財団法人日本英語検定協会

児童の英語学習 応援します!

  • 英語サイトへ
  • よくある質問
  • お問い合わせ
  • 個人情報保護方針
  • サイトマップ

小学校英語情報

小学校の英語活動

一覧ページへ

先生たちの意欲を高めた「悉皆研修」

佐賀県佐賀市勧興小学校

佐賀県は、平成19年度から3年間かけて、県内すべての小学校教員が3日間の英語活動研修を受ける「悉皆(しっかい)研修」を完結させた。研修の目的は、小学校英語活動の「ねらい」を先生たちに理解してもらい、自信を持って活動を推進してもらうことだった。

理論と実践が不安を払拭

 佐賀県は、平成16年度から小学校の教員を対象とした英語活動指導者養成研修会を始めるなど、小学校英語活動モデル事業を進めてきた。小学校外国語活動が必修となることが確実視されるようになったことを受け、19年度から始められたのが「悉皆研修」である。県内175校、管理職を除く約2,200人すべての小学校教諭が、3年間をかけて夏休みに3日間の研修を受けた。
 研修1日目は小学校英語活動の理論面を中心に行われる。なぜ小学校から英語を教えなければならないのか、英語の力をどう伸ばすのか、発音は大丈夫かなど、先生たちの英語活動に対する疑問を解き、英語を教えるのではなくコミュニケーションの体験をさせるのだと、そのねらいを周知させた。2日目は、小グループに分かれて代表的な活動を体験する。先生が子ども役になったり、交代で指示したりする演習に汗を流した。3日目は、授業づくり、単元づくりの演習。「英語ノート」が配布された後は、各単元に込められたねらい、活用の仕方なども指導された。
 この結果、英語を教えることなどできないと思っていた先生たちが、これならやれるという自信と、やる価値があるという認識を持った。

「自ら授業ができること」を重視

 佐賀県教育センター情報課教育課程支援担当の宗(そう)誠係長は、「樹にたとえると1日目は幹をしっかりと作り、2日目で活動例紹介ということで、葉っぱの部分を集める。3日目は、授業レベルで幹と葉を結ぶ枝の部分を伸ばす、という考えに基づいた研修を企画しました。活動例をもっと紹介してほしいという要望がよく出ますが、葉っぱを多く集めても樹にはならないのと同じで、活動例だけでは自分で授業が作れるようにはなりません。自分なりの授業展開ができる枝の伸ばし方を伝えたかったのです」と研修への思いを語った。
 県教育センターでは悉皆研修と並行して『英語活動の手引き佐賀県版』(*)を作成した。「手引き」は理論編と実践編に分かれている。理論編は、小学校英語活動の位置づけ、ねらい、指導方法、評価の観点、観点の趣旨、評価規準の例などがQ&A形式で説明され、実践編は、子どもたちの発達段階に応じた単元計画や毎時間の指導計画などが紹介されている。英語ノートが配布された現在、この手引きは英語ノートを補完し、各学校の実情に合わせた活動をより効果的に展開するための役割を果たしている。
* 佐賀県教育センターホームページの「授業に役立つ実践研究」のページで、冊子がダウンロードできます。

23年度以降も全学年で英語活動を続けたい

 佐賀県は各教育事務所管内から1校ずつを英語活動拠点校に指定する拠点校事業も進めてきた。佐賀市立勧興小学校も、平成19・20年の2年間、拠点校としての活動を行った。拠点校時代は、5・6年生の活動でティームティーチングを行うためにALTが週に1回来校するほか、隔週に1回は1~4年生のために来校し、英語活動を補助していた。拠点校ではなくなった現在は、ALTの来校は週1回、5・6年生の授業のみとなったが、授業時間数は5・6年生が年間35時間、1・2年生が10時間、3・4年生が12~17時間と変わらない。
拠点校時代、他校の先生が参観したときに、特別な印象を与えないために、あえて掲示物を少なくした。英語活動として身構えるのではなく、他の教科と同じような気持ちで活動を展開してきた。そして21年度以降も、先生たちは拠点校のときの熱意を持って、担任主導の英語活動に励んでいる。
低・中学年の担任の悩みは、活動時間数が少ないために活動の間隔が開いてしまうこと。先生たちは身振り手振りを交えながら、「コミュニケーションのモデル」になろうと努力している。中核研修を受けた先生から伝え聞くのではなく、悉皆研修により、英語活動のねらいを深く理解し、活動を実体験したからこその強みだろう。今後も5・6年生だけでなく、4年生以下の子どもたちにも活動を継続させたい、というのが先生たちの願いだが、学校裁量の時間をどう使うかなど、時間のやりくりを解決しなければならない。この点について県教育センターの宗係長は、「各校の実情に合わせて、無理のない計画が大事でしょう。総合的な学習の時間を使うなら、国際理解教育としての問題解決的な学習などのねらいに沿った大単元を組んで、そのなかで英語活動をする必要があって行う、などの工夫が大切です」と助言を送った。

