英語は文系?理系?

高校2年生の頃から、「文系」「理系」に分類されて受験準備に取りかかるこ とが多い。

そして、英語をやりたい、という人は、どういう訳か「文系」に分類されてしまう。別に英文学を勉強したいわけではないし、理系科目が嫌いなわけでもない。そもそも、言語に文系・理系という分類法は当てはまるのだろうか。

言語学は、論理学、心理学、統計学、社会学、物理学、生物学、社会学、教育学、修辞学など、正にinterdisciplinary な学問であり、実は、もともと「理系」だった 人(Chomskyを筆頭に)で言語学を専攻している人は大勢いるのである。

現在、最も英語力が必要とされている分野は、科学分野である。

科学の進歩は 日進月歩で、そのほとんどが英語で発表され、書かれている。科学分野の人ほど海外で英語で発表する機会の多い人はいないだろう。英文学者が海外で英語で英 文学について発表する、ということは、実はそう多くはない。発表論文を見ても、英文学者の多くは日本語で論文発表をすることが多く、海外の学会誌に英語で 論文を書いている人は思ったほど多くはないのである。

言語は、道具であり、文系・理系という単純な分類には適さない。理系だから 英語ができなくても良い、という考え方は「受験界」以外には当てはまらないのである。

(January 2012)

吉田先生のPROFILE

吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長

専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。

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