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小学校英語情報

小学校の英語活動

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「仙台市の外国語活動取り組みへの挑戦」

宮城県仙台市立岡田小学校

仙台市では、平成23年度から完全実施される小学校外国語活動を円滑に進めていくための方策を、さまざまな視点から探っている。20年4月には、仙台市における外国語活動の内容を検討する連絡協議会を設置。21年度からは市内すべての小学校(124校)で外国語活動が開始された。

平均的な学校が行う英語活動のモデル校

 仙台市教育委員会が設置した「小学校における英語活動等国際理解活動推進事業拠点校連絡協議会」は、20年に文部科学省委嘱事業の拠点校となった2校(南光台小学校・栗生小学校)の英語担当教諭、各小学校の国際理解教育担当者や中学校の英語科担当教諭で構成。「英語ノート」を活用しながら、英語活動をどう展開すれば、英語や国際文化に対する子どもたちの意欲や関心を高めることができるかを検討してきた。

 連絡協議会が一貫して心がけてきたことは、実践に基づいて、子どもたちの姿を通して外国語(英語)活動の内容や指導のあり方を探っていくことだった。現在仙台市では、124校の小学校のうち35校が年間35時間の英語活動を実施している。21年度からの移行期における英語活動は、それぞれの小学校により実態も異なり時間数も違う。連絡協議会は、「英語ノート1」および「2」の学年別指導計画案(15~20時間程度を想定したもの)を作成し、シラバス案の活用や指導案例などとともに各校に配布した。また、南光台・栗生両小学校による公開授業の提供など、全市の小学校へ向けた事業報告も行った。

 21年度を迎えるにあたって市教育委員会は、21年度の文部科学省委嘱事業「外国語活動における教材の効果的な活用及び評価のあり方に関する実践研究事業」の実践協力校を各小学校に対して募集した。その結果、岡田小学校と、昨年に引き続いての栗生小学校に決定した。

 両校は、拠点校や実践協力校になる前は、英語活動の経験が豊富な学校ではなかった。栗生小は、各学年年間3時間程度、近隣の中学校からALTを招いての英語活動を行う程度だったし、岡田小は3年生と6年生が、国際理解教育の一環として年間各2時間程度の活動に取り組んでいたに過ぎない。英語活動にとくに力を注いできた学校とは言えない岡田小と、昨年に引き続いての栗生小が実践協力校になったことは、市の平均的な学校が英語活動を始めるうえでのモデル校としてよい参考になる、と教育委員会は考えている。両校は、外国語活動完全実施への移行期を最大限に生かして、市内全小学校の子どもたちと先生たちが、楽しく英語を学んでいけるための実践的研究に取り組んでいる。

地域人材を活用したティームティーチング


尾形英亮 教諭
 岡田小で4月から始まった5・6年生年間35時間の英語活動は、英語に堪能な外国語活動の教科担任・尾形英亮教諭が中心になって進められている。尾形先生は教員になって3年目。中・高校の英語免許は取得しているが、英語を教えた経験はない。「英語ノート」を参考にして指導案を一から作っていった。5・6年生ともに「英語ノート1」を使用。指導内容も同じである。基本的な指導体制は、尾形先生(T1)と地域に住む日本人ALTの遠藤ひろみさん(T2)の2人。週1回水曜日には、市の教育委員会から派遣される外国人ALTが加わって、3人体制の贅沢な活動になることもある。尾形先生は自分の担任である5年2組のほか、1組、6年1・2組と4クラスを担当するのだが、苦労したのは担任しているクラスと、そうでないクラスとで微妙に違う雰囲気の打破だった。


遠藤ひろみ さん
 「担任していないクラスは、普段の私の姿を知らないから、英語教師として演じられます。担任のクラスは、英語以外の時間に説教などをして恐い姿を見せた後で、いきなり英語でテンションの高い授業などできにくい。どの教科でも心がけていることですが、教えようではなく、伝え合ったり、話し合ったりする授業を大切にしてきました。英語の時間はとくに気をつけて、明るい学級経営をめざさないと」と話す。ALTの遠藤さんは、アメリカで9年間生活した経験を持つ。その経験をもとに、ボランティアのALTとして尾形先生を支援するほか、1年生の子どもたちが学校生活になじむまで担任を支援する「生活学習サポーター」を務めている。

「どのクラスも同じように、と心がけてお手伝いをしています。初めのうちは、乗りのよいクラスとそうでないクラスがあったように感じましたが、夏休み以降はリズムが同じになりました。子どもたちが英語の授業の雰囲気をつかみ、先生を応援してくれているようです」とほほえむ。

教科担任制から担任主導型への移行をめざす

 岡田小の英語活動の大きな特色は、教科担任制の形を取りながら、来年度からは、担任主導の外国語活動にすることを視野に入れた活動を推進していることである。尾形先生の英語活動そのものが、ほかの先生たちに対する研修となっている。先生たちは、ビデオに撮った尾形先生の授業を見たり、実際に授業に参加したりする。それも、5・6年生の先生だけでなく、低・中学年の先生にもT1として活動を経験してもらうなど、時間をかけながら、全校の先生に英語指導の楽しさを感じ取ってもらう。すでに高学年の先生は、T1として授業に取り組んだ体験を持つ。尾形先生がT2になり、ALTの遠藤さんが協力し、学級担任が自分の力で指導する体制をめざしていく。各担任の感想は、「思ったより楽だった」ということである。

 遠藤和彦校長は、「23年度以降、5・6年生の担任を希望する先生がいない、英語の専科をおくから安心、では困ります。学級担任が英語指導について学ぶ機会をできるだけ多くして、指導するというよりも、子どもたちと一緒に活動する体験を通して、英語指導の楽しさを感じ取ってもらうように努めています」と実践協力校としての役割を指摘した。

