英語教育に関する調査 | 英語教育研究センター | 公益財団法人 日本英語検定協会

委託研究

常任審議委員や外部の委託研究者が英語教育に関する研究をしています。研究成果は本サイトで順次公表いたします。

英語教育研究センター常任審議委員

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2018年7月掲載 ・・2016年度報告 未掲載分・・

 Mixture Rasch Model による英語能力の規準設定(2)
 常任審議委員 大友 賢二

キーワード:テスト規準・MRM(Mixture Rasch Model)

この研究は、大友賢二(筑波大学名誉教授)、中村洋一(清泉女学院短期大学教授)、法月 健(静岡産業大学教授)による「Mixture Rasch Modelによる英語能力の規準設定」(2015)を発展させた、2016年度版である。この規準設定に関しては多くの方法が考えられるが、そのうちでも、正規分布曲線の交点を計算する方法を取り上げている。この手順に関しては、その方法を、実例を用いながらきわめて詳細に示している。また、MRM(Mixture Rasch Model)とLRT(Latent Rank Theory)との比較検証を行っている。新しい課題としては、多値データの規準設定も試みている。さらに、CEFR(Common European Framework of Reference)と他のテストとの関連づけに関する課題は、きわめて興味深いものであるが、その場合の規準設定をどうするのかに関する考察を行なっている。最後に、2017年3月18日に行われた特別講演会「Mixture Rasch Model による英語能力の規準設定」の口頭発表内容(下欄動画)の全てを提示しているのは、きわめて異色である。

【この研究に関連する動画】

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2018年6月掲載

 Mixture Rasch Model による英語能力の規準設定
 常任審議委員 大友 賢二

キーワード:テスト規準・MRM(Mixture Rasch Model)

本研究は、2011年度の財団法人日本英語検定協会英語教育センター委託研究に端を発している。2011年度から2013年度までは「言語テストの規準設定」、2014年度は「ICT等を活用した評価についての調査・研究」、2015年度から現在までは「Mixture Rasch Modelによる英語能力の規準設定」として研究を継続してきた。6年間の研究成果については、報告書、あるいはPowerPointのスライドで、本ページ上で公開している。また、2017年3月18日の英語検定協会特別講演会にて、大友賢二研究代表が行った「Mixture Rasch Model による英語能力の規準設定 検討結果と今後の課題」と題した講演でも報告している。 この研究が一貫して検討してきたのは、「規準の設定を客観化するための研究と実践」(大友, 2012, p. 1)である。比較区的広範に及ぶ「言語テストの規準設定」というテーマのもとで研究を始め、Mixture Rasch Modelの可能性や課題に焦点を絞りながら、現在の研究を展開している。本項では、まず先行研究を再度振り返りつつ、本研究のこれまでの経過の中から現在の焦点であるMixture Rasch Modelの可能性や課題に関連のある議論を概観し、今後の研究における方向性を見定める論点の整理を行う。それに基づき、実際のテストデータを用いて分析を行い、英語能力の規準設定の方法論を検討する。

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2018年3月掲載

 教員の学習指導要領の理解の調査
 常任審議委員 吉田 研作

キーワード:学習指導要領

学習指導要領は小学校や中学校、高等学校等で教える内容を定めたものであり、これをもとに教科書等が作成され、現場での教育が日々実践されている。しかし、教員研修等で非公式に確認した限りでは、一旦教育現場に出ると学習指導要領をきちんと読んだことがないというのが大半を占めているとの報告をよく耳にする。このようなことも踏まえ、吉田他(2004)以降の英語教員の学習指導要領の内容の理解と実践に関する意識の変容を把握することを本研究の主目的とし、以下のように研究課題を設定し、アンケート調査を実施しデータを収集し、分析を進めてきた。
研究課題1:英語の学習指導要領に明記されている英語教育の理念や目的および言語活動の実践に関して中学校および高等学校の英語教員がどのような意識を持っているか
研究課題2:英語の学習指導要領に明記されている英語教育の理念や目的および言語活動の実践に関する中学校および高等学校の英語教員の意識がどのように変化しているか
研究課題1に関しては、概して多くの教員が英語の学習指導要領に明記されている英語教育の理念や目的および言語活動の実践に関して賛成して、実施していることが判明した。研究課題2に関しては、経年変化が見られた項目もあれば、ほぼ変化のない項目もあった。  本調査によって、実際の指導の現場において、英語教育の理念や目的がどの程度実践されているか、客観的なデータを示すことが出来た。また、それが実践されない場合、どのような要因が障壁となっているかについて、多少の示唆を与える分析を進めることが出来た。そして、英語教育における理念と実践を各教員がどのように自分の授業の中で結びつけていくか、そのために必要な手立ては何か、ということをさまざまな要因ごとに検証していく必要性が示された。

