年間35時間の活動を担任主導で先行実施
愛知県小牧市立本庄小学校
愛知県小牧市は、平成21年度、市内16校すべての小学校の5・6年生に週1時間、年間35時間の外国語活動を実施した。英語教育全般に関する活動の推進、とりわけ小中連携を視野に入れ、「担任主導の英語活動」に力を注いでいる。
多様な研究会で課題を検討
小牧市の小学校英語活動は、大きく3つの段階を踏んで発展してきた。4~6年生を対象に、ALT主導の活動を年間7~8回実施していた第1期。1・2年生が6時間程度、3・4年生が12時間程度、5・6年生が15時間程度と、対象学年も活動時間も増やした第2期。そして本格的な授業が始まるとき戸惑うことがないように、5・6年生を対象として年間35時間の活動を行った21年度からの第3期である。
市は、校長、教務主任、小学校外国語活動主任、英語担当主任の19人を構成員とする小学校外国語活動推進委員会を20年度に結成し、カリキュラムの作成、小学校の先生なら誰でも楽しく英語活動を進められる研修、使いやすい教材の開発などを進めてきた。小学校英語活動に詳しい人材を招いての「プロフェッショナル派遣研修」も行った。21年度には、各校での活動実践と並行して、中核教員研修、カリキュラムマネジメント研修、コミュニケーション能力についての研修などを重ね、カリキュラムや授業用資料(レッスンプランやワークシートなど)の見直しに努めた。
また、小・中学校の教員54人からなる英語教育研究会を組織し、小学校外国語活動と中学校の英語指導の連携に関する研究、小学校外国語活動の授業用資料の作成補助などにも着手した。さらに小・中学校の英語主任で構成する英語主任会が、ALTの活用に関する情報交換、カリキュラムや指導資料の作成についての意見交換、それぞれの活動や授業を観察し合う交流を行うなど、小・中英語指導の連携推進に向けて取り組みを深めていった。
5・6年生の指導は各単元を3部構成で
21年度からは、各小学校の実情に合わせて、1・2年生が10時間程度、3・4年生が14~15時間程度の外国語活動を行うことも決めた。
小牧市教育委員会の秋月俊亮指導主事は、それまでは各学年ともALT中心だった活動が、5・6年生は担任または英語主任に変わった点を強調しながら、「5・6年生の英語活動を、単元ごとに3部構成で考えるように指導しています。1時間目は日本人教員が考えた指導案に則ってALT中心の活動を、2時間目はALTが現場にいないので、市作成のDVDを活用しながら日本人の先生が指導し、3時間目はこれも日本人の先生が、ポイントとなる『英語ノート』を使う活動となります」と説明する。
ALTは市に6人いて各校を持ち回る。5・6年生の活動には年間22回(時間)程度参加し、ALTがいないときは担任または英語主任の主導のもとに、地域人材を活用した英語活動協力員が協力する。1年生から4年生までの活動は、担任または英語主任、英語活動協力員、ALTの3人体制で行われる。
本庄小学校は、小学校外国語活動推進委員会の事務局になっている。事務局長を務める加藤孝文校長は、16校すべての小学校が歩調を合わせた外国語活動を実践するための情報発信地の役割を果たしながら、自校の活動への気配りが欠かせない。中学校の英語教諭だった経験を生かし、「デモ授業」も行った。
「カリキュラム作成に携わったので、机上の案と実際の活動に隔たりがないかを考えながら子どもたちに接してみました。子どもたちに興味や関心をいかに持たせるか。教え込むのではなく、子どもたちに英語を楽しんでもらうには何が大切かを研究し続けなければ、と思いました」。加藤校長は教員の勉強が不可欠であることを指摘する。
大きな声よりclear voiceでやりとりする雰囲気づくり

佐藤 和彦 教諭 本庄小では、一人ひとりを担任だけでなく、いろいろな先生で見たほうがよいという加藤校長の考えもあり、5・6年の一部で交換授業を行っている。外国語活動を担任で行うことの理念を推し進めるなかで、移行期間でもある21年度は、5・6年で交換授業を実施する際、外国語活動もその範疇に含め、実験的に各学年1人で3クラスを担当した。
