英語教育に関する論文・報告書

STEP BULLETIN vol.20 2008

研究部門 Ⅰ 英語能力テストに関する研究

日本人中学生を対象とした英語/ 日本語のキーワードが与える記憶術法の影響【共同研究】

群馬県/安中市立松井田東中学校 教諭・代表者 福田 昇

▼研究概要
本研究は,初期英語学習段階である中学生を被験者として考えた場合,(1)Keyword 法で用いられる絵と手がかり語との間にどのような関係があるのか,また,(2) 手がかり語を英語と日本語の2通りを用いて覚えた場合の再生効果はどのように影響するのか明らかにしようとしたものである。実験には公立中学校3 年生125名が参加し,(a)絵と Keyword法群,(b) 絵のみの学習法群,(c) Keyword法群,(d) 機械的学習法群の4群に分け,記憶タスクを実施した。また,Keyword法との関連を見るために語彙学習に対するアンケート調査と正字法知識に関するテストを実施した。  結果は次のとおりであった。(1) 絵+ Keyword法群では手がかり語が English / 日本語どちらでも学習効果に差はなかった。(2) Keyword法群では手がかり語が日本語の方が English よりも効果的であった。また,(3) 直後テストと正字法テストの比較から,Keyword法群と機械的学習法群には正字法テストと直後テストとの相関関係があることが示された。しかし,正字法知識のうち音韻情報と綴り情報のどちらをより方略において用いているかということは判断できなかった。(4) アンケート結果から語彙学習に対して学習者は「符号化:視覚的音韻的関連」,「符号化:意味的符号化」,「復唱:単語リスト使用」,「復唱:視覚的反復」の4つの方略を用いていることが示された。特にすべての学習群で「復唱:単語リスト使用」の方略を用いる心理が働いていたことが明らかになった。これは,日本人英語学習者が意味ネットワークを構築し,認知的処理を伴う方略が少ないとする先行研究を支持するものであった。

研究部門 Ⅱ 英語能力テストに関する研究

英文読解指導のレベル化とテキスト理解度の関連性
―文レベルの指導と構造レベルの指導を通じて―

広島県/広島皆実高等学校 教諭 浅井 智雄

▼研究概要
本研究は,読解指導を,英文レベルの理解に重点を置いた指導と,複数の英文間の相互関係の認識に基づいたテキストの構造レベルの指導の2つにレベル化することによって,学校現場においてテキスト構造に関する継続的トレーニングがテキスト理解を深化させるために有効であることを立証しようとした。継続的指導中に学習者に課した要約と自由筆記再生を分析した結果,(1) テキスト構造が学習者にとって明確である場合に上位レベルのアイデアユニットが認識されやすかった。(2) テキスト構造に着目させる継続的指導の効果はアイデアユニットの統一において認められた。(3)テキスト構造に着目させる継続的指導はテキスト理解を元のテキストの模倣からより深いテキスト処理へと発展させた。また,教育的示唆として,推論の能力を高めるためには,テキストの論理展開を教えることに加えて,推論生成を促すようなタスクの工夫が必要であることが指摘された。

研究部門 Ⅲ 英語能力テストに関する研究

ランゲージングが第二言語学習に与える効果

カナダ/トロント大学大学院 在籍 鈴木 渉

▼研究概要
本研究は,日本の大学教育機関で学ぶ日本人英語学習者が,英語の語彙や文法について考えたことや理解したことを自分の言葉で自分自身に説明することが,どのような効果を与えるかについて検証したものである。実験に参加した学習者は,まず特定のトピックについて英作文を書き,次に英語の母語話者から筆記でのフィードバック(直接訂正)を受け,それに対して考えたことや理解したことを自分の言葉で書いて説明(「ランゲージング」と定義)する。その後,学習者は,フィードバックを受ける前の元の英作文を見ながら,書き直しをする。分析の観点は,ランゲージングの内容の深さのレベルによる分類(① 半信半疑,② 単純な気付き,③ 理由を伴った気付き),及び,ランゲージングのレベルと書き直しの関係の2 点である。結果,(1) 日本人英語学習者が英作文のフィードバックを理解する際のランゲージングは理由を伴った深いレベルが多いこと,(2) ランゲージングは,そのレベルにかかわらず,学習に効果を与えることが明らかになった。

