イギリスでは傘をささない?

英国紳士は決して傘をささない」といわれています。「決して」というわけではなく、折りたたみ傘をさしている人も見かけますが、確かに概して傘をさしませ ん。その代わり普段着では、多くの人がフード(hood)付きでウェザープルーフ(weatherproof) のスポーツ・ジャケットのようなものを着ています。霧雨くらいのちょっとした雨ならば、そのまま平気で歩き、少し雨が強くなってきたらフードをかぶり、 ザーッと降ってきたら店先に避難します。

傘をささないのは、イギリスの天気にも関係がありそうです。イギリスといっても、どの地域かによって違いはありますが、1981-2000年のデータか ら、ここでは東京とロンドンの天候を比較してみましょう。天候が不順で、いつも雨ばかり降っているようなイメージのあるイギリスですが、実際はどうでしょ うか?年間で雨の日(Avg. precipitation days, Avg. rainy days)は、東京は100.5日、ロンドンもほぼ同じ106.6日です。しかし年間降水量(precipitation)を見てみると、東京は 1528.8mm、一方、ロンドンは601.5mmと、それほど量は多くないのです。イギリスの天気は猫の目のように一日のうちに何度も変わります。雨が 降ってもちょっと雨宿りをすればすぐにからっと晴れ上がることが多く、日本のように一日中雨ということもないようです。

雨にもいろいろありますが、にわか雨はshower、霧雨はdrizzle, misty rain、土砂降りはdownpour,drencher、お天気雨はsun shower、暴風雨はrainstormといいます。If you want the rainbow, you gotta put upwith the rain.(虹を見たけりゃ、雨も我慢)、After astorm comes a calm.(待てば海路の日和あり)などの言葉を思い浮かべれば、雨も楽しく過ごせそうです。

(July 2012)

卯城先生のPROFILE

卯城祐司
筑波大学大学院人文社会科学研究科教授

博士(言語学)。小学校英語教育学会会長、関東甲信越英語教育学会会長、全国英語教育学会副会長、語学教育研究所評議員。ELEC評議員。専門は英語教授法全般、リーディングおよび第二言語習得。文部科学省「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」、「外国語能力の向上に関する検討会」委員などを務める。『図解で納得!英語情報ハンドブック』(ぎょうせい)ほか著書多数。

外国語ワールドへようこそトップへ戻る