3月の言葉といえば・・・

質問です。「3月」で連想する、ひな祭、彼岸、春分以外の言葉は何ですか?

なんていきなり聞かれても困りますよね。こんなときに役に立つのが歳時記。いわゆる季語集です。さっそく高橋悦男編『改訂版俳句月別歳時記』(2004年、博友社)を開いてみると、3月で目につくのは植物の多さ。たんぽぽ(dandelion)やすみれ(violet)などに加え、つくし(horsetail)、よもぎ(wormwood)、わらび(bracken)、また、わさびJapanese horseradish)やアスパラガス(asparagus)なども3月の季語になっています。

ちょっと英語にしにくい3月の季語は、啓蟄、山笑ふ、鷹化して鳩となる、など。「啓蟄」は暖かくなって地虫が這い出ることを、「山笑ふ」は冬には眠っていた山が春に目覚めて微笑んでいる、というイメージを、「鷹化して鳩となる」は麗らかな陽気で鷹がおとなしい鳩に変身してしまうことを、それぞれ表しています。

天文を表す季語もたくさんあります。春雷(春のうちに鳴る、夏ほどは激しくない雷)、東風(春の東風)、つちふる(いわゆる黄砂)、霞なども3月。霞は春になって水蒸気が多くなり、ぼんやり霞んでいる状態を表しますが、これはあくまでも文学用語であり、気象用語ではないこ とに注意。同様の状態を表す気象用語としては、「霧(fog)」「靄(mist)」があり、視程が1㎞を境にそれ未満のものが霧、それ以上なら靄となります。(ちなみに霧は秋の季語。靄は単独では季語となっていません)

このように、日本には豊かな四季があり、それが独特の季節ならではの言葉を生みだしています。そんな言葉を探しながら、英語ではどう言うのかな? などと考えながら散歩するのも一興ですよ。電子辞書を片手に。

(March 2013)

中村先生のPROFILE

中村典生
長崎大学 教育学部教授

小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。

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