2016年10月掲載

 言語テストの規準設定(1)
 常任審議委員 大友 賢二

キーワード:テスト規準・MRM(Mixture Rasch Model)

「規準設定」(standard setting) というのは、ごく簡単に言えば、「規準や分割点を設定する手順」ということである。受験者がある特定の能力水準まで到達したかどうかを決めるのには、どのような手順を踏むのが最も適切であるかということを究明しようとするものである。この報告は、大友・渡部・伊東・藤田・法月による2011年度の研究をまとめたものである。
この報告書では、言語テストの規準設定に関連する研究分野を5つ設定し、それぞれの角度からその検討を行っている。
まず、第1の分野は、「規準設定の意味と歴史」(大友賢二・渡部良典)である。ここでは、海外における規準設定法の研究とその動向、日本における規準設定の応用と実践などが検討されている。
第2の分野は、「内容言語総合型学習(CLIL)における規準設定」(渡部良典)である。特定の目的のための言語・内容重視言語教育からCLILへの統合及び発展などがここでは検討されている。
第3の分野は、「Can-do statements における規準設定」(伊東祐郎・藤田智子)である。ここでは、日本語能力試験の能力レベルとCan-Do Statements、英語教育における習熟度レベルとCan-Do Statements などが検討されている。
第4の分野は「テスト理論と規準設定」(藤田智子・法月 健)である。IRTを活用した規準設定、規準設定におけるラッシュモデルの有用性などがここでは検討されている。
そして、第5の分野は、「CEFR・ELPと規準設定」(伊東祐郎・大友賢二)である。ここでは、CEFRにおける6レベルの規準設定の視点、CEFRと担当テストとの比較:その手段と方法などが論ぜられている。


2016年10月掲載

 言語テストの規準設定(2)
 常任審議委員 大友 賢二

キーワード:テスト規準・MRM(Mixture Rasch Model)

「規準設定」(standard setting) というのは、ごく簡単に言えば、「規準や分割点を設定する手順」ということである。受験者がある特定の能力水準まで到達したかどうかを決めるのには、どのような手順を踏むのが最も適切であるかということを究明しようとするものである。この研究は、大友・渡部・伊東・藤田・法月による過去1年間の研究を基盤として積み上げられてきている。
2012年度の報告書では、それぞれの研究内容は以下の手順で示されている。まず、日本語の論文題目と著者名である。次の英文のタイトルはその論文の要約を英語で示しているということである。
(1) CITO Variation on the Bookmark Method (大友賢二) A Pilot Survey of the CITO Variation on the Bookmark Method:
(2) “Can-do statements”の比較・研究(伊東祐郎)Comparative studies on practices of Can-do statements :
(3) Can-do statements (CDS) の規準設定(藤田智子)Standard setting for can-do statements :
(4) 受容語彙力を測定するプレイスメントテストにおけるラッシュモデルと潜在ランク理論に基づく規準設定の試行(法月 健)Rasch-LRT Approaches to Setting Standards for a Receptive Vocabulary Size Placement Test:
(5) CLIL における語彙による規準設定(渡部良典)Setting Lexical Standard for CLIL Courses.


