研究部門 Ⅰ 英語能力テストに関する研究
マクロルールの階層性に基づく英文読解問題の提案:詳細情報理解から概要把握まで
茨城県/筑波大学大学院 在籍 佐藤 連理
▼研究概要
要約課題に取り組む際に学習者が辿る規則として,マクロルール(削除,一般化,構成)が存在する。本研究では,この規則に基づき詳細情報から概要把握までを問うことが
可能な多肢選択式設問を作成し,既存の設問及び要約課題との比較検証を行った。調査1ではリーディングテストに含まれる設問を分類した結果,英検では準1級と2級を除き,
難易度の高い級の設問の方がより難しいルールを含むなど,その構成内容に有意差が見られた。一方で,高校卒業程度とされている2級も削除することで解答できる設問の割合が高く,
一般化や構成を用いて概要を問う設問は依然として少なかった。調査2では,①新規に作成した一般化,構成を同程度含んだテスト,②従来の削除設問を多く含んだテスト,
③要約テストの3つを大学生・大学院生を対象に実施した結果,多肢選択式テストでは削除と比較して構成設問の方が有意に正答率が低く,また要約では見られなかった一般化・構成
についても多肢選択式で問われれば正答できることが示された。得られた結果について,マクロルールに基づく多肢選択式テストの妥当性という観点から考察を行った。