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  • 2021年08月13日
  • 公益財団法人 日本英語検定協会
  • ビジネステスト事務局

Drive Your Business~グローバルな視点に立つ~
セミナー開催レポート

開催概要:2021年7月13日(火) ライブ配信
主催: 公益財団法人 日本英語検定協会
共催: 株式会社ラーニングサイクル
セミナーURL: https://www.eiken.or.jp/linguaskill/biz_eiken/biz_eiken0713.html

本セミナーのポイント

・ グローバルなビジネスの舞台で活躍するために必要なマインドセットとは?
・ビジネスパーソンの英語学習。スキル向上のため学習サイクルのヒント。

社会人になってから、英語でのビジネスコミュニケーションと向き合う。そこにはどのようなモチベーション、そして難しさがあるのでしょうか。本セミナーでは、「ビジネスパーソンの英語学習」というテーマでそれぞれの学習エピソードにフォーカスを当てながら、日本のビジネスパーソンの英語への挑戦についてご意見をいただきました。パネルディスカッションでは、「社会人」という限られた時間を有効活用し、学習を継続させることで英語スキルを磨かれた3名のビジネスパーソンをお招きしました。目標とするレベルや、必要となる学習時間など皆様の英語学習のご参考としてお役立てください。

基調講演
“Not Just a Language”

 

アクセンチュア株式会社 常務執行役員
シニア・マネジング・ディレクター、アジア太平洋・アフリカ・ラテンアメリカ・中東地区 主要クライアント統括

小林 珠恵氏

基調講演のゲストスピーカーとして登壇したのは、アクセンチュア株式会社の常務執行役員としてまさにグローバルに活躍している小林珠恵氏。世界中から同社の経営メンバーが集まるグローバル経営委員会では英語で会議が行われるほか、日々の業務においても、多様な国の顧客や海外オフィスチームとのやり取りが行われるとのこと。では、日本オフィスでも同社のリーダーシップ層は皆英語が堪能かというと、意外にもそうではないと言います。 自身についても「英語が必要とされる場では遠慮がちだった」と評価する小林氏は、日本人が国際的な場や英語に対して自らメンタルブロックを作ってしまう傾向について言及。それらを打破してきた自身の経験から、小林氏が、大切にしているという3つのマインドを紹介しました。

  1. Be Confident in Yourself - 小林氏自身、アジア・パシフィック地域の女性として初となるグローバル経営委員会への参画時には、マイノリティ意識やネイティブスピーカーではないという認識から発言を控えがちになることがあったそうです。しかし、「どうして経営委員会メンバーに選ばれたのか」と考えたとき、「異なることに価値がある」と思うことで積極的になれたと言い、ありのままの自分や自分が取り組んでいることに自信を持つことが非常に大切であると述べました。
  2. Go Global without Fear - 以前の英語力は「実務レベルに達していなかった」という小林氏。しかしそれでも、グローバルな仕事の機会があれば「No」とは言わずに飛び込んできたそうです。そうした経験が自身のグローバルマインドを形作ってきたと言い、恐れずにグローバルな環境に身を置く情熱を持つことが重要であると語りました。また、英語は「勉強するだけでは生きたものにはならない」と話し、実践の場に思い切って飛び込んでみるよう呼びかけました。
  3. Enjoy Diversity - 多様性をポジティブに受け入れる、違いを楽しむメンタリティーを持つという点について、小林氏は、グローバルな環境、いわばホームでない場所においても自分の行っていることを楽しむことが大切であると話しました。小林氏自身、英語のスピーチ時のBGMに好きな音楽を取り入れるなど工夫をしていると言い、「楽しむ姿勢」が本質的なグローバライゼーションには必要だと感じているそうです。

「私自身まだ途上です」としながらも、上記のような自信・実践・エンジョイを実行するための「武器」として、英語は重要であると小林氏は言います。また、英語力はそれらの活動を加速させる側面を持つことから、英語と向き合うことで、世界と渡り合うグローバルマインドセットを獲得するためのポジティブサイクルを生むことができると考えているそうです。グローバルなビジネスの舞台で活躍していくうえで、“Not Just a Language”、単なる言語としての英語だけでなくグローバルの中で自信を持って実践を楽しむマインドセットが重要であると小林氏は語り、世界に対してもよりオープンになることが、ビジネスや文化の本質的なグローバライゼーションにつながるとメッセージを送りました。

パネルディスカッション
ラーニングサイクル 学びの継続と成長の確認の重要性について

 

第2部のパネルディスカッションでは、現職で活躍している3名のビジネスパーソンを招き、自身の英語学習に対する思いと継続的な学習を実現させるための様々な工夫について、意見を交換し合いました。様々なヒントが共有される中、共通して見えてきたのは、パネラー全員の学習に向き合い続ける「強い意志」でした。

 

KDDI株式会社サービス統括本部
5G・xRメディア推進部 グローバルビジネスグループ グループリーダー

黒﨑 聡子氏

幼少期のころ海外での生活を経験した黒﨑氏は、「グローバルに働きたい」という思いを抱き、現職の会社に入社しました。グローバルプロジェクトにかかわるという夢の達成のためには、自分の英語力とポテンシャルを社内で認めてもらう必要があり、英語のスキルアップに取り組むようになったそうです。

多忙な中でも継続して英語学習に励むために、黒﨑氏が意識していることは、学習時間をサイクルとして取り入れること、そしてサイクルを守るためにそれをアポイントメント化することだと言います。決められた時刻に決められた時間内でタスクを行うというスケジュールリミットを課し、タイトな時間内で集中して取り組むようにしています。また、通勤時間や家事の間などを利用しながら講師からのフィードバックを確認するなど、学習の振り返りの時間も確保していると話しました。