2016年10月掲載

 言語テストの規準設定(3)
 常任審議委員 大友 賢二

キーワード:テスト規準・MRM(Mixture Rasch Model)

「規準設定」(standard setting) というのは、ごく簡単に言えば、「規準や分割点を設定する手順」ということである。受験者がある特定の能力水準まで到達したかどうかを決めるのには、どのような手順を踏むのが最も適切であるかということを究明しようとするものである。この研究は、大友・渡部・伊東・藤田・法月による過去2年間の研究を基盤として積み上げられてきている。
2013年度の報告書では、それぞれの研究内容は以下の手順で示されている。まず、日本語の論文題目と著者名である。次の英文のタイトルはその論文の要約を英語で示しているということである。
(1) CITO Variation on Bookmark Method の一考察 (大友賢二) Investigating the effects of the CITO Variation on the Bookmark Method:
(2) “Can-do statements”の比較・研究 II (伊東祐郎)Comparative studies on practices of Can-do statements II:
(3) Can-do self-checklist の規準設定と妥当性 (藤田智子)Standard setting and validity for can-do self-checklist:
(4) 実用英語検定の級別頻出単語に基づく英語受容語彙力テストの開発と規準設定(法月 健)Setting Standards for Two Versions of a Receptive English Vocabulary Size Test Aligned with Different Grades of Eiken Tests:
(5) 英検は知識測定の道具として使えるかーCLIL の評価規準設定の準備としての固有名詞使用検証(渡部良典) Does EIKEN help measure topical knowledge? Setting Standard for CLIL by identifying the use of proper nouns.


2016年7月掲載

 日本人児童の第2言語としての英語習得のプロセス研究
 常任審議委員 小池 生夫

キーワード:英語習得・コーパス

本研究は第2言語習得に関するさまざまな研究の中で、特に自然環境の中で3歳ずつ年齢が異なる3人の兄弟妹が英語をゼロからnative speakerのようになっていく過程を定点観測し、その英語表現構造の成長を分析して陰に働く習得メカニズムを分析報告したものである。1972年に始まり今年2013年までの41年になる長期研究は日本人のSLA研究の嚆矢となり、研究は継続中である。前期は最初の8年に集中し、後期はおよそ2000年以降からコーパスにタグ付け作業が続いている。前期は手作業により、後期はコーパス分析を行うのに長期にわたるタグ付け作業が長期間つづいた。
前期では出現したほとんどの形態素、統語構造等を正誤分析を行って10例が80%正しく表現された時点で習得したと仮定した。後期では正用表現が出現した数を3か月ごとにまとめて、各グループ間の表現数の比較をおこなって習得の特徴を分析した。
その結果、3人が無意識に表現したほとんどすべての形態素の習得順序は一定の習得順序に相関があり、統語構造、意味構造でも同様であることが発見された。習得の正用率、頻度などから英語は使用12か月でほぼ完全に習得される、その後は高原状態を続けることもわかった。習得性は学習への影響を超えた独自のメカニズムが脳内に存在することを総合的に仮定することになり、大きな発見となった。コーパス分析では習得した語彙を3か月ごとの頻度数分析を行い、どのような語彙が3か月ごとに変化し、取得されるのかを分析し、その特徴を明らかにした。

【この研究に関連する動画】


2016年7月掲載

 言語テストの規準設定における研究
 常任審議委員 大友 賢二

キーワード:テスト規準・MRM(Mixture Rasch Model)

「規準設定」(standard setting)というのは、ごく簡単に言えば、「規準や分割点を設定する手順」ということである。受験者がある特定の能力水準まで到達したかどうかを決めるのには、どのような手順を踏むのが最も適切であるかということを究明しようとするものである。この研究は、大友・渡部・伊東・藤田・法月による過去3年間、大友・池田・村木・中村・法月による過去1年間の研究を基盤として積み上げられてきているものである。
この報告書では、(1)中間報告、(2)進捗状況報告、(3)検討結果と今後の課題の3本柱が論ぜられている。その中心は、規準設定の客観的手法の一つと考えられるMRM (Mixture Rasch Model)の究明である。MRMは、ひとことで言えば、Rasch Model と「潜在クラス分析」(latent class analysis)を統合したモデルである。2015年度では、規準設定に関する方法と統計処理、MRMの利点、WINMIRA統計ソフトを使った規準設定手順、受容語彙能力テストの分析などの検討結果などを整理している。今後の課題としてさらに検討を要することは、小グループデータの分析、MRMと他の分析手法との比較検討、言語テストの多値(polyomous)データの活用、また、CEFR・TOEFL・英検などの得点間の比較検討のための「等化」(equating)とその規準設定の手順に関する研究などが考えられている。


2016年9月掲載

 ICT等を活用した評価についての調査・研究
 常任審議委員 大友 賢二

キーワード:テスト規準・MRM(Mixture Rasch Model)

