「使える英語」と「合格(うか)る英語」の両輪が支える英語教育

佼成学園女子高等学校

2014.12.15

「英語の佼成」と称される佼成学園女子高等学校。ネイティブ教員によるイマージョン教育をはじめ、全校生徒で挑戦する「英検まつり」やニュージーランドへの長期留学などを通して生徒の英語力を磨き、国際感覚を養っている。建学の精神に基づいた「国際社会で平和に貢献する人材育成」を軸とし、文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校となった同校の英語教育について取材した。

6 年間を通じて英語力を高める

江川昭夫教頭

江川昭夫教頭

 佼成学園女子中学校・高等学校の中高一貫の6 年間において、英語教育は「情操教育」や「進路指導」と並ぶ教育の柱の一つである。実社会で役立つ「使える英語」と、大学受験のための「合格(うか)る英語」。この両輪が生徒の英語力を磨いている。
 同校がここ数年、国公立大学や難関大学への合格実績を伸ばしている背景には、基礎力を養うための徹底した「演習」と、年2 回全校生徒で挑戦する「英検まつり」といった「合格る英語」への取り組みがある。速読・作文・文法・単語・熟語などを繰り返し徹底的に学び、毎時間のテストで確認する学習法により、 生徒は着実に基礎力を伸ばしていく。そして、身に付いた英語力の指標として英検を活用している。毎年6月と10月の英検受験の2 週間前になると「英検まつり」と称した活動が行われる。生徒は毎朝25 分間、1 枚20 問の英単語と英熟語のテストを何枚もこなし、クラスごとに英単語・英熟語シートの達成数が掲示される。生徒たちは楽しみながら学び、お互いに刺激し合い、2 級や準1 級、1 級など、各自が目標とする級への合格を目指す。
 こうして培った基礎力は、生徒が英語を使う際の自信や意欲につながる。英語を使う場は、校内外に広がる。中学では音楽、美術の実技科目をネイティブ教員から英語で学ぶ「イマージョン教育」が特色であり、高校ではネイティブ教員2 人と日本人教員1 人の3 人体制で行う英語会話の授業がある。昼休み中にネイティブ教員が指導にあたる「グローバルセンター」、英語での校内放送、校内のバイリンガル標示など、日々の学校生活の中で自然に英語に触れ、使う環境を整える。さらに中学では、毎年夏休みに希望者を対象に1 泊2 日で異文化を体験する、日本語禁止の「イングリッシュサマーキャンプ」の開催をはじめ、3年3 学期に全員が参加する7 泊8日のニュージーランド修学旅行がある。さらに、今年度入学者より修学旅行後、希望者がそのまま現地に残り、約3 カ月間現地の学校に通学する「中期留学」制度を設けた。
 高校では、2 年夏の英国修学旅行と希望者がそのまま40 日間現地に留まる「短期留学」など、英語の学習意欲を高めるさまざまな行事がある。中でも「特進留学コース」の生徒は、全員が2 年次にニュージーランドで約1 年間の「長期留学」を経験する。入学直後から留学に向けて、クラスが一丸となって留学という目標を目指して準備を重ね、現地ではホームステイまたは寮生活をしながら提携校で学ぶ。ボランティア活動などにも参加し、実用的な英語力を磨くだけでなく、国際的な感覚も養う。留学後は身に付けた英語力を生かして、英検準1 級や1 級に挑戦したり、難関大学合格を目指したりと、クラスで一致団結してお互いを高め合いながら、それぞれの目標に向けて努力を惜しまない。