吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長
専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。
The Sensei TimesのVol.13で、自民党教育再生実行本部がTOEFLなどを、大学入学・卒業の基準として採用することを提案している動きについて述べた。続編として、ここではTOEFLの有効性を改めて吟味したい。
まず日本の大学入試に関しては、学習指導要領をベースにしたものが望ましい。TOEFLはあくまでも英語圏の大学などへの留学を目的としたテストなので、日本の高校を卒業して英語圏の大学に留学したいという人、あるいは日本の大学を卒業して留学しようという人には必要になる可能性があるが、日本の大学入試には適しているとは言えない。
また、卒業判定試験に関しては、企業に就職する人の場合は、ビジネスに直結する英語の試験が適していると言えるだろう。TOEFLはアカデミックな要素の強い試験なので、やはり目的に応じた試験であるとは言えない。
このように見ていくと、目的に応じたテストの導入が必要であり、果たしてTOEFLが日本の大学入試や卒業判定試験に適しているかどうかは疑問である。
(June 2013)
専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。