このICT等を活用した評価に関する研究の中で最も重視した点は、「規準設定」(standard setting) ということである。それは、ごく簡単に言えば、「規準や分割点を設定する手順」ということである。受験者がある特定の能力水準まで到達したかどうかを決めるのには、どのような手順を踏むのが最も適切であるかということを究明しようとするものである。この研究は、大友・渡部・伊東・藤田・法月による過去3年間の研究を基盤として積み上げられてきているものである。
2014年度の進捗状況報告では、なぜ、規準設定の方法を究明する必要があるのか?その課題と関連するCEFRとCAN-DO statements、Standard setting 研究結果の流れ、大学入試と段階別表記、Mixture Rasch Modelの考察、専門雑誌によるMixture Rasch Model 関係の先行研究、21stCentury Skills、語彙能力分析から見たプレイスメントと診断的評価の諸相、等に言及している。 また、最終報告書:Mixture Rasch Model (MRM)の考察と展望では、(1)単純Raschモデルと混合Raschモデル(池田 央)、(2)Standard Setting の視点から(大友賢二)、(3)21st Century Skills とMRM(中村洋一), (4)統計的解決に基づく分割点設定は可能か(法月 健)、等が論ぜられている。その状況は、規準設定の客観的手法の一つと考えられるMRM (Mixture Rasch Model)究明の出発点に立ったものである。


委託研究者

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2018年7月掲載

 小学校英語の授業の充実を図る現場研修の方法を探る
 中部学院大学 学事顧問 久埜 百合

キーワード:小学校外国語活動・英検Jr.

小学校英語の現場で、子どもたちの英語習得を深め、コミュニケーション能力を高めるために、指導技術を向上させて授業の改善を図るには、指導者に対してどのようなサポートが必要か、現場研修の内容の検討、指導者が参加可能な学校現場のスケジュールに合わせた研修計画の立て方などを調査したいと考えた。 また、その研修の結果、授業が改善されることがあれば、授業が変わりうるか、そして、子どもたちの学びに、どのような影響がみられるかを、調査したいと考えた。 調査の方法として、今まで6年にわたり使用してきた“できる度Check”で、子どもたちの英語に対する距離感を調査し、その結果と英検Jr. Bronze級のスコアとの相関をもとに、授業記録を分析して、授業改善の方向と研修の在り方とを検討しようと試みた。


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2018年6月掲載

一般社団法人大学英語教育学会 EAP調査研究特別委員会

キーワード:EAP

 EAP とはEnglish for Academic Purposes の頭字語で日本語では「学術目的の英語」と訳され ることが多い。このEAP は1960 年代にイギリスの旧植民地での教育を源とするESP (English for Specific Purposes)から発展したもので、海外では1990 年代以降、イギリス、オーストラリア、 ニュージーランド、アジアでは香港、マレーシアなどを中心に広く普及されてきている。 まずはESP である。人は様々なコミュニティを形成し社会生活を送っている。このコミュニテ ィの中では、効率よくやり取りするために、特定の目的、内容、形式を持つコミュニケーション を取り交わしている。ESP はこのコミュニケーションの手段としての英語を指し、「特定の目的の ための英語」「専門英語」「特定の目的のための英語学習教育」などと訳されることが多い。 そのESP はEOP(English for Occupational Purposes、職業目的の英語)とEAP に分かれる。 日本において大学にEAP 教育の必要性が言われ始めたのは15 年ほど前であり、限定的に実施し ているところを耳にはしていたが、実際にEAP を取り入れているところがどの程度あり、その実 情がどうなっているかといった実態を把握する必要があった。 そのようなことを考えていた研究代表者である寺内のところに、賛助会員である公益財団法人 日本英語検定協会(英検)からお声がけをいただき、2014 年から4 年間にも及ぶ研究となったの である。折角のお声がけであるので、個人ではなく一般社団法人大学英語教育学会(JACET)全体 で研究に取り組むべきであると判断し、JACET への委託研究という形を取らせていただいた。 JACET としても賛助会員との関係性を組織として再構築したいと考えていたので、本当にありが たいことであった。 本研究の成果は本編の研究概要と成果などで御覧いただくように、国内外の学会や雑誌 などで発表してきた。しかし、国内外の実態調査の実施とその検証に思いのほか時間がかかり、 新教材やカリキュラム案の提示にまで行きつくことができなかった。これは今後の研究課題とし て次に期待したい。 もちろん、英国、香港、台湾でのEAP 教育の実態調査は日本での調査を行う上でとても示唆に 富むものであった。それらを参考にしてインタビューとアンケートの質問項目を作成し日本での 実態調査に臨んだ。その結果、国内において、そして海外においてさえも、EAP 教育を実践して いる機関が必ずしもそれぞれ目的が同じではなく、実施状況も異なっていることが判明した。 本研究はWeb ではその公開に許諾が得られたもののみを公開することにより、その成果を広く 明らかにしていく。さらに、英国Routledge 社から寺内、田地野が編者となっている(仮題) 『Towards a New Paradigm for English Language Teaching: Current ESP Perspectives in Asia and Beyond』(2020 年刊行予定)の中の1 章に本研究の成果をまとめる予定である。 2 国内外の実態調査でご協力いただいた諸機関(本編記載)に改めて御礼を申し上げたい。



