アフター・ファイブに

ビールのうまい時期になってきましたね。今日も巷(ちまた)ではこんな会話が聞かれます。「もう一軒行こう!」「またはしごですか?」「まあまあ。おごるからさあ」

自分も嫌いな方ではないので、飲みに出ると必ず一軒ではすまなくなります。とくに気の合う愉快な飲み友達(boon companion)が一緒ならば余計にそうです。

そもそも「はしご酒」の語源は、なじみの店を一つひとつ梯子を登っていくかのように尋ね歩いて飲む、という意味のようです。でも「もう一軒」「はしご」な どは、英語では何ていうのでしょう? 色々な表現がありますが、「もう一軒行こう」はLet's go for another round.、「二次会」はa party after a party、「はしご酒」は bar-hoppingなどということが多いようです。a party after a party は、まさしく文字通り、bar-hoppingは飲み屋を跳び回るニュアンスでしょうか。ちなみに「おごる」にはfix someone's Jack and Jillという表現があります。Jack とJillはマザーグースに出てきますね。

Jack and Jill went up the hill(ジャックとジルは丘にゆく)、to fetch a pail of water(バケツで水をくみにゆく)、Jack fell down and broke his crown(ジャックは転んで頭を打って)、And Jill came tumbling after(ジルも続いてつまずいた)、Up got Jack, and home did trot(ジャックは飛び起き家まで駆け足)、As fast as he could caper(一目散に飛ぶように)、He went to bed and bound his head(床に入って頭の手当)、With vinegar and brown paper(お酢と包装紙で湿布)

このJack と Jill のモデルはルイ16世とマリーアントワネットといわれることもあります。ちょっと意味深ですね。

さあ今日もアフター・ファイブ(after hours)は一杯やりますか(kiss the baby) !でも気をつけないと私みたいにビール腹(beer belly)になっちゃいますよ。

(July 2012)

中村先生のPROFILE

中村典生
長崎大学 教育学部教授

小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。

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