英語教員 海外研修

「英検 英語教員 海外研修」は、公益財団法人 日本英語検定協会が求める「実用英語の普及・向上、および習得に資すること」を実現し、国の重要施策である「英語教員の資質向上」に寄与することを目的に、2003年からスタートしました。全国の中学・高等学校からご参加される英語教員向け研修に加え、2012年度からは小学校の教員向けの研修も始まりました。

小学校教員 海外研修

小学校教員を対象とし、2012年8月に実施した「シアトル英語研修」の概要をご報告します。

研修の主旨と期待される効果

「小学校教員シアトル英語研修2012」

  1. 1.「シアトル英語研修」の趣旨
    平成23年度より全国の小学校において外国語活動が実施されております。公益財団法人日本英語検定協会では、外国語活動の目標を達成するために必要となる担任教員の指導力を向上させるための調査・研究を北米シアトルにて実施する運びとなりました。この研修において得られた効果を研修後に分析し、日本の小学校外国語活動担当教員(担任)の指導の指針となるような成果を得ていきたいと考えております。
  2. 2.研修内容の特徴と期待される効果
    • 外国語活動を担当する教員に必要な英語運用能力を、少人数のクラスにおいて集中的に養成します。(英語ノート、Hi, friends!の分析を通して必要な語彙や表現に慣れさせることに重点を置いています)
    • 英語活動で取り扱われている題材(例:ショッピング、道案内など)を実際に体験する活動を組み込んでいます。自ら体験することを通して実際の授業では様々な工夫や応用が可能になります。
    • 参加者はアメリカ人家庭にホームステイをします。ホームステイを通して実際に英語を使う体験をするだけでなく、異文化を体験することによって教員の視野が広まり、外国語活動の「異文化理解」の題材を効果的に指導することが可能になります。
    • 研修期間中は現地の児童・生徒や教員との交流、また、同時期に研修を行っている韓国の小学校教員との交流が予定されます。

随行員の報告

2011年より小学校外国語活動が始まり、現場教員の指導法が様々に行われている中、教員の6割は授業に戸惑いを感じているとの声が聞こえてきます。当協会としても日ごろ児童英検の受験でお世話になっております教員方の授業への戸惑いを少しでも解消出来るきっかけが作れればとの思いで、小学校の外国語活動を充実させるためのサポートとして、この海外研修をスタートさせました。

では、日本の教員向けの研修としてどのようなものが相応しいのか、多くの有識者からもアドバイスを受け、検討した結果、担任の教員自身もリラックスして英語を楽しめるような指導法を前提に、コミュニケーション能力やアクティビティの向上を目指すプログラムを実行いたしました。研修には教室外で行われる活動たとえばショッピング、食事、道案内などを、実際に街に出て体験する活動を組み込み、仕上げには模擬授業を行っていただくなど、様々な指導技術を学ぶ内容といたしました。現地では、韓国の小学校の教員も研修に来ており、国を超えた教員交流も研修の一環として行われました。さらに研修後その手法を授業に活用することや、同僚の教員方と共有していただきたいという思いを持って研修に参加していただきました。

研修者の選抜に関しては、公益法人の立場で、各都道府県教育委員会より候補者の推薦を受け、公平に全国より10名の教員を選抜し、Seattle Pacific Universityにて、8月5日から2週間の研修に臨みました。現地では日ごろ教壇に立ち、子ども達の相手をされている持ち前のパワフルさを発揮され、抱えきれないほどの大きな収穫を得て帰国されました。帰国後すでに研究発表や、授業でその成果を実践していただいていると聞いております。

短期間でも環境の違う方々が共に学び、意見交換を行うことで、さらに多くの「学び」、「気付き」、「絆」を深めていただいたことは私どもにとってもこの上ない喜びであります。
グローバル化の進展で英語が重視される中、私達が他国や他言語の人たちと生活してゆくのに、どうコミュニケーションを取れるかということが一番のグローバル化への対応なのではないでしょうか。とすれば、やはり「スキル」よりも「コミュニケーション」に重点を置き、小学校では中学からの英語教育の前段階として取り組んでいくことがよいと考えております。

お問い合わせ

公益財団法人 日本英語検定協会 カスタマーサービス部 小学校教員研修担当
TEL:03-3266-6598

中学・高校教員 海外研修

中学・高校教員を対象とし、2012年8月に実施した「ハワイ英語研修」の概要をご報告します。

研修の目的・概要

日本の英語教員のための50時間の集中講義。教員が英語を用いて行うコミュニカティブな授業を実施できるように、日本の学習指導要領、教科書を念頭に特別に構成されました。

プログラムは午前と午後に分かれ、午前は理論中心で展開され、午後は、理論を受けての実践として生徒が中心となるアクティビティのデモンストレーションを数多く行いました。講師陣は、彼ら自身の経験に基づく指導法を惜しげもなく披露し、与えてくれました。その活動・指導例の一部をご紹介します。

下記の内容以外にも、「Extensive Reading」「Assessment and Testing」「Reflective Teaching」と3つの特別講義も実施。最終日には、今回の研修の総括として、研修で学んだ事柄を帰国後どのように自分の授業に反映するかということをテーマに、手作りの教材等を使った模擬授業を行い、研修参加者および担当講師からフィードバックを受けました。

スピーキング

自己紹介を、3分→2分→1分と時間を短くし、メンバーを換えながら行う。(限られた時間内で、いかに相手に自分のことを伝えることができるかの訓練)

リスニング

ディクテーションではなく、重要ポイントだけをメモする練習。(用紙を把握する訓練)

リーディング

Extensive Readingの重点的な学習。(興味・関心のある内容を能力に合った語彙でたくさん読み、英文に触れる機会を多くする指導)

ライティング

時間を区切り、繰り返し英文を書かせて要点が書けるようになるアクティビティ。(英語の文章体系に慣れる訓練)

随行員・参加教員の報告

福岡県 中学校 英語教員「先生の話す時間は短く」

たくさんのアクティビティ体験を通して感じたことは、教師によるデモンストレーションの大切さと生徒中心の活動時間の重要性でした。今までの授業を振り返ってみると、いかに活動に入るまでの説明が長かったか、ということがわかりました。生徒の活動時間の確保のためには、端的な説明とデモンストレーションが必要だということも実感しました。実際に、講師陣作成の指導案には50分授業の中で7~8種類ものアクティビティが入っていました。しかも、授業が進むに従い、次第に生徒の活動時間が長くなり教師の話す時間は少なくなっていくという、どれも系統立てた指導を実体験しました。

愛知県 高等学校 英語教員「学習者中心が大切」

これまでの私の授業をボートの練習にたとえるならば、船頭となった教師が必死にこぎ続ける船に、ただ学習者を乗せているだけのようなものでした。「授業前の準備に十分な時間を注ぎなさい。そして授業中はただ、子どもたちのことをしっかりと見ていてあげなさい」という講師の言葉によって、これからの私の授業は学習者中心の内容へと大きく変わることでしょう。

埼玉県 高等学校 英語教員「質問することが大きな学びになった」

授業に参加しながら大きな肯定感を得ることができたのは、講師に質問をしたときに的確な答えが即座に返ってくることでした。質問と答えのやり取りの中から、新たな情報を引き出したり発展させたりすることが、授業での楽しみの一つでした。質問をしたことが大きな学びに通じていく経験こそがコミュニケーションの重要性を学習者に教えてくれることも再認識しました。

お問い合わせ

公益財団法人 日本英語検定協会 カスタマーサービス部 中学・高校教員研修担当
TEL:03-3266-6560