



大鵬薬品工業株式会社様では、国内にとどまらず、グローバル市場における事業拡大を進めています。その主要な施策のひとつが、次世代を担うグローバル人財の育成です。
社員の英語力向上を支援する取り組みを通じて、グローバル対応力の強化を進めています。
グローバル人財育成に向けた全社方針を推進されている人事部 部長 小川健太郎様、
企画・運営を担当されている人事部 人財開発課 駒崎由里様、
開発・MA本部においてグローバル人財育成の企画・運営を担う開発推進部 五課 課長 藤原杏奈様、
本部の研修に参加された開発推進部 二課 砂原良平様、開発二部 一課 土山実紗規様に、それぞれの立場から取り組みへの思いや、研修を通じた学びについてお話を伺いました。

―はじめにグローバル人財育成の方針を教えてください。
小川様:
当社は、2024年には海外売上比率が約60%に達するなど、グローバル市場で着実に事業を拡大してきました。2024年から5年間の中期経営計画においても、次世代を担うグローバル人財育成を重点施策の一つに位置付けています。
「ネゴシエーション」「ロジカルシンキング」「異文化コミュニケーション」「英語」の4つの基本スキルの習得を目的とし、中でも英語力の強化については、KPIを設定してグローバル人財の裾野拡大に取り組んでいます。具体的には、「CEST BusinessでCEFR B2レベルに到達した社員数」を指標としています。
加えて、英語力を土台として、次世代グローバルリーダーを育成する少人数制の選抜型研修を行っています。ネゴシエーション力、ロジカルシンキングの強化に加え、異文化コミュニケーション力を強化するための合宿も実施しています。合宿はオールイングリッシュで行い、異文化理解に加えて、ビジネスにおける交渉や合意形成のスキルを習得するプログラムとしています。

―では、CEST Business導入の背景と活用方法について教えてください。
駒崎様:
当社では、CEST Businessを活用し、「実務に直結する英語力」の可視化に取り組んでいます。
従来の英語力評価はリーディング・リスニングに偏っており、実務で必要になるスピーキングの力を十分に測定できないという課題がありました。CEST Businessではスピーキングも含めてグローバルビジネスに必要な英語力が総合的に測定できることが、導入の決め手になりました。以前は各本部が個別に導入・運用していましたが、2018年より全社的な仕組みとして本格的に導入し、活用を進めています。(導入当時はBULATS)
当初は英語研修受講者の効果測定のために活用していましたが、2023年からは全社公募による受験を開始しました。受験者数は増加傾向にあり、現在は全社員の3割近くが受験しています。また、CEST Businessの結果をもとに、一定の英語力を達成した社員に対して、学習意欲を後押しする仕組みも設けており、英語学習への意欲向上につながっています。CEST Businessを導入したメリットの一つとして、「CEFR B2レベル」というビジネスパーソンが目指すべき基準が明確になった点が挙げられます。これまでの取り組みを通して、社内にどの程度の英語力をもつ人財がどれだけいるのかを可視化することができました。次のステージとしては、それぞれのレベルや業務でのニーズ、意欲などに応じたスキルアップの支援策を検討し、実行していきたいと考えています。

―次に、開発・MA本部における英語研修の方針や、具体的な取り組みについて教えてください。
藤原様:
開発・MA本部では、「メディカルニーズを満たす新薬を世界中の患者さんへ届ける」という使命のもと、グローバル医薬品開発に本部全体で取り組む体制の構築とマインドの醸成を目指し、「グローバルにリーダーシップを発揮できる人財」の育成に取り組んでいます。キャリアの段階に応じたビジネススキル研修に加え、グローバルで通用する専門人財を育成するOJTや部門別研修など体系的なプログラムを整備し、その一環として英語研修にも注力してきました。
私たちが大事にしているのが、意欲・向上心のある社員を支援し、機会を提供するということ。すでにグローバル事業に従事する社員、これから従事する予定の社員のさらなるスキルアップ、そして、本部全体の底上げに、両面から取り組んでいます。
前者向けには、「英会話力向上(6カ月)」「英語でのグローバルコミュニケーション力向上(3-6カ月)」「国内短期留学(1週間程度)」の3つのプログラムを展開。また、後者向けには、本部全体を対象に、異文化理解研修や英語を使ったコミュニケーションの企画などを実施しています。こうしたプログラムは社内外の環境変化や現場の声をもとに毎年アップデートし、社員の成長に寄り添う設計を目指しています。
CEST Businessについては、「2年に1回受験」を開発・MA本部所属の全社員に推奨しています。グローバル人財として求められる英語力は、CEFR B2レベル以上。本部ではこの目標に向かって自らが主体的に英語力を高めていくことを奨励しています 。自ら学ぶという空気は少しずつ本部内に浸透しており、英語研修についても、「上司に言われたから受ける」ではなく、前向きな姿勢で取り組む社員が増えました。社員の挑戦を後押しする。年齢に関わらず、能力・意欲のある社員を支援し、機会を提供する。これからもそんな風土を大切にしていきたいと思います。

―英語学習を始めたきっかけや、どのように取り組み、業務にどう生かせるようになったか教えてください。
砂原様:
海外の製薬会社と共同開発しているプロダクトのプロジェクトマネジャーを務めており、新薬の臨床開発・申請関連の業務などの社内調整や窓口をメンバーと協力して実施しています。
以前は英語でのオンライン会議などの機会があったものの、英語には苦手意識があり、コミュニケーションは英語が得意なメンバーに頼るところが多かったです。しかし、これでは良くないと一念発起し、英語の勉強に着手。プライベートでオンライン英会話を始め、少しずつ力がついてきたのを実感しました。昨年、会社が提供する「英会話力向上プログラム」を受講。受講後に受けたCEST Businessによるアセスメントでは、初めてCEFR B2レベルに到達することができ、業務でも会議の進行が英語でスムーズにできるようになりました。CEST Businessでは技能ごとにスコアが出て、自分が強化すべき点が見えるのもいいところ。私はリスニングが弱いので、これからも継続してスキルアップに努めたいです。

―英語力を伸ばすために取り組まれていることや、挑戦の機会につながった社内プログラムについて教えてください。
土山様:
私は現在、会社が提供する「英会話力向上プログラム」を受講中です。入社3~4年目からグローバルの案件に少しずつ関わるようになりましたが、英語は得意ではなく、周囲にサポートを受けながらなんとか理解する…という状況でした。英語力を伸ばしたいと模索するなかで、今年、このプログラムの受講の機会を得ることができました。プログラムは週1回オンラインで行われ、グローバルビジネスにおけるコミュニケーションのマナーや円滑な会議の進め方などを、外国人講師から学んでいます。実務に直結する内容が多く、日々「わかった!伝わった!」を実感し、英語を使うことが楽しくなってきました。これまでに、2回、アセスメントを受けており、今年も受験予定です。目標であるCEFR B2レベルに到達できるよう、今後も努力を続けていきたいです。