研究部門 Ⅳ 英語能力テストに関する研究

英文読解テストとしての再話課題の有効性の検証
―テキストタイプ、産出言語、採点方法の妥当性を中心として―

茨城県/筑波大学大学院 在籍 甲斐 あかり

▼研究概要
本研究は,再話課題の実施や採点に関する複数の手続きを重要度評定とテキストの再生率を用いて比較検証することにより,日本人英語学習者に適した再話課題の手続きを明らかにすることを目的とした。主な結果は次の3点である。 (1) テキストタイプの影響を検証した結果,物語文の方が説明文よりも再生率が高いことが示された。また,テキストタイプによって再生される情報の質や重要度が異なり,物語文では登場人物や設定に関する情報の重要度や再生率が高く,説明文では主題に沿った情報の重要度や再生率が高いことが示された。また,物語文では場面が変わる部分(登場人物の行動の変化)や時間的な経過がある部分が多く産出される傾向があることが示された。 (2) 産出言語の影響を検証した結果,重要度の高低にかかわらず日本語での再生率が英語での再生率よりも高いことが示された。 (3) 採点方法(重み付けあり・なし)による再生の傾向に違いがないことから,簡便性を考慮すると重み付けなしの採点で十分であることが示された。  本研究によって,再話課題に適したテキストタイプ,産出言語,採点方法が示唆された。

研究部門 Ⅴ 英語能力テストに関する研究

コーパス分析とラッシュ・モデルを用いたライティング・テストでの困難度比較

茨城県/筑波大学大学院 在籍 長橋 雅俊

▼研究概要
本研究は,作文テストで与えるトピックの違いから評価への影響を調べ,教育現場での公正な作文評価がどこまで可能か検証する。  予備調査では,極めて熟達した ESL学習者によるTOEFL Test of Written English( TWE)の練習作文を,コーパス分析し,作文の長さ,語彙的特徴を測定した。この結果から対象のトピックを選び,本調査で日本人学習者のパフォーマンスを調べる。本調査1では予備調査でのコーパス分析を引き継ぎ,トピックごとに書かれた語彙的特徴を比較した。また6段階の全体的評価で採点し,得点に深刻な差がないか調べた。本調査2では,同一の学習者に2回テストを実施し,どの程度採点結果が一貫するのか調べた。  結果,異なるトピックによる作文は,高度な語彙の使用頻度に違いをもたらした。一方,全体的評価の平均点には差がなく,トピックの違いがパフォーマンスに与える影響は小さいと言える。ただし評価者の採点基準は常に一定とは限らず,厳しさの違いが確認された。この違いが得点に誤差をもたらす可能性から,現場教師のパフォーマンス評価には独断に陥らないための採点手続きが求められるだろう。

実践部門 Ⅰ 英語能力向上をめざす教育実践

外国の小学校とのインターネットでの交流体験を活用した英語活動

宮城県/仙台市立人来田小学校 教諭 栄利 滋人

▼研究概要
本研究は,アメリカの小学校の教師及び小学生とインターネットを使って会話し,交流することにより,児童の実践的コミュニケーション能力を育成するものである。当初は,作品交流や録画交流の計画であったが,小学生同士が直接ライブで話す交流が実現した。初めは教師が補助しながらの会話であったが,交流を続けるうちにヒアリング力が向上し会話が続くようになった。  本研究では,ライブで話すことができる環境で,小学生同士が英語でコミュニケーションをどのように進め,どのような英語表現を身につけていくのかを検証していく。また,このようなインターネットで会話ができる新しい環境での取り組みで,本研究が高学年の子供たちにどんな変化をもたらすのか,また,どんな英語表現が実践的コミュニケーションとして有効なのかを明らかにしていく。

