吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長
専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。
昨年発表された「国際共通語としての英語力の向上に関する5つの提言と施策」の中で、一つの大きな施策として挙げられているのが、「私は英語で~ができ る」というCan-do 基準の策定である。つまり、Can-do 基準を具体的な達成目標とすることで、学習指導要領の内容がより具体的になり、今後、真に英語が使えるグローバル人材としての日本人が育成できるのではな いか、という期待が込められていると言って良いだろう。
Can-do 基準を取り入れることは大変意味のあることだが、一つ注意しなければならない点がある。それは、教師がCan-do の目標に向けてどんなに一生懸命教えても、生徒が目標となっているCan-do に対して、Yes, I can. と自信を持って言えるようにならなければ意味がない、ということである。つまり、Can-doを目標化しても、教師が「この単元では~という Can-do を教えるんだ」と意気込んで、dialogue の暗記、Can-do を実現するための基本表現のドリル、あるいは、パターン練習のような、いわゆる教師中心の授業を展開したのでは、教師はCan-do を教えても、生徒は身につかない、という結果になるだろう。Can-do は、あくまでも、生徒の英語使用目標なのであり、Can-do を実現するためには、生徒中心の授業展開の中でいかに生徒に英語でコミュニケーションする機会を多く与え、最終的に、生徒自身がYes I can. と答えられるようになことが大切なのだということを忘れてはならない
(November 2012)
専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。