言語と文化の関係

一般的に、言語と文化は表裏一体だと言われている。しかし、言語は、単に文化的背景を表現しただけのものではない。その言語の話し手一人ひとりアイデン ティティを表現するものでもある。同じ日本人でも皆違うのであり、その違いも言語によって表現される。「日本人」としてのアイデンティティと「個人」とし てのアイデンティティの両方の表現手段なのである。

ところで、日本語を話す人は、圧倒的に日本人だし、英語以外の言語はみんなそうだ。ただ、英語だけは、英語の母語話者より非母語話者の方が話し手が多い。 しかも、英語は世界中で使われている。では、英語の裏にある文化って何だろう。英語圏で生活している人のとっては、アメリカやイギリスの文化が存在する し、それに基づいたアイデンティティが存在するだろうが、日本人とオランダ人が英語で会話をしたら、その背景にはどんな文化があるのだろう。

国際共通語としての英語には、特定の文化的背景はない、と言える。そして、国際共通語として英語を話すときは「個人」としてのアイデンティティが大切になってくる。つまり、それだけ、しっかり自分のことを英語で表現できる力を付けることが大切なのである。

(November 2011)

吉田先生のPROFILE

吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長

専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。

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