早口言葉(Tongue Twister)

生麦 生米 生卵、

赤巻紙 青巻紙 黄巻紙、

かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ

  小さいころよくやった早口言葉。実は子どもの遊びだけではなく、アナウンサーが滑舌を良くするために「六カ国協議」「高架橋橋脚」などと練習することもあるそうです。さらに昨今は、この早口言葉が脳の活性化にも良い、という説まで出てきているとか。

 早口言葉が言いにくいのにはいくつか理由があります。まず似たような音が連続したり、その中にちょっと違った音が入っていて混乱するような例。舌を前に出す音や後ろに引き込む音などが繰り返されるので、口の中の動きが慌ただしい例などです。

英語にも早口言葉(Tongue Twister、舌をもつれさせるもの、という意味)があります。実際にいくつかやってみましょう。

1. Peter Piper picked a peck of pickled peppers.(ピーター・パイパー 唐辛子のピクルスたくさんとった)

    2. Mary Mac's mother's making Mary Mac marry me. My mother's making me marry Mary Mac.

(メアリー・マックのお母さん、メアリー・マックとぼくを結婚させようとしてるんだ。ぼくの母さんも母さんで、メアリー・マックとぼくを結婚させようとしてるんだ)

    これらも日本語の例と同じく、似たような音が連続して舌が転びそうになる例です。また、次の例はどうでしょうか?

     3. She sells seashells by the seashore.(彼女は海岸で貝殻売ってる)

   これもよく見かけるtongue twisterですが、日本語が母語の人にとってはちょっと違った難しさがあります。

   というのは、日本人はこの文に含まれる[s](see [si:]の[s] など)と[?](she[?i:]の[?] など)の区別には敏感ではないといわれているからです。

   例えば、英語のseat[si:t](席)とsheet[?i:t](用紙)は違う音で違う意味を表しますが、日本語では席も用紙も「シート」と言って区別しませんし、「鮭」は「さけ」「しゃけ」とも言うことからも分かるでしょう。つまり、3. のtongue twisterは、日本語の母語話者が区別しにくい英語の音声を練習するための、良い例にもなるというわけです。
このように、早口言葉は楽しみながら英語の音声に慣れ親しむことができる方法の一つです。この他にもたくさんありますので、面白い例を見つけていろいろと試してみてください。
 

(August 2014)

中村先生のPROFILE

中村典生
長崎大学 教育学部教授

小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。

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