「先端的な学習機器を活用し、独自の英語学習システムを推進する」
京都市・ノートルダム学院小学校
ノートルダム学院小学校は、創立以来、キリスト教精神に基づいた人間教育とともに、英語教育に力を注いできた。ノートルダム・イングリッシュとして名高い英語教育は、全学年・全時間、英語専科の先生とALTのティームティーチング進められ、先端的な学習機器の活用が大きな特色だ。
語彙・慣用句・定型文の正しい発音と自己表現力の育成

学習効果の高いコンピューターを活用した授業ノートルダム学院小学校の英語科の学習時間は、1〜4年生が40分授業を週2回、5・6年生は進学受験を考慮して週1回である。英語科の目標は2つあり、1つは一定の語彙、慣用句、定型文をできるだけ正しい発音で身につけさせること。もう1つは自己表現力の育成である。その目標を達成させるための指導方針は、「楽しい・わかる・身につく(定着する)英語」である。授業頻度の低い英語学習状況の中で、いかにして「定着」まで持っていくか、さまざまな試行錯誤が繰り返された。
4年生の英語を担当し、英語科主任を務める行田隆一教諭は「楽しみがあり、理解することができてはじめて定着させることができます。そこで考えたのが、オリジナルコンテンツの開発を含めたコンピューターの活用、自主教材の開発、到達目標の設定です」と話す。
授業の主力となっている学習機器が、英語教室正面にある縦80センチ、横110センチのタッチパネル機能を持つ電子黒板と、42台のコンピューターである。電子黒板に写し出される動物や果物のスライドは、フラッシュカードと比較して掲示する力は段違いだし、なにより記憶に働きかける視覚的な学習効果が高い。「OPEN CLOSE GAME」というゲームでは、画面にある扉が開いたり閉じたりし、次に何が出てくるか子どもたちはわくわくしながら待っている。グループ対抗戦になっていて、スライドが出たとき元気よく子どもたちは手を挙げるが、その表情は「分かった!」「……?」とさまざまだ。行田先生はそれを見逃さず回答者を指名する。はちきれるような笑いと歓声のなかで、学習意欲を高めながら、「定着」につなげていく。
コンテンツは、語彙指導、音声指導、文型指導、学習ゲーム、高学年用のスキット集などが用意されている。語彙指導用で、形容詞の反対語を教えるコンテンツの一例として、fastとslowの場合、画面左側にウサギとカメの絵が上下に並んでいる。画面にタッチすると2匹が同時に右へ走り出し、ウサギはあっという間に画面から消え、カメはまだノロノロ走っている、といった具合だ。音声指導用のコンテンツは、指のサインが使われている。日本語にない英語の音でとくに難しいf とv は、人差指1本を、θとD は人差指と中指の2本を、r は薬指を加えた3本を立て、それぞれの音を表わす。3つのサインの背景は赤、青、黄で色分けされ、分かりやすくなっている。
like、can、want、haveで自己表現
A4判・94ページ・カラーのオリジナルの教科書とは別に、教師の指導上のマニュアルとして、「学習文型、対話文新出および系統表」が活用されている。ここには、l i k e 、c a n 、want、haveを使う文型が学年を追って示されている。いずれも、自己紹介や自分のその時の気持ちを表すときに不可欠な動詞と助動詞である。国際人としての礎をつくるために、自己表現する態度を具体的な文型の反復を通して覚えさせていくことが眼目だ。1年生から4年生まで、すべての学年に上の4つの動詞や助動詞を使った表現が手を替え品を替え示される。5・6年生になると授業時間が週1回になるため、新しい文型は教えずに4年生までの履修事項を復習、応用させる。その一方で、スキットやロールプレーのように、もう少し実用的な発達段階に合ったものが学習の中心になっていく。
学習ゲームも授業展開に大きな役割を果たしている。「子どもたちがそれを待っていた、というタイミングで始め、もう少しやりたい、というあたりで終わらせることがコツです」と行田先生。どのゲームもおもしろそうだが、必要な英語が理解できて定着していないと楽しめないように仕組まれている。正解を出せなかった子どもの失望感をやわらげるために、次のゲームのサイコロを振らせて意欲を呼び戻させるなど、子どもたちへの配慮が行き届いていることに感心させられた。
達成感を味わわせる英語検定システム
