをかかえ、家中に吊るされた靴下に次々に贈り物を入れていくのです。やがて靴下がいっぱいになったのを見届けると、再び煙突から屋根に登り、そりに飛び乗った聖ニコラウスは「クリスマスおめでとう!」の声とともに、あっという間に夜空へと遠ざかっていったのでした。この詩の中の聖ニコラウスが、サンタクロースのモデルとなっていることは間違いありません。現代のサンタクロースのイメージに通じる真っ白な髭を伸ばし、ふくよかで陽気な老人の姿が、詩の中では詳細に描かれています。また、日本ではあまり知られていませんが、お供の8頭のトナカイには一頭一頭名前がついており、そのどれもが白雪姫に登場する7人の小人よろしくそれぞれの特徴をとらえた個性的なネーミングとなっているのです。今回ご紹介したのはアメリカ人画家のScott Gustafsonがイラストを手がけたものですが、他にも以前にご紹介したTasha Tudorによる挿絵のものや、しかけ絵本の第一人者、Robert Sabudaによるポップアップ絵本など、数多くの作品が出版されています。この機会に他の作品も含め、読み比べをしてみてはいかがでしょうか。


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George and Martha  (James Marshall 文・イラスト)

今回ご紹介するのは、GeorgeとMarthaという大の仲よしの二匹のカバのお話です。最初のページにFive Stories About Two Great Friendsと書かれているように、親友とも恋人同士ともとれる二匹の姿を描いた心温まる5つのエピソードが収められています。互いを大切に思うあまり相手を気遣って言いたいことを言えなかったり、逆に近い存在であるがゆえに、ときにぶつかったりするGeorgeとMartha。たとえば第二話では気球に乗って空に飛び立つという壮大な計画を立てたものの、結局失敗に終わってがっかりするGeorge にMarthaが優しくこう語りかけます。”That’s all right. I would rather have you down here with me.” シンプルながらキャラクターの表情が見事に引き立つイラストと、ほのぼのとしたGeorgeとMartha のやり取りが絶妙にマッチしています。全編を通して友情の大切さがストレートに伝わる本作ですが、最終話は作者のメッセージを集約するような二匹のこんな会話で締めくくられています。”They [friends] always look on the bright side and they always know how to cheer you up.” ”But they also tell you the truth.” 本作の出版後、続編も次々に刊行され、カナダではテレビアニメとしても放映される人気シリーズとなっています。


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Kitten's First Full Moon  (Kevin Henkes 文・イラスト)

今年は9月12日が中秋の名月でしたが、今回は満月をテーマに、初めて満月を見た子猫のお話をご紹介したいと思います。ある晩、空に真ん丸なお月さまが浮かんでいるのを見た子猫は、ミルクの入ったボウルがあると勘違いして、そのミルクが欲しくなります。しかしいくら精一杯首をのばしてなめようとしても、力いっぱい飛び上がってみても空に浮かぶボウルには届きません。その後もボウルを追いかけて走りまわり、木のてっぺんまでやってきた子猫が下を見下ろすと、今度は池の中にもう一つボウルが浮かんでいるではありませんか。しかもさっきより大きなボウルです。そのボウルが月の影が池に映ったものとは知らずに、子猫はミルクめがけて池に飛び込みます。さて、無事にミルクを手に入れることはできたでしょうか。全編通してモノクロのイラストが味わい深く、くるくると変化する子猫の表情を一層引き立てています。本書は2005年にコルデコット賞を受賞しており、『まんまるおつきさまをおいかけて』というタイトルで邦訳も出版されています。


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Moira's Birthday  (Robert Munsch 文 Michael Martchenko イラスト)

