夏の英語

さあ夏本番!!真っ青な夏空につきものなのは「入道雲」。俳句の世界では「峰雲」、「夏雲」、「雲の峰」などともいいます。入道雲の「入道」はそもそも仏門に入るという意味。転じて、お坊さんや頭を丸めた人のことを入道というようになり、さらに転じて坊主頭の妖怪も~入道などと呼ぶようになりました。夏雲をそんな入道に見立てたのでしょう。入道雲を英語にするならばcumulonimbus「積乱雲」、thundercloud「雷雲」あたりでしょうか。

雷の英語にも要注意。日本人にとって、激しい音と光を伴う雷は畏怖の対象であり、「神鳴る」の意味であったといわれています。俵屋宗達の「風神雷神図屏風」に描かれた雷様が良い例です。このように日本では一般に雷は光と音を伴うものですが、英語のthunderは雷鳴、つまり音の部分のみを表し、光の部分(稲妻)を表す語はlighteningといいます。日本の雷と同じように光と音の両方をさす語はthunderboltといいます。もともとthunderという語は「鳴り響く」というゲルマン語から生じたといわれており、そのため音だけを表すようになったと考えられています。

最後に「暑い」を表す英語について。hot以外の「暑い」をどのくらいご存じでしょうか。日本のように湿度の高い国を形容するには、humid「じめじめする」、sticky「べたべたする」、muggy「蒸し暑い」あたりが言い得て妙。その他、焼け付くような日は、文字通り「焼く」を形容詞化して、a broiling dayとか、a roasting dayということもあります。ちょっと熱く語り過ぎましたか?

(July 2013)

中村先生のPROFILE

中村典生
長崎大学 教育学部教授

小学校英語教育学会事務局長、言語文化学会理事、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会 連合会)利酒師、俳人協会会員・狩俳句会同人(俳号は中村龍徳〈りゅうとく〉)、前岐阜大学硬式野球部監督など、昼夜を問わず役職多数。専門は英語教育学、第二言語習得。著書多数。

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