2018年3月掲載

 小学校英語:小学生の英語学習能力を踏まえた指導技術向上の方法を探る(2)
 中部学院大学 学事顧問 久埜 百合

キーワード:小学校外国語活動・英検Jr.

2011年以来、研究助成をいただき数年間継続して調査研究をすることができた結果、小学校英語活動 の授業のあり方について、大変重要と思われるデータを得ることができた。 第一点は、指導者の指導力や英語力だけではなく、指導者の指導観による授業つくりが子どもの習熟に 大きな影響を与えており、そこに生じている格差が定着していることであった。そして、第二点は、指導 者の英語運用能力や指導力も欠かせないものではあるが、指導者がおかれた教育環境が指導方法の選択の 幅を狭め、それが子どもの習熟度も左右していることが数値としても見えてきたことであった。 この指導観や指導環境によって制約される指導が、子どもたちの英語習熟の格差を動かないものにして いる状況が続く限り子どもたちの言語習得が改善されないのではないかと考え、その改善の方法を探りた いと願って、2016 年には、別の視点から2つの課題を取り上げて、研究Aと研究 Bに着手した。

【この研究に関連する動画】


2017年01月掲載

 早期英語Can-doの研究(児童の学習意欲向上を図る自己評価の効果を探る調査)
 中部学院大学 学事顧問 久埜 百合

キーワード:小学校外国語活動・自己評価

小学校において外国語活動(英語活動)が必修化され、すべての小学生が中学進学前に英語による表現活動を経験するようになったことを踏まえ、2011年度、及び、2012年度は、“できる度Check”と呼んでいるシートを作成し、子ども自身に記録させることで、子どもたち自身が、「どこまで分かった、できるようになった」と感じていて、「どんなことをできるようになりたい」と思っているかを調査した。また、対象児童の中で、5、6年生に対して「児童英検」を用い、実際の英語運用能力面での客観的な評価を行った。
両年度に得られたデータにより、子どもの自己評価と児童英検の成績とを比較し、“できる度Check”による自己評価の妥当性が検証された。また、“できる度Check”を用いて子ども自身が学習から得たものについて振り返る機会を与えることによって、期待以上に高い教育的効果があることの示唆を得た。
本年度の研究の目的は、違った学習環境で学ぶ子どもたちの英語習得の実態をさらに詳しく把握することに加えて、現場の指導方法と指導内容について調査を行い、意図されている指導内容は類似していても指導方法の違いがあれば、それによって生じる学習方法の違いが子どもたちの“英語ができるようになった”と認識する程度に影響があるかを調べ、もしあるとしたら、それがどこまで英語力の獲得と関連しているかを客観的なテストを用いて検証することとした。