 市教育委員会では今後、昨年度に実施した南光台小・栗生小による公開授業を発展させた「提案授業」を行う計画を立てている。昨年度は2校だけだったが、今年度は岡田小、栗生小のほか、4校が、「英語ノート」を中心とした授業の組み立てを提案することになっている。

「英語指導の楽しさをすべての先生に知ってもらいたい」

仙台市立岡田小学校
遠藤 和彦  校長

 小学校英語教育のねらいと英語指導の楽しさを、実際に授業を体験しながら、すべての先生方に知ってもらうことが大きな目標です。職員の研修意欲を高めること、そのための教育環境を整備することが校長の務めなので、まず、生きた教材を子どもたちに示すために地域の人材を活用することにしました。中学校のALTの活用には限界がありますし、発音などをCDだけに頼りたくなかったからです。ALTの遠藤さんは、資格のない者がかかわっていいのかと心配なさったこともありますが、尾形先生が安心して授業できるのも適切な助言をしてくれる遠藤ALTがいるからこそ、と感謝しています。これから23年度を迎えるまで、実践校としての役割を果たしていきたいと思っています。

「来年もやりたい」と手をあげた先生方に期待

仙台市教育局学校教育部教育指導課
堀越 清治  課長

 岡田小学校では、校長先生のリーダーシップのもとに、21年度は教科担任制を取りながら担任が校内研修を し、次年度は担任主導の外国語活動へ移行するという興味深い試みを実践しつつあります。23年度に向けて、「英語ノート」を使用した活動がかなりいい形で進んでいると思っています。一方、栗生小学校は、英語が苦手だと言っていた先生が、昨年度、ALTなしで1人で公開授業に挑戦しました。そして、「もうやめた」ではなく、「来年もやりたい」と手を挙げて、実践協力校として継続してくれることになりました。継続することに熱心だったのは、苦労しながらも取り組んだ5・6年の先生方です。先生方は、学級担任として子どもたちとコミュニケーションする楽しさを知ると同時に、子どもたちが変わっていく喜びをしっかりと感じ取ったのだと思います。2つの学校の意欲的な取り組みに大いに期待しています。

子どもたちは聞き取る喜びを知った

カードにタッチして「褒め言葉」を楽しく学ぶ 次に使用表現を繰り返し確認させた後、「英語ノート」の絵を見せながら、何を聞き取ればよいか、服、色、相手を褒めている言葉の3つの英語を聞き取るポイントを、いくつかのアクティビティーを通して指導した。最後にもう一度同じ内容のCDを聞かせて、子どもたちに内容が初めから聞き取れるようになったか尋ね、挙手で確認する。子どもたちの顔に次第に笑顔が浮かんでくる。聞き取れた喜びを全身で表し、元気よく手を挙げる子どもたちをうれしそうに見つめながら、先生たちは「ジェスチャーを使ったこともよかったよ」「耳で聞き取るだけでなく、目でも聞くようにね」と、子どもたちを褒めたり、助言を与えたりしながら、授業の目的をきちんと理解させていた。

仙台市立岡田小学校〒983-0003 宮城県仙台市宮城野区岡田字北在家67 TEL:022-258-1083

仙台市教育局学校教育部教育指導課〒980-8671 宮城県仙台市青葉区二日町1-1 TEL022-214-8874

移行期の上手な使い方

和田稔(財)日本英語検定協会検定委員長
和田 稔
岡田小学校は今年から5・6年生が年間35時間の英語活動を行っている。昨年までは、3年生と6年生が「総合的な学習の時間」のなかで各2時間、国際理解教育の一環としてやっていただけというから、ほとんどゼロの状態から一足飛びの本格実施である。この大変化に先生方が対応できるのだろうか、大きな軋轢がないのか、年間10時間から15時間くらいで始めて段階的に増やし、本格実施には軟着陸する選択肢はなかったのだろうか、と私はまず訝った。しかし、おそらく、多少の違いはあれ、同じような状況が全国の小学校で起こっているのではないか、とも思った。
 私が参観したのは5年生の、Book 1のLesson 5、I don't like blue.「いろいろな衣装を知ろう」の最初の授業であった。先生は英語活動の「教科担任」が担当し、地域のボランティアが協力者として1人加わっていた。授業はオーソドックスで安心して見ていられた。私が興味を引かれたのは、「教科担任」が5・6年生のすべてのクラスの英語活動を担当しているという指導体制であった。この方式は全国でかなり広く行われている。よい点もあるが問題点もある。よい点は、すべてのクラスにほぼ同質の授業が提供できることであろう。問題点は、他の先生方にとっては英語活動は他人事になってしまい、これは小学校教育の原点を逸脱することになるであろう。
 そこで、この問題にどのように対応するのか校長先生に聞いてみた。返ってきた答えは、「教科担任」が中心の授業は移行期の間のことであり、平成22年度はHR担任が全員授業を担当できるように組織的本格的に校内の研修を進めていく計画である、と大変興味深いものだった。つまり、当面は、HR担任は「教科担任」の授業に「生徒」として参加して英語活動のknow-howを身につけ、指導法を磨くという考えである。小学校の英語活動でのHR担任は「児童と一緒に英語を学ぶ姿を児童に見せることである」という、いわゆる「HR担任英語学習者モデル」論があるが、この論にはいまひとつ具体性に欠ける点、教師の役割を歪曲する点などに私は懸念を持っていた。しかし、移行期を有効に活用して、本格実施を見据えて英語活動を指導できる教師を育てていこうとする岡田小の試みには学ぶべき点が多いと思う。