2024年度 実用英語技能検定(英検) 問題形式リニューアル

2024年度より、実用英語技能検定(英検)の3級以上の級(1級、準1級、2級、準2級、3級)につきまして、一部新たな形式での出題を加えてリニューアルを予定しています。
現時点でご案内できること(リニューアルの目的・概要、内容等)を以下に掲載しています。
リニューアルの時期は、2024 年度 第1 回検定を予定しています。
※英検S-CBTは2024年5月実施分からリニューアル開始予定です。
なお今後変更が生じる場合がございます。その際は、速やかに本ウェブサイト等でご案内いたします。

リニューアルの目的・概要

英検はこれまで、その時々の学習指導要領に表わされる英語能力観を踏まえた出題を目指してきました。現行学習指導要領の「外国語」では、複数の技能(領域)を統合した言語活動の充実を図ることが目指されています。また、知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じた言語の運用を考える中で思考力、判断力、表現力等の育成も求められています。
これらを踏まえ、できるだけ早いタイミングで、新たな英語能力観を反映した出題形式を取り入れてリニューアルする必要があると、英検協会として判断しました。

現行学習指導要領の
「外国語」で求められること

  • 複数の技能(領域)を統合した言語活動の充実を図ること
  • 知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じた言語の運用を考える中で思考力、判断力、表現力等を育成すること

新たな英語能力観を反映した
出題形式

取り入れた新問題による実施

対象級

1級・準1級・2級・準2級・3級

1〜3級

リニューアル内容

一次試験 二次試験
筆記試験 Listening Speaking
Reading Writing 試験時間
1級 41問→35問

・大問1:短文の語句空所補充
→3問削除(単語問題)

・大問3:長文の内容一致選択
→3問削除(設問No. 32-34)

英作文問題の出題を
1題から2題に増加

既存の「意見論述」の出題に加え、
「要約」問題を出題
変更なし
(100分)
変更なし 変更なし
準1級 41問→31問

・大問1:短文の語句空所補充
→7問削除(単語問題)

・大問3:長文の内容一致選択
→3問削除(設問No. 32-34)

変更なし
(90分)
変更なし 受験者自身の意見を問う質問(No. 4)に話題導入文を追加
2級 38問→31問

・大問1:短文の語句空所補充
→3問削除(文法問題など)

・大問3B:長文の内容一致選択
→4問削除(設問No. 30-33)

変更なし
(85分)
変更なし 変更なし
準2級 37問→29問

・大問1:短文の語句空所補充
→5問削除(熟語・文法問題など)

・大問3B:長文の語句空所補充
→3問削除(設問No. 28-30)

英作文問題の出題を
1題から2題に増加

既存の「意見論述」の出題に加え、「Eメール」 問題を出題
時間延長
(75→80分)
変更なし 変更なし
3級 変更なし 時間延長
(50→65分)
変更なし 変更なし

このたびのリニューアルに伴い削減する設問番号は(   )内で示しています。2023年度までの現行の設問番号を表します。
※なお、合格基準スコア、CEFR算出範囲の変更はございません。​

出題例

リニューアルの内容​ 出題例 / 解答例 / 評価観点
1 1級 Writing 要約問題 例を見る
2 準1級 Writing 要約問題 例を見る
3 2級 Writing 要約問題 例を見る
4 準2級 Writing Eメール問題 例を見る
5 3級 Writing Eメール問題 例を見る
6 準1級 Speaking No. 4​ 例を見る

※1級から3級にてライティング問題が1題から2題に増加することで一次試験解答用紙を変更します。

安河内哲也先生による
英検リニューアル解説動画

英検受験を検討されている皆様へ

安河内 哲也先生

安河内 哲也先生
一般財団法人実用英語推進機構代表理事

 英検がリニューアルされることとなりました。
 英語を習得するためには、バランスのよいインプットとアウトプットが重要です。
 そこで今回のリニューアルでは、ライティングの問題が拡充されることとなりました。従来までは1題のエッセイでライティングが評価されていましたが、従来の問題に加えて、要約問題やEメール問題が追加されます。
 受験者の皆さんは「問題が増えて大変だ〜!」と感じると思います。しかし、英検を目標として4技能をよりバランスよく学べるようになるわけですから、皆さんにとってプラスなのです。
 英検を活用する目的は、単に合格証書をもらうことではありません。その後も役に立つホンモノの英語力を身につけることです。その点を踏まえて、日々の学習をがんばってくださいね。全ての英語学習者の皆さんを応援しています。Enjoy studying English!

