中村典生
長崎大学 教育学部教授
小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。
じゃあ先生の後に続けて言ってみましょう。“Repeat after me.”」
確かにrepeat after meは魔法のクラスルーム・イングリッシュで、これを言えば必ず児童が英語を口にします。しかしよく考えてみると、本当に児童は「考えて」発話しているでしょうか。単にまねているだけではないでしょうか。外国語活動では定着は求めていませんし、聞いたことがない語は発話できませんので、repeat after meを使ってはいけない、というわけでは決してありません。
ただ、2~3度繰り返し先生をまねて発話しただけでは、児童の「おなか」には入りません。ある程度「おなか」に入っていなければ、活動自体が成立しなくなります。そうかといってrepeat after meを何十回もやっていたら、当然飽きてきます。ではrepeat after me を使わないで児童に発話させ、「おなか」に入れるにはどうしたらいいでしょう。
問題は児童が「考えて」「自らの意思で」発話しているかどうかです。例えば、絵カードを使う際にも、児童が絵と音声のマッチングを頭の中で行い、進んで発話しているかどうかが肝心です。次のような工夫で、児童は自分で考えて英語を言うようになります。
・カードの一部だけを見せ、徐々に全体を出す。
・カードを一瞬だけ見せて隠す。
・黒板に貼っておいたカードから1枚を抜き、何がなくなっているかを考えさせる。
・カードを見せる順番を覚えさせて、次のカードは何かを考えさせる。
“Repeat after me.”を使う場合でも、カードを指してすぐに先生が発話せずに、児童に考えるちょっとした間を与えて発話してみせるなどの工夫も有効です。カードに限らず、「おなか」に入れるための意味ある繰り返しになるよう、いろいろと試してみてください。
(February 2014)
小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。