今回ご紹介するのは、誕生日に特別なパーティを開こうと大騒動を繰り広げる女の子のお話です。本書の生まれるきっかけは、作者のRobert Munschが本の宣伝と読み聞かせのためカナダをツアー中に、その名もMoiraという女の子に出会い、誕生会用のお話を作ってほしいと頼まれたことにあったとMunsch自身が語っています。さて、物語の中のMoiraは自分の誕生日会に、両親に内緒で学校中の生徒を招待してしまいます。家中にあふれかえった子どもたちを見て慌てふためく両親を尻目に、Moiraは200枚のピザとケーキを注文するのですが、そんな大量の注文を受けたことがないピザ屋もケーキ屋も途方に暮れてしまいます。Moiraの両親をはじめ、ピザ屋のおかみさんにケーキ屋のご主人などMoiraにすっかりペースを乱されててんてこ舞いの大人たちの表情と、落ち着きはらって次々と解決案を生み出していくMoiraとの対比が印象的です。さて、物語の終盤、子どもたちがみんな帰ってしまった後になってやっと届いたピザとケーキの山を前に、Moiraはどんな提案をしたでしょう。文章は長めですが、繰り返しも多くテンポよく書かれた文章を、ぜひ音読しながら味わってほしいと思います。Munschはカナダ在住の児童文学作家で多数の絵本を出版しています。本書の他にも母と息子、その娘と三世代にわたる親子の絆を描いたLove You Foreverは特におすすめです。


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What Can a Hippopotamus be?  (Mike Thaler 文 Robert Grossman イラスト)

今回の絵本はカバが主人公のユーモアあふれる一作です。共にアメリカ人のMike Thalerが文章を、Robert Grossmanがイラストを手がけた本作は、児童文学者の今江 祥智が全編を通して大阪弁で訳したユニークな日本語版も出版されているのですが、今回注目したいのは一冊でその原文と訳文の両方を同時に楽しめる『英語でもよめる ぼちぼちいこか What Can a Hippopotamus be?』です。ストーリーは主人公のカバが将来自分は何の職業につくのかと思い悩むも、なかなか自分にぴったりの仕事が見つからず奮闘するというものです。Fire fighterやballet dancer、piano playerなど職業の名前が多数登場し、その一つひとつになりきるカバの姿が実にユーモラスです。なぜWhat Can a Hippopotamus be?という原作のタイトルが『ぼちぼちいこか』という邦訳になったのかは物語を最後まで読めば分かるようになっています。ラストにはっきりした結論が出ないところが本書の魅力のひとつであり、焦らずゆっくり自分のペースで人生を歩いていけばいいんだよという作者からのメッセージにつながっているといえるでしょう。全体を通して流れるやわらかい雰囲気とほのぼのとしたイラストを、大阪弁の訳語が一層引き立てていると思います。今江は自らの著作も多数ありますが、『すてきな三にんぐみ』など、翻訳家としても知られています。原文では” Can a hippopotamus be a ~?”に対する答えが”No.”で統一されているのに対し、日本語版は韻や言葉遊びをふんだんに用いたさまざまな訳され方がされているので、その違いも声に出してぜひ楽しんでみてください。


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Animalia  (Graeme Base 文・イラスト)

今回ご紹介するAnimaliaは一風変わったアルファベット絵本です。表紙を開けるとタイトルの下に、Animaliaという動物王国に読者をいざなう作者Graeme Baseからのメッセージが書かれています。さらにページをめくるとアルファベットの各文字で始まる動物たちが飛び出してくるのですが、本書の魅力はそれだけではありません。各ページにはその文字で始まる文章とイラスト、単語の数々が散りばめられているのです。例えばEのページではイースターエッグを食べている8頭の象が描かれていますが(原文ではEight enormous elephants expertly eating Easter eggs)、象の抱えるイースターエッグの一つひとつにもEricやElizabethなどEで始まる人の名前が書かれているという凝りようです。イラストも動物たちを描いた精巧で写実的なものから、人物の描写に見られる柔らかなタッチのものまで様々で、さらにフォントもページごとに違うというぜいたくな作りになっています。また、タイトルページのメッセージでは、「Animaliaのどこかで私に会えるかもしれませんよ。」という言葉とともに幼少期の作者自身が描かれているのですが、その言葉通り、どのページにも必ず表紙と同じBase少年のイラストが隠れています。言葉遊びと絵を堪能するという楽しみに加えて、隠れたイラストを探すというおまけもついた本作は、小さなお子さんから大人まで世代を問わず、何度でも読み返したくなる一作となっています。


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If You Give a Mouse a Cookie  (Laura Numeroff 文 Felicia Bond イラスト)

