「はい」なの?「いいえ」なの?

言葉が通じない時、私たちは身振り手振りで何とかしようとします。でも、英語と日本語のジェスチャーには異なるものも多く、誤解を生じることがあります。

日本の手招きが、英語の「あっちへ行け」のジェスチャーととられることは良く知られています。英語では手のひらを逆に上にします。数え方も反対です。私た ちは、広げた手の親指から順に小指まで折っていき、そして小指から親指へと広げていきます。英語の数え方は色々ありますが、閉じた握り拳の親指から順に小 指まで広げて行く数え方を良く目にします。

でも一番衝撃的なのが「はい」「いいえ」のジェスチャーが万国共通ではないということです。インドの人に「わかった?」とか「これで大丈夫?」と尋ねる と、首を横にかしげたり、軽く横に振ったりします。「えっ、駄目なの?」とがっかりすると、どうやらそうではありません。何とこれが「はい」という意思表 示のようなのです。このしぐさは、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、そして何故かブルガリアでも見られるようです。

そう言えば私たちは相手の話を聞いてうなずく時にも首を縦に振ります。日本人は英語話者に比べて2倍うなずくそうで (Maynard 1989)、「はい」という承諾のジェスチャーと間違われることがあります。「そう、そう」と今もうなずいていませんか?

(December 2011)

卯城先生のPROFILE

卯城祐司
筑波大学大学院人文社会科学研究科教授

博士(言語学)。小学校英語教育学会会長、関東甲信越英語教育学会会長、全国英語教育学会副会長、語学教育研究所評議員。ELEC評議員。専門は英語教授法全般、リーディングおよび第二言語習得。文部科学省「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」、「外国語能力の向上に関する検討会」委員などを務める。『図解で納得!英語情報ハンドブック』(ぎょうせい)ほか著書多数。

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