実践部門 Ⅱ 英語能力向上をめざす教育実践

英文読解におけるチャンキング指導が日本人初級英語学習者にもたらす認知効果

兵庫県/宝塚市立御殿山中学校 教諭 柳瀬 学

▼研究概要
英文読解におけるチャンキング(スラッシュリーディング)の効果は,これまでの研究で処理速度や内容理解の向上が認められている。ただ,内容理解に関しては学習発達段階によって微妙な差が見られる。すなわち上級学習者には効果があるが,初級・中級者においては効果が認められないとする報告がある。その原因として初級学習者はチャンキング行為それ自体に多大の労力を注いでしまい,肝心の読解度や読解速度を下げてしまっているという点が指摘されている。  そこで本研究では,英語初級学習者にチャンキングのパターンを事前に明確に教授することにより,英検3・4級レベルの英語単文問題,及び長文問題における内容理解と,読解速度(付随する問題を解く時間を含めたもの)にどのような変化が見られるかを検証した。分析の結果,内容理解の点で有意な伸びが確認されたのに対し,読解速度の点では有意差は認められなかった。

実践部門 Ⅲ 英語能力向上をめざす教育実践

ディクトグロスを用いたリスニング能力を伸ばす指導
―技能間の統合を視野に入れて―

石川県/石川県立金沢桜丘高等学校 教諭 前田 昌寛

▼研究概要
大学入試センター試験をはじめ,多くの入学試験にリスニングテストが導入されるようになり,その指導法の確立が急務となっている。しかし,その指導法となると,ラジカセのボタンを押して「問いに答えなさい」という指示だけで済ませてしまい,学習者のリスニング力を伸ばすための積極的かつ継続的な指導法の確立はいまだ不十分である。そこで本研究では,聞こえてくる英語の要点についてうまくメモを取り,話の全体像を復元し,元のテキストと比較するディクトグロスという手法を用い,(1) リスニング能力の向上にどのような効果をもたらすかを確かめる。また,ディクトグロスという指導をすることで note-taking能力の向上が図られ,さらに,文法に気を付けながら仲間同士で英文を復元するプロセスを経ることで,(2)文法能力やライティング能力が向上するかを確かめる。  結果は,ディクトグロスを行ったクラスはリスニングの得点が伸び,波及効果としてライティング能力にも伸びが確認された。また,文法能力に関しては,誤りの少ない英文を産出することができるようになった。特に局所的誤りを自己で訂正できる能力を学習者に身につけさせることができた。表題にもあるように,リスニング能力を伸ばすとともに,技能間の統合を図ることができた。

実践部門 Ⅳ 英語能力向上をめざす教育実践

高校生の自由英作文指導におけるピア・フィードバックの活用
―プロセスの改善とライティング不安の軽減の視点から―

広島県/広島大学附属中学校・高等学校 教諭 久山 慎也

▼研究概要
本研究では,高校段階におけるポスト・ライティング指導の一形態として,生徒にお互いが書いた作文を交換させ,コメントを返させるというピア・フィードバック活動を導入し,その効果を検証している。指導期間は半年間で,作文を交換してフィードバックを返す活動を3回,フィードバックを返す力をつけるための指導を計8回実施した。指導効果の分析に際しては,対象クラスの生徒を,文法能力,作文ストラテジーの使用頻度,英作文力の3変数によって4つのグループに分けたが,作文ストラテジーの使用頻度が最も低かったグループにおいて,計画段階と推敲段階でのストラテジー使用が増えた。また,このグループの生徒はピア・フィードバック活動の実施後に書いた英作文の得点においても上昇が見られた。ライティング不安の軽減については,今回の実践においては,どのグループにおいても指導の効果は確認されなかった。