前回はかなり長さのある読み物をご紹介しましたが、今月の絵本は小さなお子さんに特にお薦めしたい一作です。タイトルと同じく、「ネズミにクッキーをあげたなら…」で始まる本作は、たまたま通りがかりのネズミにクッキーをあげた男の子が、その後もちゃっかり者のネズミの注文に次々につき合わされるはめになるというお話です。クッキーの次はミルクも欲しいと言って家にあげてもらったのをいいことに、ネズミは様々な要求をし、男の子はそれに必死に応えようとします。その様子がIfやWhenやSoで始まるリズミカルな文で語られているので、音読を繰り返すことで、意識せずに接続詞で始まる文の構造を学べると思います。また、爪切り(nail scissors)やミルクを飲んだ後に口の周りにできるmilk mustache(ミルクの口ひげ)といった子どもの日常生活に根ざした表現が多数出てきます。最後のページでは、めぐりめぐってまたクッキーを手にしたネズミの得意満面の表情と、すっかり疲れきった様子の男の子の対比がなんともユーモラスです。Felicia Bondのほのぼのとしたイラストも、わんぱくながらどこか憎めないネズミの様子をよく表していて、本作の魅力を引き立てています。彼女とLaura NumeroffのコンビでほかにもIf You Give A Pig A Pancake など、If You Give Aで始まるタイトルのシリーズが何作か出版されています。


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The Country Bunny and the Little Gold Shoes, As Told to Jenifer
(DuBose Heyward 文 Marjorie Flackイラスト)

今回の絵本はイースターを題材にしたお話です。復活祭とも言われるとおりキリストの復活を祝うお祭りであるイースターは、日本でこそあまり馴染みがないものの、キリスト教の文化圏ではもっとも重要な祭日となっています。アメリカ人作家のDuBose Heywardが残した唯一の児童文学作品であり、タイトルにAs Told to Jeniferとあるのは、ウサギが大好きな娘のJeniferのために彼が作った物語が元になっているためです。この本の主人公はふわふわのコットンボールのようなしっぽをもつウサギの女の子、Cottontailです。Cottontailの夢はイースターバニーになること。物語の最初に書かれているように、イースターバニーの役割はイースターイブの日没からイースター当日の夜明けまでに、世界中の子供たちにイースターエッグを届けることです。けれどもたった5匹しかいないイースターバニーになれるのは、世界中で選りすぐりの俊足で賢いウサギだけ。幼いCottontailの夢を相手にしてくれる人は誰もいません。さて、月日が流れ、Cottontailは結婚して21匹のウサギの母親となりました。そんな折、5匹のうちの一匹が年を取ったため、代わりとなる新たなイースターバニーが選ばれることになったのです。はたしてCottontailは夢をかなえることができるのでしょうか?タイトルにあるGold Shoesの行方とあわせて、ストーリーをじっくり楽しんでいただきたい一作です。


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Bark, George  (Jules Feiffer 文・イラスト)

今回の絵本は、なかなか犬らしい鳴き声で鳴くことができない子犬のGeorgeが主人公のお話です。日本語で犬の鳴き声といえばワンワンというのが定番ですが、英語で犬はbowwowやarfと鳴くのが一般的です。さて、お母さんに”Bark, George.”と促されたGeorgeですが、口から出てきたのはarfではなく、なんとmeowという猫の鳴き声だったのです。その後もアヒル、ブタ、牛など別の動物の声で鳴き続けるGeorgeは、心配したお母さんに獣医さんのところに連れて行かれてしまいます。そこでの大騒動の末、めでたく犬本来の鳴き声を取り戻したGeorgeは、喜び勇んで帰る道々たくさんの人間たちを見て、最後に一言なんと鳴いたでしょうか?この本の作者のJules Feifferは漫画家、作家、脚本家と多様な顔を持ち、ピューリッツァー賞を受賞した経歴ももっています。Feifferのイラストはシンプルながら味わい深く、本作でもパステルカラーの背景に登場人物の活き活きとした表情がよく映えています。動物好きのお子さんにぴったりなのはもちろんのこと、日本語とは違った様々な鳴き声を学べるので、動物を導入する教材としても大活躍しそうな作品になっています。


