Uri Shulevitz著
Snow
今回ご紹介するのは雪をテーマにした作品で、その名も"Snow"という絵本です。最初の場面で空から降ってきた一片の雪(a snowflake)に気づいたのは町でただ一人、主人公の男の子だけだったのですが、次第に、two snowflakes, three snowflakesと雪のかけらが増えていき、初めは半信半疑だった町の人たちもだんだんと...というお話です。
この本の特徴は、幻想的なイラストと、短くて非常にリズミカルな文章にあるといえるでしょう。イラストは、モノトーンで描かれた個所と彩り豊かな絵のコン トラストがはっきりしていて、例えば物語の冒頭で雪が降り始めるシーンでは、灰色一色の空にほんの一片だけ真っ白な雪が描かれます。読み進めながら、見開 きのページのどこにその雪があるのか探すのも楽しいと思います。
また、文章に関しては、主人公のBoy with dogに始まり、その他の登場人物にもMan with hatやWoman with umbrellaと同じ形のフレーズが繰り返し用いられます。作者のUri Shulevitzはポーランドのワルシャワ出身ですが、アメリカに移住し、現在はニューヨークで執筆活動を続けています。なお、本作は1999年に、ア メリカで毎年最も優れた絵本作品に贈られるコルデコット賞の次点に選ばれました。味わい深いそのイラストは、子どもだけでなく大人も一緒に楽しめますの で、読み聞かせにはお薦めの一冊です。