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  • 2022年06月03日
  • 公益財団法人 日本英語検定協会
  • ビジネステスト事務局

ビジネスを動かす英語力~成功する企業のグローバル人材育成と採用~
セミナー開催レポート

開催概要:2022年1月26日(水) オンライン開催
主催: 公益財団法人 日本英語検定協会
共催協力: ケンブリッジ大学英語検定機構 /株式会社ジェイエイシーリクルートメント

本セミナーのポイント

グローバルビジネスパーソンの育成は、多くの企業にとって重要なミッションとなっていますが、人事担当者にとって、具体的な取り組み方法の検討は極めて難しい課題となっているのではないでしょうか。英語力の向上を図るうえでカギとなるのは、信頼性の高い効果測定による「英語スキルの可視化」です。

2022年1月、英国のケンブリッジ大学英語検定機構、株式会社ジェイエイシーリクルートメントとのコラボレーションで開催された公益財団法人 日本英語検定協会主催のオンラインセミナー『ビジネスを動かす英語力~成功する企業のグローバル人材育成と採用~』では、3名のゲストスピーカーを迎え、「英語力の可視化」をテーマにアカデミックな視点、そして人事・採用の視点から、これから益々ニーズの高まるグローバルなビジネスコミュニケーション力についての講演が行われました。

海外事業展開と英語力〜中途採用市場で獲得できる“英語力”とは〜

 

登壇者:株式会社ジェイエイシーリクルートメント 海外進出支援室長・チーフアナリスト
佐原賢治氏

 

『海外事業展開と英語力』に登壇したのは、人材紹介会社ジェイエイシーリクルートメントで海外進出支援室長を務める佐原賢治氏。日本と海外でグローバルに事業を展開する日本企業に対して、様々な人材を紹介されています。Linguaskill Businessを通じて自社の社員の英語力育成に取り組んでいる組織として、また高い英語力を持つグローバルな人材とクライアントをつなぐ企業として、「中途採用市場で獲得できる“英語力”とは」をテーマに、求人企業や求職者の最近の動向から見える採用成功のポイントについて説明されました。

 
 

日本企業における「英語力不足」が、グローバルな事業展開を行ううえで大きな妨げとなっていることについて、改めて言及した佐原氏。ポストコロナの中長期的なスパンを見据えた際に、持続的な企業成長を達成するためには、更なる海外事業の振興や企業のグローバル化が不可欠であると言います。

実際に、国際ビジネスコミュニケーション協会の「英語活用実態調査2019」においては、海外事業展開比率が高い企業ほど、英語力がネックであると認識しているという興味深い調査結果が発表されました。

ビジネスにおいて求められる英語力は、その使用場面や発揮するべきスキルレベルによって異なり、多様であるがゆえに一概に定義することは難しいと佐原氏は話します。

 

例えば、購買担当として海外サプライヤーと商談を行ったり、広報として会社の経営方針を文章で発信したり、役員として海外支部の従業員に対してビジョンを熱く語ったりと、求められている役割や立場によって、必要なスキルは様々です。つまりは、中途採用の場において獲得できる英語力とは、ビジネスシーンにおいて実戦を伴って身についた英語力であり、それはまたビジネススキルそのものでもあると佐原氏は話します。

 

高い英語力を持つ人材の獲得がうまくいかない原因について、佐原氏は次の3点を挙げました。①英語力について採用側が妥協してしまうこと②「必要な英語力」が適切に定義されていないこと③必要な英語力や、現れた候補者の英語力を適切に測定する術を採用側が有していないことです。

①の採用側の妥協とは、昨今の慢性的な売り手市場により、人材獲得競争をより回避しようとする心理から、スキル要件における英語力の優先順位が落とされてしまうことを指します。②については、ポジションに対して想定される英語の使用場面や期待される具体的なスキルについて、現場と人事部、あるいは人事部と人材紹介会社の間で情報が十分に共有されないことが原因となります。結果として、実際に企業が掲載する求人票の英語に関する要件表記には、「TOEIC600点以上」「ビジネスレベルの英語力を有すること」「英語力尚可(英語力歓迎)」などの抽象的な表現が目立つようになると佐原氏はコメント。③については、候補者の「英語力の可視化」が課題となると説明しました。

これらの対応策として、佐原氏は課題①②については、綿密な計画の立案と採用活動の早めの始動が効果的であるとし、募集のタイミングや必要なスキル等を詳細なプランに落とし込み、物理的なタイミングを早めることで人材獲得競争における優位性を確保していくことを推奨しました。また、課題③については、測定ツールの導入が一助になる可能性があると述べました。

佐原氏によると、中途採用を成功に導くための具体的なアクションは、大きく4つのフェーズに分けて展開されると言います。

 

フェーズ1では、ポストと要件の把握を目指します。社内の海外事業に関与する人と組織を、現在、中期、長期という3つの時間軸から評価し、中期事業計画に照らし合わせて人材要件を可視化するというものです。この時、人材要件を事業計画と親和性を持たせて連動させることが、組織として明確な人材獲得目標を設定するうえで非常に重要なカギになると佐原氏は話します。