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Winter's Tale  (Robert Sabuda 文・イラスト)

今回は、ポップアップと呼ばれるしかけ絵本の第一人者であるロバート・サブダの作品を取り上げたいと思います。その精巧さから紙の魔術師として知られるサブダの絵本は、紙面からはみ出すほどの迫力で飛び出してくるしかけの数々が特徴的です。数ある作品の中でも『不思議の国のアリス』や『オズの魔法使い』に代表されるように、既に原作のあるものをポップアップにした絵本が有名ですが、本作Winter's Taleはサブダが初めて物語も自ら手がけた、オリジナルストーリーとなっています。全体的に白を基調としたデザインで、本文も比較的短く、シンプルに書かれているので、純粋にペーパークラフトの技巧の見事さを堪能できると思います。ふくろう、キツネ、クマ、ヘラジカなどの動物たちがページをめくるたびにどのように形を変えて出てくるか、ぜひお子さんと一緒に楽しんでください。最後のページにはポップアップに加え、さらにあっと驚くしかけもついています。現在サブダはニューヨークを拠点に活動し、毎年のように新作を発表しているので、本作をきっかけに、他のサブダ作品も手にしてみてはいかがでしょうか。


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Go Away, Big Green Monster!  (Ed Emberley 文・イラスト)

今回はモンスターの出てくるしかけ絵本をご紹介します。表紙のきらきらした装丁が目を引きますが、いざ最初のページを開くと真っ黒な背景に黄色い目だけが浮かび上がります。そこからページをめくるごとに鼻、口、耳とモンスターの顔の部分が一つずつ現れるのですが、顔全体が完成して終わりとならないのが本書のユニークなところです。中盤でbig green monsterが登場したあと、お前なんかこわくないぞ、ということでGo away(あっちへ行っちゃえ!)というかけ声とともにさらにページをめくると、モンスターの顔のパーツが今度は一つずつ消えていくのです。さて、最後に何が残るでしょうか。顔の部位や色の名前、他にもlong、sharp、scaryといった様々な形容詞をイラストと共に学べます。また、繰り返し出てくる”Go away ~”というフレーズは、お子さんもきっと喜んで声を出してくれると思います。結びの決め台詞も楽しく、音読にうってつけの一作となっています。


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Burger Boy  (Alan Durant 文 Mei Matsuoka イラスト)

今回は食欲の秋にぴったりな、食べ物のイラストがたくさん登場する絵本をご紹介します。主人公のベニーは野菜が嫌いな男の子。ベニーが食べるものといえばハンバーガーだけなのです。「そんなにハンバーガーばかり食べているとそのうちハンバーガーになっちゃうわよ」とお母さんに言われ続けたベニーですが、ある日いつものようにハンバーガーショップから出てきたところ、なんと本当にハンバーガーになってしまいます。お腹を空かせた犬や少年たちに追いかけられ、牛に責められ、と散々な思いをするベニーのところにようやく助け舟が現れますが、ベニーを車に乗せてくれたのは、大好きなハンバーガーショップの店員さんだったのです…ストーリーはリズミカルな文章でテンポよく語られ、登場人物の生き生きとした表情が特徴的なイラストと相まって、ユーモアあふれた作品となっています。ラストはひねりのきいたなんとも微笑ましい結末となっているので、ぜひ注目してください。なお、最後に本作でデビューを果たしたイラストレーターの松岡芽衣にもふれておきたいと思います。日本人の父とイギリス人の母をもつ彼女は、そのバックグラウンドを活かし日英の両国を拠点に活動しています。やわらかいタッチの、ほのぼのとしてかつコミカルな彼女のイラストが、本作を一層魅力のあるものとしています。

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Listen, Listen  (Phillis Gershator 文 Alison Jayイラスト)

