英語教育に関する論文・報告書

STEP BULLETIN vol.16 2004

研究部門 Ⅰ 英語能力テストに関する研究

英語リーディング熟達度テストにおける「総合問題」の妥当性の検証

岐阜県/岐阜県立土岐紅陵高等学校 教諭 伊佐地 恒久

▼研究概要
本研究では,英語リーディング熟達度テストにおける「総合問題」の妥当性を,受験者が問題に解答する際のプロセスを分析することによって検証した。具体的には,英検3級及び準2級の読解問題と,それらと同じ英文から作成した「総合問題」に受験者が解答するために用いたストラテジーを,Written Recall とRetrospective Interviewの2種類の方法によって調査した。そこから得られた報告を分析し,3つの仮説に基づいて問題の妥当性を検証した。その結果,「総合問題」を解く際,多くの受験者は,(1)英文全体は読まないで,設問に解答するために必要な部分にだけ目を通すこと,(2)設問に解答するために,多くの場合1文以下という極めて局所的な範囲の英語しか読まないこと,がわかった。 これらの点から,「総合問題」は英語リーディング熟達度テストとして不適当であることが実証された。「総合問題」には,英文の内容理解を問う問題と,文法・語法,発音などそれ以外の問題が含まれるが,文法・語法,発音などの問題は,別の大問の中で出題されるべきである。

研究部門 Ⅱ 英語能力テストに関する研究

多肢選択式リスニングテストの問題文と選択肢の提示時期がテストパフォーマンスに与える影響

神奈川県/神奈川県立小田原城内高等学校 教諭 柳川 浩三

▼研究概要
多肢選択式リスニングテストの受験者のパフォーマンスは,問題文と選択肢の提示時期(項目様式)により影響されうることが示された。問題文と選択肢の両方が本文を聞く前に提示される場合,受験者の正答数は多くなる場合があり,この傾向は受験者のリスニング力にかかわりなかった。また,問題文と選択肢の提示時期によりリスニング力測定の精度にも違いが見られた。おおむね精度の高い順に,選択肢のみが事前に提示される様式,問題文のみが事前に提示される様式,問題文と選択肢の両方が事前に提示される様式の順になった。 多肢選択式リスニングテストにおいてどの項目様式をとるのが最も適切であるのか,コミュニケーション能力の測定の観点を含めて教育的示唆を提示する。

研究部門 Ⅲ 英語能力テストに関する研究

面接方法が発話に与える影響
―ロールプレイを用いた個別面接方式とペア面接方式の比較―

栃木県/栃木県立小山高等学校 教諭 川島 智幸

▼研究概要
本研究では,ペア面接方式の有効性を検証するため,英検準2級の2次面接と全国模擬試験により測定した英語能力の個人差が,ロールプレイにおける発話にどのような影響を及ぼすかを調べた。さらに生徒同士のペア面接方式と,教師との個別面接方式の2つの方式でロールプレイを行い,面接方式の違いが発話に及ぼす影響を分析した。実験では,公立高校2年生8人が行った4種類のロールプレイでの発話について,発話量,複雑さ,正確さ,流暢さ,発話の機能への影響の有無を調べた。その結果,面接方法の違いが流暢さへ及ぼす影響のみが有意となり,ペア面接において英語能力の個人差が,発話量や正確さ,複雑さ,流暢さ,発話の機能に影響しないことを確認した。また面接方式の違いが,発話量や正確さ,複雑さに影響しないことも明らかになった。これらの結果は,試験的ではあるもののペア面接の有効性が支持されたことを意味する。