2016年10月掲載

 英検型スピーキングテストの量的分析からみた指導法の提言のための研究
 清泉女学院短期大学 教授 藪田 由己子

キーワード:スピーキングテスト・指導法

本研究では、異なる形式のスピーキングテスト(音読、絵描写、応答問題)の間にどのような関係があるか、それらがスピーキングテストの総合点にどのように寄与しているのかを明らかにすること、受験者のパフォーマンスを質的に分析し、スピーキングテストに効果的な指導は何かを探ることを目指した。
結果は、音読は絵描写以外とは全て相関があること、絵描写は他の項目とは相関がみられず、独立因子である可能性が示唆された。さらに、受験者自身が自分のパフォーマンスを振り返って記入したアンケートでは「質問は理解できたか」、「十分に語ることはできたか」に焦点をあて調査したところ、応答問題で受験者が「質問を理解できた」ことと教員評価との間にある程度の相関がみられたことから、スピーキング力の前提として、リスニング力も必要であることがわかった。また、受験者の自己評価と教員評価の関係では、2者の間にある程度の相関を観察できたことから、受験者の手ごたえは教員評価とそれほどかけ離れていないということも観察された。

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2016年9月掲載

 日本における英語イマージョン教育の成果と課題
 ―沖縄アミークス国際学園の事例―
 琉球大学 教授 大城 賢

キーワード:イマージョン・小学校外国語活動・英検取得級

本研究は沖縄アミークス国際学園のイマージョン・プログラムの映像資料、および公益財団法人 日本英語検定協会が実施する実用英語技能検定(英検)の結果をもとに、イマージョン教育の成果と課題、さらに日本の英語教育への応用を探るものとして研究されたものである。
具体的には、沖縄アミークス国際学園の児童・生徒がイマージョン教育の目標として掲げた課題(高い言語能力・コミュニケーション能力の育成、第1言語である日本語の運用力保持、全教科の教科内容の学齢にふさわしいレベルでの習得など)をどの程度達成できたかを検証することを目的とした。そして、結果、沖縄アミークス国際学園の児童・生徒は高い英語力を身に付け、日本語力の保持も問題なく、全教科において学齢にふさわしいレベルであることなどが確認された。

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2016年7月掲載

 CLILにおける内容指導と言語指導の効果的統合法
 上智大学 教授 池田 真

キーワード:CLIL(内容言語統合型学習)・英語4技能

CLIL(内容言語統合型学習)はこの10年間で欧州各国に普及した教育法で、我が国でも小学校から大学までその実践が広まりつつある。その方法論上の要諦は、教科教育と語学教育の融合にある。そこで本研究では、両者を有機的に統合する具体的指導技法の開発を行った。用いた方法は、文献や学会参加による理論研究、授業観察に基づく実例収集、教室実践における実用性検証である。
その成果として、「内容と言語の効果的統合法」を体系的に整理してモデル化することに成功した。具体的には、内容と言語の統合レベルを、大項目から小項目の順に、言語スキル(4技能)→学習スキル(4技能のサブスキル)→言語システム(言語知識)→指導的テクニック(細かな指導技術)の4つに分類して明確化した上で、各レベルでの統合を可能にする「言語意識に基づく指導技法」として、カウンターバランス指導法(内容と言語の行き来)、内容必須言語(必須の語彙と文法の指導)、学習言語と日常言語(両タイプの意図的使用)、対話型授業(対話による授業運営)、トランスラングエッジング(日英両言語の積極的・計画的活用)の5つを具体的に提示した。

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2016年7月掲載

 小学校英語:指導技術向上の方法を探る(1)
 中部学院大学 学事顧問 久埜 百合

キーワード:小学校外国語活動・英検Jr.

本調査研究は、2011~2013に行った「早期英語Can-Doの研究(児童の学習意欲向上を図る自己評価の効果を探る調査:久埜百合・相田眞喜子・入江潤)」から得た結果から、3年間変わらず固定化が進んでしまうのではないかと思われる学校間格差の原因を、授業分析を通して探ろうとしたものである。
指導者の指導観、指導技法について大きく隔たりのない国公私立小学校1校ずつを選び、5年生の授業を1年間追跡して、指導者が目指す指導目標・子どもとのやり取りの回数・使用する語彙の範疇を含め、授業で使われる英語を分析調査した。 子どもたちが英語の授業を受けながら感じていることを踏まえ、英検Jr. Gold級を受験させて、その結果と授業の成果とを照合してみると、それぞれの指導者がおかれている教育環境が、指導技術以上にその結果に大きな影響を及ぼしていることが分かった。この教育環境を規定する条件を改善することが格差の解消につながるともいえる。これは教育界全体にもかかわる大きな課題であることも明らかになった。学校内の学習環境を整えることで、どこまで子どもの習得を高めることができるか、それが小学校英語の指針となり得るかが次の課題である。

