研究部門Ⅰ 英語能力テストに関する研究
Note-taking organizerを用いた読解測定法の提案
― 読み手の心的表象に基づいて ―
研究者:群馬県/前橋市立荒砥中学校 教諭 川島 葉月(申請時:筑波大学大学院 在籍)
▼研究概要
本研究はテキスト中の概念間の関係を図式的に描写したもの(Kools,van de Wiel,Ruiter,Crüts,& Kok,2006)と定義されるグラフィックオーガナイザーを,読解測定に用いる方法を検証した。読み手が読解中に構築する心的表象に基づきテストを作成するため,調査1では,日本人英語学習者が英文読解中に行うNote-taking を観察した。調査2では,Note-taking を基に,グラフィックオーガナイザー型テストを作成・実施し,テストの得点と読解熟達度,テキスト理解度の関係性を考察した。また,グラフィックオーガナイザー型テストと多肢選択式テストの解答方略の違いについても分析した。調査1の結果から,学習者はテキスト構造に応じたNote-taking をすることが示された。調査2では,読解熟達度とテキストの筆記再生率が高い学習者ほどグラフィックオーガナイザー型テストで高得点を得ることが示された。また,アンケートの結果,グラフィックオーガナイザー型テストでは設問の影響を受けずに学習者の理解を測定できることなどが示唆された。