研究部門 Ⅳ 英語能力テストに関する研究

教師の音読を伴った繰り返し読みが高校生の英文読解に及ぼす効果

埼玉県/埼玉県立狭山経済高等学校 教諭 飯野 厚

▼研究概要
本研究の目的は,初級段階の読解力を持つ高校生を対象として,教師の音読による繰り返し読みが短期的に内容理解に及ぼす効果と,長期的に読解力と聴解力に及ぼす効果を探ることである。 実験1では,75名の高校生を被験者として,教師の音読による繰り返し読みが文章の理解度に及ぼす効果を探った。その結果,以下のことが明らかになった。教師の音読(すなわち英文とモデル音声の同時提示)は, (1) どのような条件の下でも有効と言えるわけではなく,難しい文章よりも平易な文章で,理解を促進した。 (2) 黙読と比べた場合,理解の進捗に遅延効果をもたらした。 (3) 平易な文章では,読解中の注意が文字に向かう傾向が明らかになった。黙読条件では注意が内的音声化に向かう傾向もあったことから,教師の音読によって,読解中の音韻処理の負荷が軽減され,意味へのアクセスが促進される可能性が示唆された。 実験2では,97名の高校生を対象として,長期的な処遇として,教師の音読を伴った繰り返し読みと,時間制限を設けた黙読による繰り返し読みの効果を比較した。その結果以下のことが明らかになった。教師の音読を長期的に施すことにより,(1)文章の難易度にかかわらず,黙読による速読指導と同程度に読解速度が伸張した。(2) 聴解力が伸張した。(3) 習熟度が低い学習者も読解速度と聴解力が伸張した。以上の結果から,教師の音読という音声支援のある繰り返し読みが,音韻処理の自動化を促進し,読解の流暢さを確立するために有効であることが示唆された。

研究部門 Ⅴ 英語能力テストに関する研究

日本人英語学習者の読み方とチャンキング単位の関係
―速読と精読における効果的なチャンクの比較―

茨城県/筑波大学大学院 在籍 土方 裕子

▼研究概要
英文の読解速度を上げるために広く行われている指導法の一つが,チャンク(意味単位,センス・グループ)ごとに語順に沿って読む読み方(=チャンキング,フレーズ読み,スラッシュ・リーディング)である。 チャンキングを用いた指導が効果的になるためには,前もって読み手自身がどのようなチャンキング単位で処理しているのかを知ることが重要である。しかし,目に直接見えない心内過程を測定することは難しく,確立された測定方法もない。 本研究では読み手のチャンキング単位を測定するのに,速読と精読の2つの読み方を設定した。これは,読む目的に応じて,同一個人であっても異なるチャンキングを行うと考えられたからである。更に複数の観点からチャンキング能力を測定するため,ペーパー形式(実験I)とパソコン形式(実験II)の2つの方法から読み手がより速く正確に読めるチャンキング単位を調べた。

研究部門 Ⅵ 英語能力テストに関する研究

中学校選択英語科のライティング学習における教授ツールとしての簡略ポートフォリオの効果に関する事例研究

千葉県/沼南町立高柳中学校 教諭 松崎 邦守

▼研究概要
本事例研究では,中学校2年生を対象とした選択英語科のライティング学習(50分授業×9回)において,教授ツールとしての簡略ポートフォリオを適用し,その効果について検討した。同ポートフォリオは,Matsuzaki(2003)が看護専門学校1年生を対象としたライティング学習において開発したものを,本研究に即して簡略化したものであった。事後アンケート調査の分析結果から,①本ポートフォリオを活用したライティング学習が,ARCS動機づけモデルの4観点から学習者によって肯定的に評価されており,同学習に対する学習意欲の向上に効果があったことが認められた。また,②本ポートフォリオを特徴づける「ガイドラインの明示」が本ライティング学習に対する見通しに,並びに「カンファレンスの実施」が学習の振り返りや修正及び学習意欲の向上に有効であったことが確認された。更に,事前・事後テストの分析結果から,③本ポートフォリオを活用したライティング学習が,本ライティング学習の目標を達成する上で効果があったことが示唆された。