まだまだ残暑の厳しい日が続きますが、今回ご紹介する絵本は一冊で四季の変化を味わえる作品となっています。タイトルと同じく”Listen, listen … what’s that sound?”というフレーズで始まる本作は、夏の真っ盛り、辺り一面に虫の音が響き渡るところから物語がスタートします。その後も秋から冬、そして春へと季節が変わっていくのを様々な草木や生きものが伝えてくれるのです。夏に虫の鳴き声というのは日本では馴染みのない気もしますが、欧米ではどんなもので季節の移り変わりを感じるのか、その受け止め方の違いを比べながら読むのも楽しいと思います。イラストは表面にひびが入ったような独特な手法で描かれていて、どこか懐かしい暖かな印象を与えます。また、虫や動物の鳴き声などにはonomatopoeiaと呼ばれる擬音語・擬声語が豊富に使われています。多少耳慣れない単語でも、韻が踏まれていてテンポのよい文章が続くので、耳からも目からも楽しめる一冊といえるでしょう。本文の後ではそれぞれの季節を象徴するものがイラストと共におさらいできるという、最後の1ページまで趣向が凝らされた作品となっています。

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The Very Lonely Firefly  (Eric Carle 文・イラスト)

今回の絵本の作者であるEric Carleは、現代のアメリカでもっとも有名な絵本作家の一人です。70を超える著作は世界中で翻訳されており、代表作であるThe Very Hungry Caterpillarをご存知の方も多いのではないでしょうか。Carleは以前ご紹介したA Color of His Ownの作者であるLeo Lionniにも影響を受けたといわれ、コラージュ手法によるイラストが印象的です。また、動物が登場する作品が多いのも大きな特色で、今回ご紹介する絵本はホタルが主人公です。一人ぼっちのホタルは友達を探して夜の空を飛び回り、明かりを見つけるたびに近づいてみるのですが、何か別の光るものがいるだけで、仲間のホタルにはなかなか出会うことができず…というお話です。文章は繰り返しが多く、読み聞かせに最適だと思います。特に最後のページでは、ストーリーの結末と特別にほどこされたしかけに、お子さんからきっと歓声が上がるでしょう。Carleの絵本は上に挙げたThe Very Hungry CaterpillarやBrown Bear, Brown Bear, What Do You See? など英語教材としてよく使われる作品が多数ありますが、他にユニークなものとしては、Carleが日本の絵本作家のいわむら かずおと共作したバイリンガル絵本のWhere Are You Going? To See My Friend! をお薦めします。

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Happy Birthday, Moon  (Frank Asch 文・イラスト)

今回の絵本は、月のことが大好きな、可愛いクマが主人公のお話です。ある晩クマは空を見上げながら、月に誕生日プレゼントをあげようと思いつきます。とそこまではよかったのですが、さあ月の誕生日がいったいいつなのか、また何をあげたらいいのか分かりません。そこで月に直接たずねようと山に登って呼びかけてみることにします。ようやく山のてっぺんにたどり着いたクマが何を聞いても、返ってくるのはこだました自分の声。けれどもそんなこととは知らないクマは、月と会話をしている、と勘違いしてしまうのです。そうして月にプレゼントのリクエストを聞いたクマは、はたして何をあげたのでしょう。ほのぼのとしたストーリーが、柔らかなタッチと優しい色合いのイラストと相まって心温まる一作となっています。なお、物語を最後まで読み終えたら、ぜひもう一度裏表紙をながめてみてください。作者のFrank Aschはアメリカの児童作家で絵本の著作も多数ありますが、このHappy Birthday, Moonに始まるMoonbearのシリーズはそんな彼の代表作といえるでしょう。同シリーズの一作でクマが今度は月とかくれんぼをするというMoongameも本書と並んでお薦めです。

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A Color of His Own  (Leo Lionni 文・イラスト)

