お芋のはなし

北海道に赴任して、「これはうまい!」と驚いたものがたくさんあります。海の幸は勿論ですが、野菜もしかりで、たとえばアスパラ、トウモロコシ、そして ジャガイモもそうです。ジャガイモには実に様々な品種があって、私が気に入っているのはまるで栗のような甘みのある「北あかり」という品種です。これなら ザクッと切って油で揚げ、塩をさっとふっただけで最高のビールの友になります。(ただ煮崩れしやすいので、煮る際は要注意!)

このように、北海道で「芋」と言えばジャガイモですが、私が生まれた九州で「芋」と言えばサツマイモのことでした。しかし調べてみるとサツマイモもジャガ イモも日本に伝わったのは16世紀末から17世紀初 頭であると言われており、もともと日本の「芋」と言えば、里芋のことでした。里芋は縄文時代に伝わったと言われていますので、歴史が違います。

俳句の世界でも、単に「芋」と言えば里芋のことを指します。秋の季語です。里芋関連の季語には「芋水車」や「芋煮(会)」「芋の露」などがあります。

  • 小国町南小国町芋水車  高浜虚子  
  • 月山の雲の犇(ひしめ)く芋煮会  後藤杜見子  
  • 芋の露連山影を正しうす  飯田蛇笏

「芋水車」は里芋の皮を剝くための水車、「芋煮」は東北各地で行われる里芋の鍋、「芋の露」は里芋の葉についている大粒の露のことです。日本人は昔から里芋に親しんで来たことがわかりますね。

ちなみに、英語でpotatoと言えばジャガイモのこと。サツマイモ(sweet potato)と区別する場合はIrish potatoと言うこともあります。里芋は英語ではtaro。山芋はyamです。そろそろ焼芋(baked sweet potato) もいいですねえ。芋焼酎(sweet potato shochu)のお湯割りも!(! 焼芋は冬の季語、焼酎は暑気払いに飲んだ、ということで夏の季語です)

(November 2012)

中村先生のPROFILE

中村典生
長崎大学 教育学部教授

小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。

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