研究部門 Ⅶ 英語能力テストに関する研究

音声に対する敏感さと英語学習総合能力との関係

熊本県/熊本学園大学大学院 在籍 福富 かおる

▼研究概要
本研究は,中学生の英語学習総合能力(注1)と「音に対する敏感さ」すなわち,音識別能力との関係を明らかにすることを目的としている。検査方法として音識別能力を言語音識別能力と楽器音識別能力の2つに分類し,更にこれら2つの識別能力をそれぞれ声調聴取,和音高低聴取,和音音色聴取に分けて検証した。 調査の結果明らかになった点は次の4点である。(1)言語音識別能力と「書くこと」,「読むこと」の能力には有意な高い相関関係が見られる。(2)言語音識別能力は英語学習の初期段階で直接的に影響を及ぼしていると考えられる。(3)英語学習総合能力が低い学習者ほど音識別能力を頼りとする学習段階にあり,音識別能力の養成は重要な意味を持つ。(4)音声記憶能力は,英語学習総合能力のみに影響力を持つ独立した能力と考えられ,この能力は音声識別能力にはかかわりを持たない。

実践部門 Ⅰ 英語能力向上をめざす教育実践

外国語としての英語の習得と運用能力向上に効果的なパーソナルコンピューター用学習ソフトウエアの開発

静岡県/静岡市立高等学校定時制課程 教諭 杉山 潔実

▼研究概要
本実践の目的は,英語などの外国語学習者が利用し,外国語を言語的に習得し,運用能力を向上させることに効果的なパーソナルコンピューター(以下パソコン)用学習ソフトウエアの開発である。言語習得の過程にはいかなる学習活動が望ましいかについての考察をふまえ,学習者が使いやすく,習得効率の高い学習が行える学習ソフトの開発をめざし,制作,改良を続けてきた。

実践部門 Ⅱ 英語能力向上をめざす教育実践

インプットの発話速度の違いがリスニング力育成に与える影響

茨城県/土浦日本大学高等学校 非常勤講師 飯村 英樹

▼研究概要
本研究の目的は異なる発話速度を用いた指導が学習者のリスニング力育成にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることである。実験は3種類の発話速度(210wpm,160wpm,110wpm)を設定し,高校2年生を対象に5か月間,20回の指導という形で行った。実験の結果から,発話速度の違いは学習者のリスニング力に差を生じさせないが,発話速度の感じ方に差を生じさせることが示唆された。最後に発話速度の観点から今後のリスニング指導の在り方について論じた。

実践部門 Ⅲ 英語能力向上をめざす教育実践

高校におけるディベート授業のシラバスデザイン

東京都/明治大学付属明治高等学校 教諭 矢田 理世

▼研究概要
本研究は高校の授業で8か月にわたって英語のディベートを行いながら,シラバスをまとめた実践報告である。研究内容は2つの段階に分けられる。まず到達目標とニーズ分析をもとに年間のシラバスを作成し,実際に授業をしながら逐次振り返り改訂していく授業実践。次に,授業終了後多方面から授業全体を振り返り,改善策を模索するシラバスの検証である。 英語でのディベートは,論理的な思考能力に加えlistening,reading,writing,speaking を総合的に養うことができる有効な言語活動であるが,高校生にとっては易しいものではない。このため,各時期において明確な意味と目標を持った言語活動をタスクとし,生徒たちの興味やニーズに合った適切なタスクを地道にこなしていくことを基本方針とした。当初はクラス全体の前で短い発表をすることも精一杯だった生徒たちが,数か月後にはユーモアを交えながら英語でディベートを楽しめるようになり,充実感と自信を持って授業を終えることができた。

実践部門 Ⅳ 英語能力向上をめざす教育実践

Reproductionを用いた英語表現能力の育成

大分県/大分県大分南高等学校 教諭 池邉 裕司

▼研究概要
英文読解を中心とした授業においてもアウトプットを促す活動を工夫することで英語表現能力を高めていくことができるのではないか,それが本研究のテーマである。ここでのreproductionは,story-retelling とも言われるが,あるまとまった英文を読んでその内容を自分の言葉で再現し書かせる活動である。5か月間にわたる実践の結果,reproduction の練習を重ねるにつれて表出する英語のfluency は次第に増していった。一方,accuracyはfluency が増すにつれていったん減少したが,その後次第に高まっていった。自由英作文を書く能力においても特に語彙や文法力が向上する傾向が見られた。読んだ英文を常にreproduce するという経験を繰り返すことで,英文を読む際にも自分で表出をするという観点で読めるようになり,語彙や表現形式に対する注意力が高まり,その習得が促進される可能性を示唆する結果が得られた。

