研究部門 Ⅰ 英語能力テストに関する研究
読解中のノートテイキングが一貫した心的表象に与える影響 —再話による読解情報の復元を通して―
茨城県/筑波大学大学院 在籍 小野 由香子
▼研究概要
本研究では, 読解中の活動であるノートテイキングがテキスト内容の記憶にどのような影響を与えるのかを検証することを目的に, アンダーライン/ キーワード抽出/ 図式化のいずれかの読解タスクを与え, 読解後の再話プロトコルを比較した。二元配置分散分析の結果, 各タスク条件で再話の成績に有意性は見られなかったが, 熟達度の主効果は有意であることが明らかになった。また, 非テキスト情報について, 熟達度上位群の方が有意にSUB の出現率が高かったが, ADD やSUMについては熟達度間で差はなく, 各タスク条件間でも有意な差は見られなかった。さらに, 協力者のノートと再話プロトコルの質的な分析から, ノートの取り方と再話成績には関係がある可能性が示唆された。本研究から, 生徒にノートテイキングを指導する際には, 生徒の熟達度を考慮し, 英文の構造がわかるようなノートをとることを伝えることで, より強固な心的表象を構築できることが示唆された。