調査部門 Ⅰ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

英語活動で ALT が行う授業の調整
―ALTと子供のコミュニケーションの検討に基づいて―

京都府/京都大学大学院 在籍 黒田 真由美

▼研究概要
経験の浅い ALT(Assistant LanguageTeacher)は子供とのかかわり方を工夫するが,授業計画の変更には困難を抱えることが知られている。本研究では,経験を積むことによって,ALTの授業調整がどのように変化するのかを明らかにすることを試みた。公立小学校で行われている5,6年生(全4クラス)の観察に基づき,ALTが主導する英語の授業内容の変化について検討した結果,授業計画を踏まえながら授業内容を取捨選択したり,時間配分を調整する様子がとらえられた。また,子供の反応をもとに臨機応変にかかわり方を変えるだけでなく,長期的な視野に基づいて授業計画を調整することが明らかになった。さらに,初期の授業で持っていた方針の変更を明示することはなかったが,子供に合わせて実質的に方針を変化させ,子供の力に応じた授業となるように子供とのかかわり方を工夫することが明らかになった。

調査部門 Ⅱ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

中学校入学以前の英語学習経験が中学校における英語力に及ぼす影響
―英語学習歴調査と中学校3年間の英語力追跡調査の分析―

東京都/筑波大学附属中学校 教諭 肥沼 則明

▼研究概要
本研究は,中学校入学以前の英語学習経験が中学校における英語力に及ぼす影響を実証的に明らかにしようとしたものである。入学時ですでに存在する影響を明らかにするとともに,それが中学校3 年間の間にどのように変化するのかを調査した。  具体的な方法は,保護者に対する生徒の英語学習歴をアンケート調査し,その結果をもとに生徒を7つのグループに分類し,グループごとの差を① 音素聞き取りテスト,② 面接テスト,③ 定期考査の各得点で分析した。そして,次のような結果を得た。 ・①では,入門期に帰国子女の得点が小学校英会話授業経験者の得点に対して有意に高かったが,その他のグループ間には差がなく,卒業時には全グループ間に差がなかった。 ・②では,統計処理は行わなかったが,平均点は帰国子女が最も高く,次いで高頻度・長期間の英会話学校経験者,同その他の学習経験者であり,小学校英会話授業経験者と未経験者はほぼ同点で最下位であった。 ・③では,統計処理は行わなかったが,放送による「表現理解」の平均点は, 3年間帰国子女が第1位を保った一方,初期の頃に高かった高頻度・長期間の英会話学校経験者と同その他の学習経験者と他のグループの差は3年後にはほとんどなくなった。  以上の結果により,小学校における英語活動で言語教育として効果を上げるには,「週1回・3年以上」の授業が必要であるという示唆を得た。

調査部門 Ⅲ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

小学校での英語活動経験者は中学1年時にその活動をどう評価しているか【共同研究】

福岡県/福岡教育大学大学院 在籍・代表者 渕上 啓子

▼研究概要
本研究の目的は,小学校で英語活動を経験した中学生が,中学1年生の1学期と3学期の時点で英語活動をどのように評価しているか,英語活動に対する評価は調査時期によって変化するのか,また英語活動の指導内容・方法・取り組みの違いよって,英語活動の評価は影響を受けるかについて調べることである。本調査に参加したのは九州北部の K 市内の12の小学校を卒業した1,197名(7月調査)と1,206名(3月調査)で,意識調査は2007年7月と2008年3月に行われた。調査の結果から,調査参加者が英語活動を肯定的に評価していること,中学校での英語学習の進行により「楽しさ」の評価は影響を受けないが,「有用性」や「学習内容」の評価はマイナスの影響を受けること,調査参加者が小学校の英語と中学校の英語を区別する傾向が示唆された。また英語活動の指導内容,指導方法,取り組みの違いが「英語活動の評価」や「英語が嫌いになる時期」に影響を与えることがわかった。