実践部門 Ⅴ 英語能力向上をめざす教育実践

Scaffoldingがグループ活動を通してコミュニケーション能力や文法能力育成に与える効果の検証

北海道/常呂町立常呂中学校 教諭 佐藤 大

▼研究概要
「実践的コミュニケーション能力の育成」のため,英語の授業では,グループ活動が多く取り入れられている。本研究では,グループ活動で約2か月間,継続的にQuestions を与えることにより,それぞれの生徒たちの発話の質や量においてどのような変化が現れるか,またグループ内で生徒が互いに教え合うことによりどのくらい学習効果があるか,更に,文法力がどのくらい向上するかの検証を行った。研究はscaffolding(足場作り)の理論と方法を通じて進めた。 グループ活動におけるscaffolding の効果は,本研究によりある程度見ることができた。また,Japanese Teacher of English( JTE) とAssistant Language Teacher(ALT)の二者からscaffoldingを与えることにより,上位グループ・中位グループはもちろん,下位グループにも効果が見られた。ゆえに,scaffolding の概念は,外国語学習にとって有効な方法であると思われる。更に長期的にグループ活動を通してALT の協力の下にscaffolding を与えるとことにより,コミュニケーション能力や文法能力は一層向上していくことであろう。

実践部門 Ⅵ 英語能力向上をめざす教育実践

B-SLIMを導入した英語活動【共同研究】
―楽しく身につく英語活動の創造―

北海道/旭川市立日章小学校 教諭・代表者 小山 俊英

▼研究概要
B-SLIM を採用して3年目を迎える本校では,B-SLIM の提唱者であるO. Bilash博士を本校に迎え,授業研究を行うなど,各学年の実践を積み上げながら,B-SLIM の考え方に基づく英語活動の浸透を図ってきた。 児童の自己評価では,「楽しく活動ができた」「よくわかった。英語を使うことができた」と回答した児童が常時90%以上であり,本校がめざす「楽しく身につく英語活動」が実現に向かっていると考えることができる。多様な方法で行うInput とスモールステップで進めていくIntake (Activity) の展開が,この結果につながったものと考えられる。 平成14年度から,Output を重視することを念頭に置き,国際理解教育の単元とリンクさせた形で英語活動を構成してきた。「ノングレイドカリキュラム」を活用した英語活動では,児童が単元を見通して,どのような英語を使いたいのか,あるいはどのような表現が必要なのかを考えるところからスタートし,児童のニーズをもとに言語材料を選定し,「調べ学習」を位置づけた英語活動を展開してきた。その結果,児童の課題意識が,Input からOutputに至るまで持続することや英語活動に取り組む児童の意識の高まりを授業研究を通して検証することができた。

調査部門 Ⅰ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

学習方法の違いによる語彙習得率の比較研究

千葉県/千葉県立匝瑳高等学校 教諭 中池 宏行

▼研究概要
語彙習得については,過去,様々な研究がなされてきた。しかし,それは主に英語を外国語とし,他のヨーロッパ言語を母国語とする研究者が行う英語の語彙習得に関するものか,英語を母国語とする研究者の英語(母国語)の語彙習得に関するものが多かった。日本での英語の語彙習得の研究は少なく,その方法,評価もばらばらであったように思える。そこで,筆者は日本人の英語の語彙習得研究について,過去の代表的な実験を,その実験の欠点を補いつつ,新たな実験をし,それを過去の先行研究と比較してみることとした。特に,映像・音声学習,意味的まとまりを利用する学習方法,接頭辞・接尾辞・語根学習,キーワード法に関しては,今までにその効果を調べる研究があまりなされていなかったという経緯があり,それらが,果たして,生徒の語彙習得の手助けになるのかを調査してみることとした。