英語教育の有識者からの
メッセージ

  • 英語教育に携わるすべての皆様へ

    安河内 哲也先生

    太田 光春先生
    名古屋外国語大学 外国語学部 英米語学科 英語教育専攻長 教授
    元 文部科学省初等中等教育局視学官

     外国語の習得は長い道のりである。曖昧さに耐えながら、徐々にそれを減じることを通してその運用力を高めていく営みとも言える。4技能をバランスよく備えていくためには、情熱、時間と労力、そして、粘り強さが求められる。だから多くの人が道半ばにして断念してしまう。
     しかしながら、情熱、時間と労力、そして、粘り強さがあれば、誰にでも達成できるものでもある。自律した学習者として自ら目標を設定し、それらを達成するアプローチを考え、自分の可能性を信じて努力を継続する。振り返りや妥当性のある評価を通して学びの状況を客観的に把握し、得られた情報を基に適切な修正や改善を図り、その過程や営みを楽しいと感じながら学びを進める。そうすれば、誰でも満足のいく領域に達することができる。
     口で言うのは簡単だが、自律した学習者になることは容易なことではない。主体的に英語を学ぶことができるようになるまでは、多くの場合、周囲の手厚い後押しが必要になる。
     日本英語検定協会の実施する検定試験の特色は、動機づけとして幅広い年齢層の人たちの学びを後押ししている点にある。努力をすれば達成可能な目標を提供し、人々を生涯学習に誘う役割を果たしている。
     同時に、学校教育を支援する役割も果たしている。多くの学校では、妥当性や信頼性を担保しながら、英語の4技能の評価を持続的に開発・実施し、学習者に適切なフィードバックを提供し続けることは、人的、物的、時間的資源に制約があり、高いハードルになっている。特に、高等学校での学習は、より高度な知識、技能、思考力の習得が求められ、学習者が自信や意欲を保持し続けるためには相当な支援が必要である。
     今回の実用英語技能検定試験におけるリニューアルは、長年にわたって蓄積された英語検定試験のデータの精査な分析と新学習指導要領の実施を契機にして実施された。高校生の学びに寄り添うために、学習指導要領で示された目標や言語活動を踏まえた出題をすることで、彼らの学習者としての自信や意欲を持続させることを可能にしている。これまで以上に多くの高校生が「英語が好き」「英語が得意」と思える良いきっかけになるに違いない。

    安河内 哲也先生

    吉田 研作先生
    上智大学 名誉教授
    日本英語検定協会 会長

     今回の学習指導要領の最も顕著な特徴は、各技能領域が目指すべき目標に対して、その具体的な実現方法として述べられている言語活動及び言語の働きに関する事項に見られるCan-doが非常に具体的で、技能統合の重要性、及び思考力、判断力、表現力の実現を強調していることです。
     また、その実現方法として意見交換や賛否を示すやりとりをしたり、互いに書いたものを読み合い感想を述べあったり、発表などに対する質疑応答や意見交換をするという、コミュニケーション活動の重要性が強調されています。
     今回の英検のリニューアルは正にこのような学習指導要領の目標と実現方法がどこまで身についたかをよりよく検証することができるものです。

  • 英語学習の指導をされている先生方へ

    安河内 哲也先生

    池田 周先生
    愛知県立大学 外国語学部 英米学科 教授 

     英検の問題形式リニューアルによって、「難しくなるのでは?」と不安に感じる生徒さんもいらっしゃるかもしれません。以下の内容をもとにして、新たな形式の英検にチャレンジする動機付けを高めてあげてください。

    (1) リニューアルにより、英検は4技能の能力をよりバランスよく測定する試験になります!
     一次試験の Writing 問題が1題から2題になることで、技能ごとの問題の量的な偏りが改善されます。

    (2) 実際のコミュニケーションにおいて重要な「技能を統合して用いる」能力も測定します!
     新たな出題形式である「要約」(1級、準1級、2級)と「Eメール」(準2級、3級)のいずれも、「読み取った内容に基づいて書き表す」もの、すなわち Reading と Writing を統合した形式となっています。技能を統合して用いる能力は、世界中で通用する新しい英語能力観に基づき、実際のコミュニケーションで重要な英語使用を想定したものです。実はこれら文字技能の統合問題に対応する能力の育成にも、「内容を読み取る代わりに聞き取ってみる」とか、「書き表す代わりに言ってみる」といった Listening と Speaking の音声技能による学習も効果的です。こうした技能統合は、学習指導要領に基づいて行われる学校の英語教育でも求められる能力です。

     つまり、新たな問題形式の英検も、これまでと同様、4技能の能力をバランス良く着実に身に付ける学習を継続していけば、必ず合格することができます!

英検リニューアル
オンライン説明会のご案内

安河内哲也先生の動画を活用したリニューアル説明会をオンライン(zoom)で実施しますのでぜひご参加ください!

  • 英検協会公式 You tubeチャンネルに公開中の動画を放映します。
  • 英語外部資格試験利用入試を実施している大学の入試説明会動画をご紹介します。
    ご紹介する大学:関西大学、近畿大学、東洋大学、法政大学、立教大学

よくあるご質問