子どもたちの英語学習を励まし、ゴールする喜びを与えるために用意したのが「ノートルダム英語検定試験」である。テストは、「単語検定」4〜1級、「慣用句・対話検定」・「パワー検定」2〜1級、いちばん新しい「しりとり検定」3〜1級の10グレード制で構成されている。検定開始にあたって練習専用のパソコン対応CDを全家庭に配布したところ、「文法は教えられるが発音に自信がなかったので助かる」「子どもがパソコンを使って積極的に英語を勉強するようになった」など、保護者から感謝の声が続々と寄せられた。このうち「しりとり検定」は、先行検定の審査結果から「子どもたちは子音に弱い」ことを発見して開発されたテストである。
一般的な英語教育でのしりとりが語彙指導力に力点が置かれ、E n g l i s h → h o m e →enjoy→yo-yo…と文字の連結で続くのに対し、行田先生が子どもたちのために考えたのは、English→sheep→pink→cake…と続く「音のしりとり」だった。授業での指導ポイントは、Notre Dame(ノートルダム)→m, m,music→c, c, cakeといった具合に、単語の末尾の音を2回繰り返してから次の単語を発音させること。そして、「catのトやbigのグは唇を出してはいけません」などと、子どもたちに分かりやすく母音を発音しないことを指導する。「しりとり検定」は、正確な発音指導を後押しする強力な検定となっている。ほかに、ノートルダム学院小では児童英検を毎回10〜20人が受験しているが、2008年度第1回の英検5級にも21人がチャレンジし全員が合格した。
「小学校英語の裾野を広げたい」
ノートルダム学院小学校 英語科主任
行田 隆一 教諭
私はコンピューターに無知でした。しかし、“sink or swim”(とにかくやってみる)の精神で挑戦しました。DSなど、学習効果が実証されているものを使わない手はありません。子どもたちは、DSは自分の弱点を覚えていて反復学習してくれる、とそのよさを率直に指摘します。
英語を勉強してきて、読み書きはできるけれど話せない、聞き取れない―この状況を一新するチャンスが2011年度からの小学校「外国語活動」の実施です。公立学校の先生方の苦しみも分かりますが、チャンスを絶望に変えないでください。英語の発音に対する不安も、catやbatのt などは唇を突き出さない、といったことを知るだけでも発音矯正になるのです。現場の先生が声をそろえて、PC、DS、電子黒板、DVDなどの先端機器を買ってほしい、学習教材として活用し子どもたちに力をつけさせたい、と学校長に訴えましょう。大切なのはコンテンツですが、私のコンテンツはいつでも提供します。ノートルダム小の子どもたちに楽しく英語を定着させ、中学へ進学させることと同時に、小学校英語の裾野を広げたい、それが私の願いです。
徹底した正確な発音練習
生き生きと授業を“楽しむ”子どもたち見学したのは4年生の授業2コマ。クラスサイズはそれぞれ40人。7人掛けの大きな机が6台ある英語教室で、6グループに分けて学習させている。歓迎の歌を歌ってくれたのだが、歌う前に、よく出てくる音の発音を復習していた子どもたちの姿が健気だった。よりきれいな発音で聞いてもらいたい、という先生のねらいを子どもたちが全身で受けとめ、練習に励んでいた。
授業で先生は、f、vの音の出し方を日本語で丁寧に教えたうえで、その音を含む単語と綴りを示すスライドを電子黒板に映し出す。foxのfの文字の下には、数字の1を張り付け、子どもたちの注意を引く。正確な発音を徹底して練習することに多くの時間が割かれている。
Me too、Unbelievable、Helpme、など慣用句の練習では、「もう少し感情をこめてね」と日本語での指示がある。freezeが答えられなかった子どもには、「本当に固まっちゃった」などと爆笑を誘う。1つのヒントだけ与えられた子どもたちが、先生にいくつか質問してモノを当てるゲームでは、的確なヒントになる質問をする子どもがいたり、グループ対抗しりとり合戦では、練習用に作成されているひな型以外の単語を答える子どもが多かったりしたことに驚かされた。
ノートルダム学院小学校〒606-0847 京都府京都市左京区下鴨南野々神町1-2 TEL:075-701-7171


