今回ご紹介する絵本の作者Leo Lionniといえば、小学生のお子さんには教科書に出てくる『スイミー』の作者として馴染みがあるのではないでしょうか。オランダに生まれ、後にアメリカに渡った著者は、絵本作家、イラストレーター、グラフィックデザイナーとして多彩な才能を発揮し、ほかにも『あおくんときいろちゃん』(原題 Little Blue and Little Yellow)など世代を超えて読み継がれている数々の名作を残しました。さて本書はそんなLionniの絵本の中でも、独特の鮮やかな水彩画が目を引く一作です。主人公のカメレオンが、他の動物たちにはそれぞれ独自の色があるのに自分には決まった色がないことを思い悩み、その色を探しに出かけるというお話です。ぴったりの色がなかなか見つからないなか、カメレオンは一匹の仲間に出会います。やがて二匹の間に友情が芽生え、友達という宝物を見つけたことで、彼の自分探しの旅もハッピーエンドを迎えるのです。Lionniの他の作品と同様本作もメッセージ性の強い作品で、子どもだけでなく大人も楽しめると思います。なお、『スイミー』を始め、Lionniの作品の邦訳を多数手がけている谷川俊太郎による本書の日本語版は、『じぶんだけの いろ ―いろいろさがしたカメレオンのはなし』というタイトルになっています。

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The Wheels on the Bus  (Annie Kubler著 (イラストも))

新学期を迎え、4月に幼稚園に入園したお子さんの中には、毎朝バスで通園する生活が始まった方もいることと思います。今回は、そんなみなさんにぴったりのバスの絵本をご紹介します。乗り物好きな子にもきっと喜んでもらえる一冊となっています。The Wheels on the Busというのはもともとは英米で有名な童謡で、絵本としてもさまざまなバージョンが出版されています。その中でも本作の特徴は“Classic books with holes”というシリーズ名にも表れているように、イラストのところどころがくりぬかれた仕掛け絵本になっているということです。穴の開いた部分がページをめくるたびにどんどん違う絵に変わっていくので、その変化を探すのも楽しいでしょう。また、ページごとに新たな乗客が一人ずつ加わっていくのですが、その登場人物たちが実に個性豊かです。これらのキャラクターは本文には書き込まれていないので、絵を見ながら読者が想像力を膨らませられる部分だと思います。さて、満員となったバスの乗客たちはある目的地に向かうのですが、その答えは最終ページで明らかになるのでぜひ実際に読んで確かめてみてください。なお、元となった童謡のメロディーを聞いてみたいという方には、CDつきのものも出版されています。

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1 is One  (Tasha Tudor著 (イラストも))

今回は春の訪れが感じられるこの時期にぴったりな、美しい草花や動物の挿絵が楽しめる一冊をご紹介したいと思います。アメリカでもっとも有名な絵本画家・挿絵画家の一人であるTasha Tudorによって書かれた本作は、“1 is one”というタイトルから想像できるように、数の数え方がテーマになっています。1から10までの数字の本は多数ありますが、本書は20までの数を扱っており、そのうち奇数のページはカラーで、偶数のページはモノクロで描かれています。また、韻を踏んだリズミカルな本文も非常に魅力的で、目でだけでなく耳で楽しむことができます。Tasha Tudorは2008年に92歳で亡くなるまで、生涯に100冊近い絵本のイラストを手がけました。その才能は園芸家としても発揮され、57歳のときにバーモント州に移り住んでからは、庭造りが彼女の生活の中心となりました。その後30年以上にわたり自ら広大な庭の手入れをし、草花のスケッチを楽しんだのです。本書が描かれたのはそれ以前のことですが、ふんだんに登場する草木や動物たちの精細なスケッチからは、自然へのあふれんばかりの愛情が伝わってきます。Tashaが本書に込めた願いどおり、「子どもたちが楽しみながら数を学べる」一冊だと思います。なお、本作は前々回にご紹介したSnowと同様、コルデコット賞の次点に選ばれています。

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What Makes a Rainbow?  (Betty Schwartz著   Dona Turnerイラスト)

今回は幼児から高学年の子どもまで楽しめる、しかけ絵本をご紹介します。物語はある雨の日のこと、ウサギの坊やが抱いた「虹は何からできているの?」という素朴な疑問で始まります。坊やはその答えを探すために、6匹の動物たちに聞いて回ることにするのですが、てんとう虫やキツネなど、尋ねる相手によって違う答えが返ってきます。ただ、この6という数字がポイントになっていて、最後にみんなの答えを聞いて初めて、虹が何からできているのか分かってめでたしめでたしというストーリーです。日本では虹は7色というのが定番ですが、この絵本では6色しか出てきません。文化によって虹の色の数が違うということを本書で知る子どもたちもいるのではないでしょうか。絵本のしかけはリボンを使った非常にユニークなものなのですが、最終ページではまた一味違ったしかけが楽しめます。文章はやや長めなので、小さな子どもにはしかけを楽しみながら色や動物の名前に親しんでもらい、高学年になったらじっくりストーリーを読んでもらうなど、様々な楽しみ方ができる本だと思います。