英語学習における自分の成長は、「筋トレ」と同じように成果がすぐに分かりやすく目に見えるものではないと話す黒﨑氏は、テストを受け、英語力をスコアで可視化することで英語力の伸びを感じていると言います。また、設定した目標までの「距離」を測り自分のゴールとのギャップを知ることも、モチベーションを保つために効果的だそうです。

2回の海外勤務を経験し、すでに夢を叶えることに成功した黒﨑氏ですが、今後もグローバルな仕事のチャンスを獲得することを目指しています。

 

株式会社データ・ワン セールスマネージャー
井出 雄平氏

「英語がうまく話せないことで、将来のキャリアチャンスを逃したくない。」その思いから、井出氏は英語に向き合い始めたといいます。また、英語力が原因でビジネスの拡大に苦戦している人を見てきたことも、ビジネスパーソンにとっての英語の重要性に気づいたきっかけでした。

英語学習を継続していくために、井出氏が取り組んでいることは、3つあると言います。1つ、学習を習慣づけること。2つ、目標を持つこと。3つ、目標を達成するための「Strong will power(強い意志力)」を持つことです。夜は学習の振り返り、朝にはディクテーション、そして英語のレッスンを毎日。英語圏での生活環境や留学などバックボーンがない人でも正しい方法で継続的に学習すれば習得出来るようになると信じ、このようなサイクルを続けることで、英語学習を日常の一部にしているのだそうです。「継続こそが、英語を習得するための最短・最速の方法だと実感しました。」井出氏はそう話します。また、目標を達成するために、自分は何をしなければならないのか、と常に自身に問いかけることも、モチベーションの維持や学習の習慣を守ろうとする強い自律の意志につながると言います。

自分の成長を把握する方法として、井出氏は実用英語技能検定(英検🄬)やGCASなどのテストのほか、日々のレッスンも活用しています。講師が話す単語や表現が理解できるようになったり、自分の意見や感情を伝えることができるようになったりと、毎日の授業で成長を感じることができているそうです。

 

アクセンチュア株式会社 インタラクティブ本部 シニア・マネジャー
新井 美帆氏

学生時代に海外留学の経験もある新井氏。グローバルなビジネスの場において、英語を話せることはあくまで「スタート」であり、それ以上に、「質の高い、ビジネスにふさわしい英語」を運用できる能力が求められていると気づいたことが、英語学習を始めたきっかけだったと言います。ビジネスをするうえで、プレゼンテーション力や交渉力が必要であるように、英語もまた同等に社会人として身に着けるべきビジネススキルの一つであると新井氏は捉えています。

英語学習を継続するコツは、自分の勉強のスタイルを知り、それに合ったサイクルを作ることだと言います。新井氏の場合は、レッスンの予定をカレンダーに書き込み、スケジュールを細かく設定するなど、「勉強をしなければいけない環境」に自らを置くように意識しました。プログラムを利用した学習では、時間を割いてレッスンをしてくれている講師からの期待に応えたいという思いも、学習を継続していきたいという気持ちに強く働いたと言います。

また、英語のテストを受けることには、自分の英語レベルを定量的に測ることができるメリットがあり、また学習モチベーションを維持するために有効な手段であると新井氏は評価します。特に、テストの後は間違った回答について分析を行い、自分のミスを知ることで、理解の向上と英語力の成長につなげているそうです。

“Basic English”から一つ上の “Proper Business English”へ、継続的な学習を通じて今後も英語のスキルにさらに磨きをかけていきたいと話しました。

 

ファシリテーター:株式会社ラーニングサイクル
代表取締役社長 長谷川 幸治氏

英語力の向上のためには継続的な学びが必要不可欠です。そう話すのは、ラーニングサイクル株式会社・代表取締役の長谷川氏。自身のカナダでの経験から、「正しい英語」の習得に強い必要性を感じ、同社を設立しました。

0を1に変える学びとは異なり、すでに持っている1を3にも4にも高めていく学びは、常に学習と向き合い続ける厳しさから、比較的に非常に難しいと長谷川氏はコメントしました。その壁を打破するためには、パネラーの体験談にも登場した、学びを習慣化していくことが最も重要であると話します。

ただし、高い英語運用能力を持つことだけが重要ではない、とも長谷川氏は説明します。国際的なビジネスの場においては、言語や文化の違いを理解し、その場に合わせてコミュニケーション行動を変化させる柔軟な対応がカギとなると言います。つまりは、学習モチベーションを維持するだけでなく、自分を信じ、オープンなマインドで強い意志を持ち続ける姿勢が、グローバルに活躍するうえで求められるビジネスパーソンとしてのスタンスであると述べました。

 

GCAS開発責任者:日本英語検定協会 制作部
シニアエディター ダニエル・ジョイス

テストを受けることの利点は、進歩を測ることができ、そして改善につなげることができるというところにある、とGCAS開発責任者であるダニエル・ジョイスは話します。テストは、人々のモチベーションを高め、目指すべき目標を与えることができますが、テストとして正しく機能するためには、受験者の目的に内容がマッチしていることが非常に大切であると述べました。

モチベーション維持とテストの関係性については、テストの弱点でもある、受験者の当日のコンディションが試験結果に反映されてしまうという点に触れ、たとえ一時のスコアに向上が見られない場合でも学習の意欲をそがれないでほしい、と呼びかけました。

また、視聴者からの「英語話者との会話を始めるきっかけが難しい」という質問に対しては、日本人だけでなくネイティブスピーカーである相手も持つことがある共通の悩みだと言い、それはやはり自信のなさに起因するのではないかと解説しました。パネラーである黒﨑氏が回答したように、まずはオープンさを相手に示し、自分から思い切ってアイスブレイキングを試みることで、相手も喜んでコミュニケーションに参加してくれるだろうとエールを送りました。

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