調査部門 Ⅳ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

高校入門期における生徒と教員の学習内容に関する意識調査【共同研究】
―中高連携を改善するために何が必要か?―

東京都/東京都立美原高等学校 副校長・代表者 桑原 洋

▼研究概要
中学校の学習内容を踏まえた指導を高等学校教員が行っているか。約200名の全国の教員の協力を得て,中学校英語教科書6社で共通な語彙数,語彙・連語(既習,未習),言語材料(既習,未習),教員の経験などについて,アンケートを実施した。さらに,都立高校の生徒約360名を対象に,中学校における既習語彙・連語,既習言語材料,英語学習の習慣などについて,アンケートを実施し,教員対象のアンケート結果と比較した。教員の正解率は,6社の教科書に共通な語彙数(15%)<未習語彙・連語(18%)<既習語彙・連語(50%)<言語材料(59%)の順番で高くなった。言語材料に教員の知識が偏重しているとも考えられる。一方,高校生では,言語材料の正解率(51%)と語彙・連語の正解率(48%)にあまり差がなく,理解が同じ程度とも言える。中学校英語教科書や中学校学習指導要領などを直接読み,高校教員が中学校における既習内容を正確に把握することが喫緊の課題である。

調査部門 Ⅴ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

教師が推測する高校生のリスニング中の意識・方略使用と実態との比較

大分県/大分県立安心院高等学校 教諭 渡辺 眞一

▼研究概要
本研究の目的は, (1) 日本の高校生の英語リスニング中の意識及び方略使用を把握するためのリスニング専用の質問紙を作成する,(2) 高校生,日本人英語教師双方に同じ質問紙調査を実施し,各グループの特色と相違とを明らかにし,効率的なリスニング指導に役立つ示唆を得ることである。質問紙調査は113名の進学希望の生徒,23名の進学高の教師に対して行われ,生徒はリスニングテストを受けた後,自らの意識・方略を質問紙に回答し,教師は自分が担当する生徒がどのようにリスニングを行っているかを推測して回答した。結果として,(1) 教師が生徒のリスニング時の行動を低めに評価する傾向,(2)「計画 / 評価」を指導することの重要性,(3)「問題解決」とリスニング成績との相関,(4) 生徒の「集中」重視,「計画 / 評価」軽視の傾向,などが解明された。また,教師が推測する生徒の意識と実態との間にはかなりの相違があり,質問紙調査などを利用して実態を把握し,現状に即した指導を行うことの重要性が明らかになった。

委託研究部門 Ⅰ 「英検Can-doリスト」に関する研究

英検 Can-do リストを使った Self-access Learning リスト作り
―授業の諸活動と英検各級合格との関係を明らかにする―

東京都/狛江市立狛江第一中学校 教諭 北原 延晃

▼研究概要
英検 Can-do リストは非常によくできているが,一般の中学生では理解できない表現があちこちに見られる。そこで中学生に理解できるように記述を簡単にすると同時に授業でどんなことができればその記述に当てはまるのか具体的に示した。 目的:生徒が自分で英検のどの級に合格できるかを判断できる 期待される成果:  ① 授業と英検が直接結び付く  ② 自分の学習到達度の履歴が一目でわかる表ができる  ③ 英検に合格するための細かな項目をチェックできるため,生徒が安心して英検を受験できるようになり,ひいては受験者増につながる。

委託研究部門 Ⅱ 「英検Can-doリスト」に関する研究

英検 Can-do リストによる Writing 技能に関する妥当性の検証【共同研究】
―準2級と3級のリストを用いて―

北海道/函館工業高等専門学校 教授・代表者 竹村 雅史

▼研究概要
本研究は,2006年に英検が発表した「英検 Can-do リスト」に基づき,英検取得者がそのリストに挙げられた項目に即したタスクに答えてもらうことで,「英検 Can-do リスト」の妥当性を検証するものである。  調査対象は, 3級,準2級の取得者で,「書く」技能のリストに挙げられた項目に対するライティング・タスクに答えてもらった。調査方法として,本調査に入る前にパイロット調査を実施し,リストに挙げられたタスクを精選し,本調査のタスクを作成した。また,自信の度合いも見るために,「英検Can-do リスト」に基づくアンケート調査も行った。 採点方法は, 2人の日本人が採点者になり,同時期に1つの答案を検討し,採点者間の信頼性を保った。また,英語母国語話者にも比較参考資料のため採点に加わってもらった。  結果は,その級で挙げられているリスト項目に関して,自信がある場合には,実際にある程度のライティングの performance を発揮できることがわかったが,項目によっては発揮できないものもあった。