金森強
文教大学 教育学部教授
専門は英語教育、音声学、早期英語教育。日本児童英語教育学会理事、小学校英語教育学会理事。小学校~高校のデモ授業と教員研修で全国を飛び回る。講演テーマは、小中・中高連携を意識した指導、統合的な活動の開発・評価、Can-Doリスト作成の在り方、歌・ゲームを利用した英語指導など。著書多数。
相手の名前を聞いて、自分の名前を答える。初めて出会う相手との大切な時間に用いられる自己紹介の表現です。ただし、実際の会話ではあまり用いられることはないのかもしれません。自分の名前を言えば、たいていの場合、相手も名前を言ってくれるものです。
A: Hi! I’m Jack. Jack Bauer.
B: Hi! Jack. I’m Cloe. Cloe O’Brian.
年齢や家族の話題などについて話すときも同様です。まずは、自分から話すようにします。もし、相手が答えてくれなかったら、話したくない話題なのですから、それ以上は深入りしないようにしましょう。
子どもたちが授業を参観している先生たちの所に向かい、“What's your name?”を使って、英語であいさつをするという活動の機会に出くわすときがあります。このような場合、何が起こるか簡単に想像できます。
自分の名前も名のらず、ぶっきらぼうに“What’s your name?”、“Where are you from?”、“How old are you?”と職務質問でもするように聞いてくる子どもたち。初めて出会う人に対する言葉としてはずいぶん失礼です。観光地にいる外国人観光客にアンケート調査を行い、名前や出身地を尋ねるような場合も同様です。
“Your name, please.”/“What is your name, please?”とゆっくり、丁寧に発話すればまだ許容できる範囲なのかもしれませんが、外国人の方を自分たちの英語の練習台にするだけでなく、ぞんざいな言い方でしか会話できないのであれば、あまりにも恥ずかしい話です。中には、グループで質問をする際、自分の役割が終わったら「後は知らない」とそっぽを向いているような子どももいます。
丁寧な言い方をすることはもちろん、話し掛けた以上は、相手の話している内容が分からないとしても、最後までしっかりと耳を傾けて聞く態度を示さなければならないはずです。たとえ、“What’s your name?”と早く言えたとしても、「早い、うまい、でも、ひどい」でしかありません。
(February 2014)
専門は英語教育、音声学、早期英語教育。日本児童英語教育学会理事、小学校英語教育学会理事。小学校~高校のデモ授業と教員研修で全国を飛び回る。講演テーマは、小中・中高連携を意識した指導、統合的な活動の開発・評価、Can-Doリスト作成の在り方、歌・ゲームを利用した英語指導など。著書多数。