「日本語に頼らないで、子どもたちのコミュニケーション力を高めたい」

佐賀市立勧興小学校
森 隆久  教諭

 英語活動で心がけていることは、他教科の授業とシステムを変えないことです。子どもたちが安定して活動に取り組めるように、同じ姿勢で英語活動に取り組んでいます。日本語を使わないようにしているのは、教師が何を伝えようとしているかを、知っている単語やジェスチャーから子どもたちに考えさせるためです。友達のつぶやきを聞いて、分かるようになることもあります。伝え合う態度が育まれ、子どもたちのネットワークが広がります。子どもたちのためのコミュニケーションの場をたくさん作り、誰に対しても自分の思いを何とかして伝え、友達の思いを理解しようとする子どもたちを育てたいと考えています。

大切なのは「気持ちを言葉に乗せる」こと

佐賀県教育センター情報課教育課程支援担当
宗 誠  係長

 研修では、先生方の心的ハードルを下げることに力を注ぎました。発音に自信がない先生にも抵抗感をなくしてもらうことが大事だったので、英語を教えるのではなく、コミュニケーション活動だということを徹底的に理解してもらいました。小学校英語活動の望ましい姿は、何とかして分かりたい、何とかして伝えたい、という気持ちが子どもたちの心に芽生えてくることでしょう。英語活動でのコミュニケーションとは、英語で発信し英語で答えるだけではありません。言葉のやりとりというより、視覚的な要素を加えたメッセージのやりとり、感情のやりとりで、言葉に乗せたメッセージが届くことが大切なのです。言葉では分からなくても、見ていて相手の伝えたいことが分かった、相手が発信する前に受信する、言語をやりとりする前に非言語で反応するなど、「コミュニケーション」を広くとらえる必要があります。異言語というハードルがあることによって、一生懸命に相手を見、相手の気持ちを考え、人とかかわる喜びを知る子どもたちが育っていくことを願っています。

2年生をすべて英語で引きつけた指導力

英語の授業はおもしろい! 見学したのは2年生の授業で、クラスサイズは28人。動物の名前に親しませる活動だったが、ゲームやクイズを取り入れて子どもたちを引きつけていく手法に感心した。2つに分けられた動物の絵カードをつなげて動物を完成させ、動物名を言わせる、動物の影絵を示して動物名を当てさせる、動物の一部をクローズアップした写真を見せて、動物名を考えさせ発話させる、動物の足跡の絵から、動物名を推測させ発話させる、一人に絵を見せて、グループの友達に動物名を伝えていく伝達ゲーム・・・といった具合に、易しい内容から難しいものへと立て続けに流れていくので、子どもたちの集中力が途切れない。「日本語でやってもおもしろいゲームを英語で」という発想だ。
 写真の中には、先生の飼犬の鼻のクローズアップもあり、先生の熱意がうかがえる。子どもたちの様子を見ながら先生は、ときには動物の特色を示すヒントを出す。パンダだと、black and white、bambooなど、すべて英語だ。しかし同時に、笹を食べる表情豊かなジェスチャーを交えることにより、子どもたちから大きな歓声が上がる。そして子どもたち同士で動物名を当てっこさせるときにも、ジェスチャーを使うように助言する。“Good hint!”と先生。「言いなさい」という指導はひとつもなかった。
 最後は、絵本“Who stole the cookies?”の読み聞かせ。動物の足跡に集中させた後で、足跡からクッキーを盗んだ動物を推理する読み聞かせは効果抜群。子どもたちは一転して静まり返り、先生が演じる動物たちの「弁解」に耳を傾けていた。

佐賀市立勧興小学校〒840-0814 佐賀県佐賀市成章町3-16 TEL:0952-24-4235

佐賀県教育センター〒840-0214 佐賀県佐賀市大和町大字川上 TEL:0952-62-5211