What Can a Hippopotamus be?

Mike Thaler 文 Robert Grossman イラスト


今回の絵本はカバが主人公のユーモアあふれる一作です。共にアメリカ人のMike Thalerが文章を、Robert Grossmanがイラストを手がけた本作は、児童文学者の今江 祥智が全編を通して大阪弁で訳したユニークな日本語版も出版されているのですが、今回注目したいのは一冊でその原文と訳文の両方を同時に楽しめる『英語で もよめる ぼちぼちいこか What Can a Hippopotamus be?』です。

ストーリーは主人公のカバが将来自分は何の職業につくのかと思い悩むも、なかなか自分にぴったりの仕事が見つからず奮闘するというものです。Fire fighterやballet dancer、piano playerなど職業の名前が多数登場し、その一つひとつになりきるカバの姿が実にユーモラスです。なぜWhat Can a Hippopotamus be?という原作のタイトルが『ぼちぼちいこか』という邦訳になったのかは物語を最後まで読めば分かるようになっています。ラストにはっきりした結論が出 ないところが本書の魅力のひとつであり、焦らずゆっくり自分のペースで人生を歩いていけばいいんだよという作者からのメッセージにつながっているといえる でしょう。

全体を通して流れるやわらかい雰囲気とほのぼのとしたイラストを、大阪弁の訳語が一層引き立てていると思います。今江は自らの著作も多数ありますが、『す てきな三にんぐみ』など、翻訳家としても知られています。原文では" Can a hippopotamus be a ~?"に対する答えが"No."で統一されているのに対し、日本語版は韻や言葉遊びをふんだんに用いたさまざまな訳され方がされているので、その違いも声 に出してぜひ楽しんでみてください。

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