フェーズ2では現状把握を行い、フェーズ1で設定された目標に対して、「どの時点で、どのようなことができる人が、何人必要なのか」などが定義された人員計画を策定します。その際のポイントとして、募集を行うポストに対して求める具体的な英語力を、もれなく計画に含めておく必要があると佐原氏は話します。また、現有の人員が実際に発揮している英語力の水準についても確認を行い、現在地から目指すべきゴールまでの正確な距離感を把握することが、その後の人員計画の有用性を高めると述べました。実際に、株式会社ジェイエイシーリクルートメントでは、2019年にLinguaskill Businessの全社員受験を実施。結果として、経営陣が求める英語力が組織的に不足していることに気づくことができたそうです。また、アセスメントを行ったことで高い英語力を持つ人材の発掘にもつながり、改めて自社が持つ人材力に気づくきっかけとなったとコメントしました。またテストの実施は組織に対してだけでなく、社員一人一人にとってもポジティブな効果をもたらしたと言います。テストスコアと向き合い、まずは自分の能力を客観的に把握するという一歩を踏み出したことで、佐原氏を含め、社員全体の英語学習に対するモチベーションの向上を感じることができたそうです。タレントマネジメントや英語学習の促進の側面からも、Lingaskill Businessの活用は有効であったと振り返りました。

フェーズ3の人材獲得では、「内部労働市場」「外部労働市場」の2つに対してのアプローチを行います。内部労働市場への働きかけは、既存社員の英語訓練の計画立案と実施にほかなりません。そのほかに、昇進や昇格の要件としてLinguaskill Businessのようなテストスコアを課すことで、組織全体の英語力の向上を図ることも戦略の一つであると佐原氏は述べました。また、外部労働市場に対しては、人材紹介会社等を通じて募集を行うために、人員計画にて定義された要件の発信を行うことが求められると言います。

佐原氏は、フェーズ4を「実装と更新」と題し、獲得した人材のアサイン後についても「生き物」である事業計画を常に最適な布陣で推進していくために、変化に応じて機動的に人材の確保や育成に尽力し続ける必要性を述べました。このフェーズにおいても、Linguaskill Businessなどのテストを活用しながら候補者の英語力を既存社員のものと対照させることで、組織の目標に対して最適な人材獲得が可能になると解説しました。

 

「人材戦略は “make or buy”と言われますが、私は “make AND buy”だと考えています。」そう佐原氏は話します。英語力に限らず、人事部は既存の社員に対して十分なスキルトレーニングを積極的に計画・実行することが必要です。同時に、綿密な人員計画をもって外部労働市場から必要な人材を確保し、既存のヒューマンアセットと効果的に融合させることで最適な事業体制の醸成を図ることが、持続的な企業成長を達成していくうえで重要になると呼びかけました。

 

現在の中途採用マーケットでは、すでに海外駐在を経験した即戦力の採用を目標とするトレンドが見られるほか、マネジメント層や技術職についても英語を必須要件として求める動きが出てきていると言います。これは、日本企業の国際競争力獲得のための海外企業とのアライアンス構築や、M&Aのニーズが高まっていること表れであると佐原氏は考察します。加えて、外資系企業による国内投資も増加傾向にあり、特に人材市場においては、優秀な人材の獲得競争が日本企業と外資企業の間でもさらに激化することが予想されています。また、採用する企業側だけでなく、求職者にも以前とは異なる新しい動向が確認できると言います。コロナ化で一度沈静化した求職者の活動は、再び活発化し、コロナ前の水準を超える勢いを見せています。求職者の会社選びの基準も時代に合わせて変化を見せる中で、いかにトレンドをキャッチアップし採用計画に反映させるかが、今後の中途採用を成功させるうえで非常に重要なテーマになってくるのではないかと佐原氏は話しました。

 


スピーキングテストのAI単独採点は本当に信頼できるのか?~正しいゴール設定と信頼あるテストの重要性~

ケンブリッジの英語能力試験Linguaskill(リンガスキル)の開発に携わる二人の研究者に、英語スピーキングのAI自動採点の技術と信頼性について、最近の研究論文に基づき講演していただきました。

ケンブリッジ大学英語検定機構サマリーレポート 文:ケンブリッジ大学英語検定機構様
 

登壇者:Cambridge Assessment English(ケンブリッジ大学英語検定機構)
Dr. Jing Xu (ジン・シュー博士)
Dr. Edmund Jones (エドモンド・ジョーンズ博士)

 
 


ビジネスコミュニケーションスキル向上のカギ~スキル向上のPDCAサイクル~

 

登壇者:公益財団法人 日本英語検定協会 ビジネステスト事務局
永吉伸己

 

「英語のできるビジネスパーソンと聞くと、どんなイメージをお持ちになるでしょうか?」そのような参加者への問いかけをもって幕を開けた『ビジネスコミュニケーションスキル向上のカギ』では、社会人の英語ビジネスコミュニケーションスキルの育成のための、継続的な英語学習の仕組みづくりについて焦点を当てたプレゼンテーションが行われました。
まず初めに、永吉は英語学習における技能の偏りについて指摘。実際のビジネスにおける英語の活用シーンでは商談やプレゼンテーション、そして資料作成などの「アウトプットスキル」が求められるにもかかわらず、多くのビジネスパーソンが取り組む英語学習は、「インプットスキル」のトレーニングが中心になってしまう傾向にあると話しました。



 
 

Linguaskill Business / Cambridge Online Courseに関するお問い合わせ

公益財団法人 日本英語検定協会 ビジネステスト事務局
TEL:03-3266-6366
Email:biz_eiken@eiken.or.jp
※平日9:30am-5:30pm(土・日・祝日を除く)

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