5年生3クラスの英語活動を担当するのは佐藤和彦教諭。専門は国語の先生である。本庄小には木・金曜日にALTが来校するので、その日は英語活動協力員と3人での指導。全体の進行は佐藤教諭、発音などに関してはALTと英語活動協力員が中心になって行う。教材は、小牧市が作っているワークシートとDVD、それと「英語ノート」。英語ノートは、書かれてある単元のレッスンプランどおりに実践するのではなく、市が策定したカリキュラムに沿った活動であれば、その活動を集中的に行うなど「いいとこ取り」で活用している。
「子どもたちの目から見て、英語活動の時間だけ不自然にハイテンションにならないよう心がけています。とくに担任をしているクラスの子どもたちは、他教科を教える私と英語活動のときの私があまり変わっていると戸惑ってしまいます。また、いつでも大きな声で、とは指導しません。市の方針でもありますが、大きな声を出すより、自然に、clear voiceでやりとりするようになる雰囲気づくりに気をつかっています」と笑顔を見せる。総合的な学習の時間で英語活動が始まった時、英語が必要になる、と考えた佐藤教諭。自身の子どもが英検を受ける時期と重なったため、子どもたちと勝負するつもりで英語を勉強し直し、英検に挑戦して2級に合格した。
現在小牧市の小学校は、教育課程外の時間を使って、1年間に必要な教育時間よりも多く教育活動を行っている。本庄小ではその時間を活用して、23年度からも低学年の子どもたちにも英語活動を継続させたい、という願いを持っている。時間のやりくりとともに、国際理解教育を中心に子どもたちが楽しく活動できる案を検討中だ。
「先生も楽しめる英語活動を工夫しています」
小牧市立本庄小学校
加藤 孝文 校長
英語の専門家ではない先生が、子どもたちと一緒に英語活動を楽しむ方法や、小学校の先生なら誰でも活動を主導できるカリキュラムなどの検討に力を注ぎました。とくに発音に不安を感じている先生方が多いので、現場にALTがいないとき、先生のストレスを防ぐために英語活動協力員を配置するなどの工夫をしています。英語を聞く力と、コミュニケーションをしようとする態度を子どもたちに教えて、中学へ送り出したい、と願っています。
「会話が続く」活動を喜ぶ子どもたち
会話が続くようにチャレンジする子どもたち 見学したのは5年生の授業でクラスサイズは38人。21年度になって初めて経験した、ALTに頼らない授業とは思えないほど、生き生きした活動になっていた。クラスサイズが厳しいのでは、と思ったのだが、先生は一人ひとりの子どもたちをしっかり把握している。
英語ノートのLesson 5を利用したが、活動の中心を買い物ゲームに絞り込み、色の英語表現を繰り返し、集中させ指導した。英語ノートの小さな絵カードが拡大され、きれいに色が塗られている。子どもたち同士で色について会話をするのだが、パープルやブラウンなど発音が難しい色は禁止。8色に限定している。orange、red、black、shoes、T-shirtなど、ほとんど日本語になっているものばかりなので、発音に注意させる先生の奮闘ぶりが印象的だった。
絵カードを示して色の表現を学ぶ会話が一度で終わらないように工夫されていたことも目を引いた。“Hello, do you have a blue cap?” と客の役の子どもが問いかけたとき、あります、ありがとう、さようなら、という流れだけはなく、“No, sorry. I have a pink cap.”と答えさせ、それを買うかどうかを判断させる構成になっていて、子どもたちは考えながら、授業を楽しんでいるように見えた。
小牧市立本庄小学校〒485-0821 愛知県小牧市本庄2597-40 TEL:0568-79-3567
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