一般的に、アメリカの大学には日本のような入学試験はなく、書類審査で選考されます。さらに、大学ごとに異なる入学資格や条件を設けています。また、同じ大学内でも、専攻分野によって、入学条件が異なることも少なくありません。資格や条件は、大学が発行する大学要覧(catalog/bulletin/brochure)や学部別要覧(departmental brochure)、大学の公式ウェブサイトで調べることができます。その際、一般的な入学条件に加え、留学生と学科別の入学条件についても確認しておきましょう。
アメリカの大学には、日本の高校を修了していれば(またはその見込みがあれば)入学申請ができます。ただし、高校3年間の成績が審査基準となるので、3年間すべての成績を大学に提出することになります。
大学側はそれを所定の計算方式でGPA(総合成績の平均点)に換算して評価します。
ただし、日本の場合、成績評価が同じ5であっても、高校によって差がある場合があります。作成するエッセーや先生の推薦状で、そうした事情を説明したほうがよいでしょう。
アメリカの大学は、社会に必要とされる研究分野にあわせて学部学科が組まれ、現在も学科が増え続けています。また、アメリカ社会は、大学での専門知識や技術の習得が就職と密接に結びついていることから、大学の授業では実社会のシミュレーションを行うケース・スタディやプラクティカル・トレーニング(実習)が重視されています。
アメリカの学士号は、文系のバチェラー・オブ・アーツ(B.A./Bachelor of Arts=文学士号)と理数系のバチェラー・オブ・サイエンス(B.S./Bachelor of Science=理工学士号)の2種類があります。学位の種類は、細分化されておらず、入学時には学部を決める必要もありません。
フレッシュマン(1年次)は、基本的な教養科目の履修が中心で、ソフォモア(2年次)に主専攻(メジャー)を決め、必要な科目を履修していきます。
しかし、主専攻は、ジュニア(3年次)になってからでも変更することができます。また、副専攻の履修も、ダブル・メジャーの専攻も可能です。
教養課程となる大学の前期課程(1、2年次)は、学部も決まっていないので、かなり自由です。後期課程になり、専攻を決定し、専門科目を履修し始めると、必修の教養科目が出てきます。また、専門科目の中でも、段階的に履修していかなくてはならない科目が出てくる場合もあります。
どの科目を履修しておけば次へ進めるのか、きちんと知っておかないと、あとで単位が足りなくて困る可能性も出てきます。
専攻に合わせた科目履修は、複雑で分かりにくいので、留学生は特に注意するようにしましょう。多くの大学には、留学生アドバイザーがいて、世界各国から来ている留学生のために、勉強や進路、生活面まで、あらゆる相談に応じてくれるので、積極的に活用しましょう。
コミュニティ・カレッジから4年制大学への編入を希望する場合、履修した単位を大学で認定してもらうことができます。4年制大学へ進学する予定で、まずコミュニティ・カレッジに入るという人は、編入したい大学で認めてもらえる科目を調べておき、その科目を履修することが大切です。
他大学からの転入も、履修した単位を申請できますが、全単位が認定されるとは限りません。また、転入手続きをすれば自動的に単位が移行されるわけではなく、自分から申請することが重要です。日本の大学の単位も認められています。
アメリカの大学は、留学を目指しているが英語力が足りない外国人入学希望者のために、「条件付き入学(仮入学)」という制度を設けています。これは、英検の資格が規定の級より下の級しか取得できていなくても、仮の入学許可をもらい、そのあとに集中的に勉強して英語力を規定レベルまで上げることで、正式に学部生として認められるというものです。ただし、期限が設定されていて、期間内に規定のレベルに達することができない場合、仮入学が取り消されます。