研究部門 Ⅰ 英語能力テストに関する研究
読み手の理解度を考慮した英作文の正確性指標の量的妥当化:どのような誤りが" 重い" のか
茨城県/筑波大学大学院 在籍 岡 秀亮
▼研究概要
本研究の目的は,(1)英作文における書き手の誤りと,それらが読み手の理解を阻害する度合い(重み付けされた正確性指標:WCR)を調査し,(2)熟達度に応じて,誤りとWCR がどのように変化するのかを明らかにすることである。WCR の長所は,誤りの種類を読み手の理解を阻害する度合いに応じて3段階に同定することで,教師によるフィードバックの与え方や指導方法をより明確にすることを可能にする点にある。一方,短所として,当該指標の評定には評定者の「理解の阻害度」が影響するため,高い信頼性を得ることが難しい。そこで,本研究は,Polio and Shea(2014)にみられる25の文法的誤りがその種類に応じてどのように重みづけされるべきなのか,対応分析を用いて検討した。その結果,3つのカテゴリーが得られ,各カテゴリーで特徴的な誤りの種類を特定することができた。さらに,熟達度間におけるWCR の変化を分析した結果,軽微な誤りは熟達度が上昇するにつれて減少する一方で,読み手への影響度が大きい誤りの数は,熟達度が上がると増加する傾向にあることがわかった。