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2016年7月掲載

 協同調整学習から自己調整学習へ
 グローバル化時代に対応した英語ライティング能力育成法の基礎的研究
 関西大学 教授 竹内 理

キーワード:ライティング能力

L2学習における協働の役割については、近年その重要性が盛んに指摘されるようになっている。しかしながら、ライティングの学習においては利用がまだ限定的であり、Collaborative Writing(CW)活動が学習過程にどのような利点をもたらし、どのような変化を引き起こすのかなど、まだ十分に解明されていない。
そこで本研究では、Storch(2013)の提唱する枠組みと、Swain & Lapkin(1998)のLanguage Related Episode(LRE)の概念を利用しながら、 1) CW の過程において、どのような学習方略が利用されるのか 2) CWはLREの出現とその性質に対してどのような影響を与えるのか 3) CWは学習者の態度にどのような影響を与えるのか の3課題の解明を試みた。その結果、CW活動を行っても、様々な形態が出現し、必ずしも協働が実現できるかは保証できないことがわかった。協働が生じにくくなる理由としては、参加者の自信の欠如や相手の体面への配慮、それに時間的制約や成績付与システムのあり方などが関係していることがわかった。またCW活動の中では、協働の度合いが増すほど方略の組み合わせ使用が増えることや、LREの中での焦点の置き方が「論理の流れ」にシフトすること、さらには CW活動自体への態度も好転することなども示された。

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2016年7月掲載

 大学英語教育の質保証に向けたEAPカリキュラム実態把握調査
 JACET会長 高千穂大学 教授 寺内 一

キーワード:学術目的の英語(English for Academic Purposes: EAP)

本研究は,日本の大学で実施されている学術目的の英語(English for Academic Purposes: EAP)教育を対象とし,カリキュラムの現状と課題を把握することを目的としている。まず,日本のEAP教育への示唆を得るため,英国と香港で実施されているEAPカリキュラムの実態調査を行い,その結果に基づき国内大学に対する調査項目を検討した。国内大学では4大学を対象に質問紙およびインタビュー調査を実施した。主な調査結果は以下の3つである。1)今回調査した大学は,独自にEAPカリキュラムを開発・実施しているが,主に一般学術目的の英語(English for General Academic Purposes: EGAP)カリキュラムを意味している。2)他国では英語教員と専門分野教員の協力によるニーズ分析と教材開発など,組織的連携が実践されているが,この連携は1校を除き確認されなかった。3)各大学で質保証に向けて様々な取り組みが継続的に行われているものの,プログラム評価の実施は一部の大学にとどまった。調査結果から,日本の大学におけるEAPカリキュラムは,教育内容と運営体制の点で,発展途上にあると推測された。
2016年度から,公益財団法人日本英語検定協会からの委託研究として,大学英語教育学会が大規模調査を行うことになっている。

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2016年7月掲載

 小中を連携させる効果的な文字指導に関する研究
 長崎大学 教授 中村 典生

キーワード:小中連携・小学校外国語活動

2014年10月に示された「グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言」の中には、中学校において音声から文字への移行が円滑に行われていない場合が見られる、という現状が示されており、また「高学年では身近なことについて基本的な表現によって「聞く」「話す」に加え、積極的に「読む」「書く」の態度の育成を含めたコミュニケーション能力の基礎を養う」という文言が盛り込まれている。今後小学校でも文字を扱うこととなれば、どのように扱うか、ということは大変重要な問題となる。
本研究では以上をふまえ、まず文字指導の議論を整理し、何が課題であるかを洗い出す。続いて、その課題を踏まえて考案した「文字指導(活動)例報告シート」を用いて、全国で行われている文字指導に関する情報を収集する。このシートでは、活動の具体例の記述箇所に加え、様々な分類肢が設けられているので、それを利用して文字指導の分類・分析をすることができる。この分類と分析をもとに、今後の小学校における文字指導のしかるべき方向性について示すことが本研究の目的である。具体的には、いかにして文字を導入し、指導を展開していくのが効果的か、という「文字指導の階段」の作成を試みる。

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