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Snow  (Uri Shulevitz 著)

今回ご紹介するのは雪をテーマにした作品で、その名も“Snow”という絵本です。最初の場面で空から降ってきた一片の雪(a snowflake)に気づいたのは町でただ一人、主人公の男の子だけだったのですが、次第に、two snowflakes, three snowflakesと雪のかけらが増えていき、初めは半信半疑だった町の人たちもだんだんと…というお話です。この本の特徴は、幻想的なイラストと、短くて非常にリズミカルな文章にあるといえるでしょう。イラストは、モノトーンで描かれた個所と彩り豊かな絵のコントラストがはっきりしていて、例えば物語の冒頭で雪が降り始めるシーンでは、灰色一色の空にほんの一片だけ真っ白な雪が描かれます。読み進めながら、見開きのページのどこにその雪があるのか探すのも楽しいと思います。
また、文章に関しては、主人公のBoy with dogに始まり、その他の登場人物にもMan with hatやWoman with umbrellaと同じ形のフレーズが繰り返し用いられます。作者のUri Shulevitzはポーランドのワルシャワ出身ですが、アメリカに移住し、現在はニューヨークで執筆活動を続けています。なお、本作は1999年に、アメリカで毎年最も優れた絵本作品に贈られるコルデコット賞の次点に選ばれました。味わい深いそのイラストは、子どもだけでなく大人も一緒に楽しめますので、読み聞かせにはお薦めの一冊です。

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Brian Wildsmith's ABC  (Brian Wildsmith 著)

今回ご紹介する “Brian Wildsmith’s ABC”は、文字はほとんどありません。1ページごとにAからZまでの文字とそれぞれの文字で始まる単語が、イラストと共に描かれています。数あるアルファベット絵本の中で、本書がお薦めの理由はいくつかあります。まず、小さい子どもたちを対象とした絵本として、手のひらサイズの大きさと、「ボードブック」という丈夫な装丁はとても魅力的です。また、文字が少ないので初期学習者の子どもにも楽しんでいただけると同時に、学習段階に応じて様々な使い方をすることができます。例えば、最初のarmadilloのページを開いてみると、黄土色一色ではなく、色彩豊かでいまにも動き出しそうなアルマジロの絵がそこにはあります。じっくりと絵を見てarmadilloという単語を確認したら、“What color is it?”と質問して、そこから家や教室の中で同じ色のものを探させるといったアクティビティーに発展させることもできるでしょう。また、文字学習のある程度進んだ子どもには、Aで始まる他の単語を挙げてもらうなど、アルファベットの認識を高めるために使うこともできると思います。『ワイルドスミスのABC』というタイトルで邦訳も刊行されていますが、日本語版には英語版とは一部変わった趣向も凝らされているので、ぜひ比較してみてください。

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Dear Santa  (Rod Campbell 著)

初回の今月は、12月ということでクリスマスの絵本をご紹介したいと思います。この本の最大の特色は、読者が本の中の隠れた絵を見つけることができる、フラップブックという形式の「仕掛け絵本」であるということです。主人公にふさわしいクリスマスプレゼントはないかとサンタクロースがあれこれ思い悩み、様々なものを包んでみるのですが、その中身は実際にフラップ部分をめくってみないと分からないような工夫がほどこされています。本文もシンプルな文の繰り返しが多く、音読にぴったりです。また、プレゼントを選ぶ過程で出てくる、“too small”, “too big”といった様々な形容詞を学ぶこともできます。特に最後のページには特別な仕掛けが隠されているので、ページごとにプレゼントの中身を推測しながら、ぜひお子さんと一緒に何度も読んで触って楽しんでみてください。なお、本書の著者Rod CampbellはDear Zooというフラップ絵本も出版しており、こちらにはいろいろな動物が出てくるので、やはり小さなお子さんにおすすめです。

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