国家間コミュニケーション能力の必要性

2011年に、当時の大臣を中心とした「グローバル人材育成推進会議」という会議で、日本人にとって必要な英語力について、おもしろい指摘があった。一般 に、我々が日本人の英語力について語る時、オーラル・コミュニケーション能力の不足を指すことが多い。そして、その時によく議論の対象となるのは、 CumminsのBICS(Basic Interpersonal Communicative Skills の頭文字を取ったもので、簡単に言うと、いわゆる「日常会話」)とCALP(Cognitive Academic Language Proficiency の頭文字をとったもので、認知的負荷のかかるより高度な会話能力)という概念である。

この区別から、国際的な状況で通用するコミュニケーション能力を身につけるためには、単なる日常会話ができるだけでなく、討論や議論をするためのCALPが必要だということが言えるのである。

ところで、上記の「グローバル人材育成推進会議」には、BICSとCALPという「個人」に求めら れる英語力だけでなく、「国」というより大きな単位に必要とされる「多数者間折衝・交渉レベル」の英語力の育成の必要性が述べられている。今の日本の国際 社会における立場を考えると、個人としてだけでなく、国としてどう生きていくかが問われている。ちなみに、この報告書では、次の5段階のオーラル・コミュ ニケーション力が求められている。今後の日本の英語教育の参考になるのではないだろうか。
 


(March 2012)

吉田先生のPROFILE

吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長

専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。

外国語ワールドへようこそトップへ戻る