閉店中?

今日、たくさんの和製英語があり、当たり前に使われています。書籍やウェブサイトにも和製英語を専門に扱っているものもあります。他言語から語を取り込ん で自らの言葉に置き変える、その際、元の語と何らかのズレが生じる、ということは、日本語だけに見られる現象でありませんので、ある意味では必然的であ り、「悪いこと」とは言えません。しかし、「英語として」使っているにもかかわらず、明らかな誤用、というのはやはり気になります。今回はそんな話をしま しょう。 よく喫茶店などに以下のような札がかかっています。

open

openは「開いている」「営業中」の意味であり、The door is open. (ドアは開いている)などと同様、品詞としては形容詞ということになります。これには全く問題がありません。

では次に営業時間を終えて「閉まっている」「閉店中」であるとの表示についてです。よく見かけるのは以下のような表示です。

close

実はこれは間違い。openと同様に、The door is close. と形容詞として使ってみるとよくわかるのですが、形容詞としてのclose([klous]と発音)には「近い・惜しい」などの意味しかなく、これでは 「ドアは近い」になってしまいます。もちろん、動詞としては、「閉まる」「閉じる」という自動詞・他動詞([klouz]と発音)の用法もあるのですが、 「開いている」という意味のopenとの対比となる「閉じている」という意味にはなりません。「何が惜しいの?他へ行けっていうの?」と意地悪を言われる かも知れません。

ではどういう札をさげればいいのでしょう。正解は以下の通りです。

closed

有名なお店でもcloseを使っているところもあるとのこと。話し言葉ではちょっとした間違いは許容されることもありますが、やはり英語として、特に「書 き言葉」として使う場合は、正しさが要求されます。看板や標識などは最たるもの。和製英語だから何でもあり、というわけにはいきませんね。ご注意を!

(October 2012)

中村先生のPROFILE

中村典生
長崎大学 教育学部教授

小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。

外国語ワールドへようこそトップへ戻る