調査部門 Ⅱ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

高校生の英語学習に対する意識と取り組み
―英語科と普通科の生徒の比較を通して―

宮城県/宮城県仙台東高等学校 教諭 畠山 喜彦

▼研究概要
英語科と普通科を併設している本校(宮城県仙台東高等学校)で指導をしていると,英語科と普通科の生徒の違いに驚かされる。両学科の生徒の特徴を調査・比較することは本校の英語指導を向上させるのはもちろん,高等学校における効果的な英語指導を模索するために意義があると考える。そこで,本研究では(1)「普通科と英語科の生徒の英語及び英語学習に対する意識と取り組みの傾向を,調査紙法により明らかにする」,(2)「各科ごとの傾向・差異・習熟度による差などを分析することを通して,学校現場における英語指導を向上させるための示唆を得る」の2点を目的とした。

調査部門 Ⅲ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

中学生(英検3級)はALTの修正フィードバックをどの程度知覚するのか
―対話者と傍聴者のlistening positionの違いによる知覚量の分析―

北海道/伊達市立伊達中学校 教諭 大塚 謙二

▼研究概要
本研究は,中学3年生(英検3級取得者)が,ALT(Assistant Language Teacher)とのjigsaw task を用いたinteraction(相互交渉)を通して,ALT から戻される修正feedback をどの程度理解しているのかを質的量的に調査することを目的としている。 また,英語の授業に目を向けてみると,教室環境ではALT や日本人教師(JTE)が学級全体の中で生徒と英語でinteraction をすることも多く見られる。それが行われている場面では,生徒たちは対話者(interlocutor)と傍聴者(auditor)という2種類の立場になっている。本研究では,このlistening position の違いがfeedback の知覚量にどのような影響を及ぼすのかについても調査した。 更に,task 活動を繰り返すことや普段の触れあいによって生じるALT との親近性の増加(緊張感の低下)がfeedback の知覚にどのような影響を及ぼすのかも検証してみた。 結果としては,task を実施する上で,意味のやり取りに大きく影響する発音と語彙に関するfeedbackは比較的知覚されていたが,言語の構造に関するものは,それに比べてあまり知覚されていなかった。また,listening position の違いでは,傍聴者の方が対話者よりもfeedback を10%程度多く知覚することができていた。さらに,ALT との親近性が高まるとともに緊張感が低下し,feedback の知覚量が増加した。

調査部門 Ⅳ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

英語ドラマ活動は、中学生の英語習得・英語学習にどのような影響を与えるのか

兵庫県/兵庫教育大学大学院 在籍 井村 哲也

▼研究概要
東京都中学校英語教育研究会の事業部は,既に50年以上にわたり「東京都英語学芸大会」を実施している。毎年12月の第1日曜日に,東京23区及び各地域ブロックの代表の中学生が「スピーチ」と「英語劇」の2つの部門に分かれて発表を行い,互いに高いレベルで競い合い学び合う。10数年前に,一観客としてこの大会を鑑賞した筆者は,そのレベルの高さに驚き,翌年から10年以上にわたって英語劇を実践することとなった。 「ドラマは心の叫び~魂を言葉に乗せて」これは筆者が1999年,『STEP 英語情報』7,8月号に,東京都大会の体験をもとに書かせていただいた実践報告と英語劇の指導に関する拙文のタイトルである。皮肉なことに,ドラマの本質を語るこの言葉は,科学的なデータをもとに現象を検証する実証的な研究領域においてドラマ活動の価値の検証がいかに難しいかをも示唆しているのである。Edmonson(1985)は,「ドラマ活動は様々な要因が複雑に絡み合ってできているconstruct(構成概念)である」と指摘している。実証的研究分野でのドラマ研究が少ないのはこのことも大きくかかわっているものと考えられる。筆者は,実践者であり研究者であるという自らの利点を生かして,この多面性を持ったドラマ活動の「英語学習,習得における価値」を,先行研究(実証的でない文献も含める)を土台に,実証的研究分野の枠組みで検証すべく本研究に取り組んだ。

調査部門 Ⅴ 英語教育関連の調査・アンケートの実施と分析

幼児英語学習者のコミュニケーション分析
―イマージョンスクールにおけるケーススタディー―

北海道/北海道大学大学院 在籍 田村 有香

▼研究概要
概要なし