自分の英語力を伸ばす

英語の教師は、英語が好きで教師になったという人もいるだろうが、たまたま英語が出来たからなったという人もいる。どのような理由で英語の教師になったに せよ、一つ大きな課題は、自らの英語力をどう伸ばすか、ということだろう。「英語が使える日本人」を育成するための行動計画では、中高の英語教師には、せ めて英検準1級レベルの英語力を身につけてもらいたいという目標が示された。しかし、実際には、英検準1級程度の英語力を有する中学英語教師は、約 25%、そして高校英語教師でも49%、という結果が示された。英語教師のTOEICの平均点が500点台、という話を最近聞いた。

以前、英語教員の研修会で講演をすると、こんな質問をされた。どうやって自分の英語力を伸ばせば良いか。そこで、今は昔ほど新聞は読まなくなっているよう だが、日刊英字新聞が Japan Times, Asahi Evening News, Mainichi Daily, そして Daily Yomiuri、と4つもあった頃のことである。英字新聞を読んでいる人。集まった約200人の英語教員の中で手があがるのは、10人ぐらい。バイリンガ ル放送が始まり、英語でニュースや映画が観られるようになっていたが、英語で良く見る人は10人ぐらいだった。当時、洋書販売を専門にしていた会社の人が 嘆いていた。英語の先生は英語の本を買ってくれませんね、と。

英語の教師は、どうしても教えている教科書の準備のための英語しかやらない、という傾向があるが、英語力をあげるには、自分のための英語にもっと触れる機会をつくる必要があるのである。でないと、英語ができる生徒を育てることなどできないだろう。

(April 2012)

吉田先生のPROFILE

吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長

専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。

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