研究部門Ⅰ 英語能力テストに関する研究
英文読解におけるモニタリング能力の測定
― 一貫性と結束性の比較を通して ―
研究者:茨城県/筑波大学大学院 在籍 小木曽 智子
▼研究概要
本研究では,テキストの言語的なつながりである「結束性」と,テキストの内容的なつながりである「一貫性」という2つのテキスト特性に焦点を当てた。2つの調査により,英検の過去問長文テキストの特性を明らかにし,そうした特性を学習者がどの程度モニターしているかを検証した。 調査1では,英検1級から3級までの長文読解問題で使用されるテキストを対象に,テキストの特性(e.g., 結束性)やテキストの読みやすさが受験級によってどのように異なっているかを分析した。結果より,級が上位になるほど,結束性が低くなっていることが示された。調査2では,学習者がテキスト読解時にテキストの特性(i.e., 結束性, 一貫性)に気づいているかどうかを,結束性・一貫性の高い/ 低いテキストを読んだ際の,テキスト特性判断課題の評定値から調査した。結果より,読み手は,結束性はモニターしていないものの,一貫性に関してはモニターしていることが示された。また,一貫性のモニターに関しては,読み手の熟達度によって,読解時の処理が異なることが思考発話の質的分析から示唆された。