TOEFLは日本の大学入試に適している?

最近、TOEFLなどを大学入学および卒業基準にすることに関する提案が自民党教育再生実行本部から出された。本部長の遠藤利明氏が、ネットラジオのインタビューで、英検ではだめでTOEFLでなければならない理由の一つとして、英検は国内でしか使えない、という点を挙げておられた。しかし、英検は現在、アメリカやオーストラリアの大学、専門学校、そして高校の留学資格として認定されている。アメリカでは、コミュニティー・カレッジ、短期大学と共に数十もの4年制大学が認定しているし、オーストラリアでも4年制大学からTAFEメンバーの専門学校や高校まで、幅広く英検を留学基準として認定しているのである。

これは結構すごいことである。なぜなら、TOEICが海外の大学入学基準として認められているとは聞かないし、最近よく使われるVersantのスピーキングテストが留学基準になっているとも聞かない。韓国のNEATも英語圏の大学の留学基準に使われているとも聞かない。つまり、TOEFLやIELTSなど、英語圏で開発された英語能力判定テスト以外で、英語圏の大学の入学基準に使われているのは英検だけ、と言ってもよいだろう。日本人として英検にもっとプライドを持ってよいのではないだろうか。

(May 2013)

吉田先生のPROFILE

吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長

専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。

外国語ワールドへようこそトップへ戻る