「言葉は生きている」
音楽評論家・作詞家
湯川 れい子ゆかわ れいこ 東京都生まれ。
昭和35年ジャズ評論家としてデビュー。ラジオのDJ、エルヴィス・プレスリーやビートルズの評論・解説のほか作詞家としても活躍。ディズニー映画などの訳詞も手がけ、環境問題や教育問題にも精力的に活動している。
中学から始めたアルバイト先の劇場で、何度も同じ洋画を繰り返し見て、英語を覚えました。4回見れば、字幕を追わなくても、セリフだけで意味が分かるようになるんです。戦後、日本がまだ貧しかったころですから、映画のなかの豊かな国・アメリカへの憧あこがれが、私の英語を学ぶ動機にもなりました。高校を卒業し、ジャズ雑誌に投稿した記事が認められ、インタビュアーの道に。女一人で憧れのアメリカへ渡り、つたない英語でアーティストにアポを取り、必死にインタビューをこなしました。大変な思いもしたけれど、自分で始めなければ始まらない。語学は、どうしても伝えなくてはという意思が先にあってこそ、上達するのではないでしょうか。
英語とは何か? 翻訳や国際的な政治、商売をする人以外は、一般の人にとって英語とは仕事ではなく、ただのコミュニケーションツール。まずこれを念頭においてほしいと思います。そして、「言葉は生きている。飛んだり、跳ねたりする楽しいもの」ということを、先生には忘れないでほしい。日本語の成長に合わせて英語の表現も豊かになっていくし、興味も人それぞれです。それを教科書の例文や単語帳だけで勉強させられるほど、つまらないことはありません。
そこで、私が教材としておすすめしたいのは、ディズニーなどのアニメ。「生きた会話」が飛び交う短い5分くらいの「シークエンス」(ひと続きの画面)を何度も見せて、そのまま丸ごと覚えさせます。赤ちゃんが言葉を発するとき、まず最初は音の真似まねですよね。
小学生も同じ。子どもは耳が敏感です。
「日本語も身についていないうちに英語が必要か?」という議論もありますが、英語は日本語の代わりに教えるのではありません。ひとつのコミュニケーションツールとして、「おもちゃ」や「ゲーム」のように考えてもいいかもしれません。
私は自分の息子が、どんな仕事を選んでも、語学ができたほうが世界が広がるだろうと、小さいころから英語を学ばせました。しかし、息子が6歳のとき、アメリカの子どもたちとのサマーキャンプに2週間ほど入れたのですが、子どもだから簡単に順応するわけではありません。ふだん話している言葉とはまったく違う言葉のキャッチボールをしなくてはならないのは、大人が想像するよりストレスがかかったようです。
ですから、語学は日常のなかで繰り返して覚えたほうがいい。「勉強」ではなく、小学校では自 然に楽しみながら教えてほしい。そうなれば、中学校からは英会話のボールを投げるのも受ける のも、ずっと楽になるし、楽しくなるはずです。


















