ALTは誰がふさわしい?

  日本の英語教育の特徴の一つに、ALTやAETと日本人教師でのteamteachingがある。1987年に始まったJET Programは現在まで日本の英語教育、国際交流に多大な影響を与えてきた。しかし、JET Programによる人員も一時は6000人以上にまで増えたものの、現在では、4000人台まで減少。民間のAET派遣会社が取って替わり、5000人以上の人員を全国の学校に派遣している。

昨今、小学校の英語教育の教科化・低学年化が取りざたされているが、中学や高校でも外国人補助教員が必要とされていることを考えると、現状で果たして間に合うのだろうか。もちろん、単純に人数の問題は存在するが、いまだに存在する「ネイティブ信仰」も大きな問題となっている。

  JET Programの場合は、英語圏以外の若者も来ているのだが、英語の補助教員として採用されている人は、ほとんどが英語のネイティブ・スピーカーだと言っても過言ではない。多くの教育委員会や学校、保護者の間に、ネイティブ・スピーカーでなければ子どもたちが「間違った英語」「悪い発音」を身に付けてしまうのではないか、という心配があるのである。

  ところで、上智大学の英語学科の学生たちは、毎年カンボジアの中学生に英語を教えている。昨年、学生たちが中学生に英語の授業で何を学びたいか、というアンケートを取ったところ、「日本」や「日本語」がトップを占めた。英語を学んでいても、日本人の学生から学んでいるから日本に対する興味・関心が高くなっている。つまり、もはや、英語は英語圏のみならず、いろいろな国々の文化や考え方を学ぶための「国際コミュニケーションのための道具」なのだ、という認識が今後ますます必要になってくるのである。

(September 2013)

吉田先生のPROFILE

吉田研作
上智大学言語教育研究センター教授・センター長

専門は、応用言語学。最近は、文部科学省の「外国語の能力の向上に関する検討会」座長も務める。また、日韓中国の高校生の英語力比較や教師の教え方を研究。海外のThe International Research Foundation for English Language Education(TIRF)の理事や、国内ではNPO小学校英語指導者認定協会の理事なども務める。著書多数。

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